kiske3の絵日記

一コマ漫画、トホホな人の習性、

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泊まり込み 9

2006年08月03日 | ボスヒコの「恐怖夜話スペシャル」

雑誌社のビルに辿り着き、そのままの勢いで何も考えずにエレベーターに
乗り込んだ。あれだけエレベーターに乗るのを迷っていたのに……。ブタに
よっての疲労で「どうにでもなれ」という開き直りの気持ちを作っていた。
エレベーターもその気持ちを汲んだのか、何も起こらずに4階へ上がって
行く。もうすぐ…もうすぐ…。ここまで来ると安心する。後は高田さんに
今までの事を説明してから対策を考えよう。特にブタはなんとかしなければ
ならない。新しい仕事場ではあまりしたくはないが、携帯電話を壊されたり、
暴力的な事もあったので、警察への通報は免れないだろう。また新しい仕事
を探さなければ……。どうせ、こんな恐いビルになんて居れないからいいか。

まさか、先回りして4階にブタがいるんじゃないかな……。

いや、考え過ぎか……。

私がここに逃げて来た事や働いている事は知らないはず……。

エレベーターが4階に着いた。4階全体が雑誌社なのでエレベーターを出た
辺りに雑誌社の玄関がある。老朽化でくすんだクリーム色の壁にアルミの
ドアが見えるはずだった。しかし、それは過去の物であって、今の有り様は
あまりにも違っていた。私は戦慄と驚愕でエレベーターから出れなかった。

「開く」のボタンを押したまま見える光景は、どこかの廃墟となったビル
そのものだった。それとも、私はとうとう異空間に入ってしまったのか?
生ゴミも含まれるゴミが散乱し、悪臭をまき散らしている。壁は元の色が
何色だったかわからないぐらいにペンキやスプレーで落書きされている。

体が凍り付き、腰が抜けそうになったが、目が慣れてくると、見慣れた
あのアルミのドアだった事に気づく。と言う事は、ここは雑誌社なんだ。

「な……、なんなの、これ……」

エレベーターから一歩出た。後ろでドアが閉まり、4階に静寂が訪れる。

改めて落書きを見てみる。ほとんどが書きなぐりでわかりづらいものが
多い。それでもなんとか文字らしきものを探してみる。……あった……。

彼女はそれを見て血の気が下がり、早く中に入ろうと雑誌社に向かった。
ドアを開けようとしてドアノブを掴んだ瞬間に、手のひらに激痛が走る。
「痛っ!!!」右手のひらを見ると、肉が深く切れて骨まで達していた。
鼓動と共に溢れ出てくる大量の血を止める為に左手で右手を押さえながら
ドアノブを見た。ドアノブの裏に男性用ひげ剃りのカミソリがテープで
無造作にくくられていた。彼女は頭が真っ白になってきた。こういう事を
する奴。こういう事ができる奴。彼女が見た落書きはこう書かれてあった。



なんで きたんや



知っている!ブタはこの場所を知っている!早く中に入らないと!早く!!!
彼女がドアノブのカミソリを取っている時、エレベーターが降下して行った。













もうダメぽ。暑くて書けない。               ボスヒコ

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