kiske3の絵日記

一コマ漫画、トホホな人の習性、

映画批評、恐怖夜話、あらゆる

告知をユルく描いて書いてます。

練馬区で描きました。

2008年06月30日 | ボスヒコの「ライブペインティング裏日記」

6月7日(土)スタジオ・ヨギー4周年&池袋スタジオ3周年の
感謝イベントが曼荼羅寺観蔵院で行われました。
http://www.studio-yoggy.com/special/osc/o2034ikb0607.html

とにかくマンダラ。しかも広い。曼荼羅美術館、曼荼羅に囲まれた
リラックスルーム、本堂も大きな曼荼羅の絵に囲まれています。

今回の新幹線はグリーンシート。全然、快適では無い。あの足下の
斜めになっている足置きは誰を基準に付けてあるんでしょうか。
あれに足を乗っけたら、ちょっとヒザが曲がります。微妙にケツと
モモに力が入ります。足置きは一人分の幅を埋めている上、隙間も
無いので、足置きなどに足を置かずに足を曲げた状態の方が足が
楽なのはグリーンシートとして如何だろおうか!足って言葉の連呼に
なりましたが、とにかく、寝れませんでした。あぁ、駅弁食って、
好きな音楽聞きながら、知らぬ間に寝てしまうのが醍醐味なのに…

ま、それはさておき。何度か電車を乗り換えて、曼荼羅寺観蔵院に
到着して驚いたのが、寺の静けさや広さでは無い。ダンボールの
キャンバスが湿気によって反っていたのだ。縦を軸にして結構な
円を描いております。これを三枚繋げると半円くらいになる。半円
も面白そうと思ったが、そこは我慢して、壁になんとか設置したが、
ぼっこんぼこんです。しかも、ヨガの生徒の皆様のほとばしる汗
なのか、ホットヨガだったのか解りませんが、スルメを焼いている
かのごとく、キャンバスが円柱になろうとしてます。こんな時は
用心しないといけません。墨が必要以上に滲むのです。霧吹きなんざ
使おうものなら、むぁ~~~~って感じで滲みが広がっていきます。

1回めの花族とコラボには「鳳凰」を描きました。本当は新作の
「不動明王」を描くはずだったのですが、反っているわ、滲むわで
何が起こるか解らないので「不動明王」は諦めました。ここの寺、
ご本尊が不動明王なのですけどね。残念です。その後、素晴らしい
ダンサー達の舞いがあり、少し休憩を取ってから、エンディングに
向かいます。花族と曼荼羅寺観蔵院副住職さん達の読経のコラボです。
これがカッコイイ。読経トランスの中、私がライブペインティング。
スピリチュアル三つ巴です。ゴジラとモスラとラドンみたいなもん
です。で、何を描いたかと言うと、いつも「龍」です。湿気ってのは
水分。こりゃ龍神様が喜ぶだろうと、「曼荼羅龍」を描きました。
ちょうど反っている所を腹の部分にしたら、立体になって、更に浮き
出ているようになりました。演奏が終わり、宴のシメとして、梵字
アーティストでもある副住職さんが龍の傍らに梵字の「あうん」の
「あ」を静かに添えました。約70名のお客さんの中には泣いている
方もおり、演者共々、心が洗われた宴となりました。いやあ、今日は
作文みたいな文章ですね。記録として残そうとするとこうなります。


曼荼羅寺でもコラボした素晴らしいメンツ、花族とダンサー達と
大阪でイベントをやりますよ。7月20日(日)に大阪はキタの中崎、
天然芸術研究所でやります。詳細はまた日程が近くなればアップします。

大阪にはなかなか無い、真なスピリチュアルアートイベント。菩須彦
ライブももれなく付いてきますんで、アートな体験をしに来て下さい。












感想文でした。                        ボスヒコ

 押して押して押して押して押して押して押して押して押して
 

安らぎ 後編

2008年06月29日 | ボスヒコの「ブー太郎のクルクルミラクル」

まあ、何がミラクルかと言いますと、まず、6月13日金曜日にあの汚れた
白いスニーカーを発見して警察を呼んどります。日本人のクセに13日の
金曜日に不吉な事件にあってどうする。そして、ブー太郎は新しい部屋を
探しまくるのですが、引っ越しシーズンが過ぎたばっかりのこの季節に
良い物件があるわけがない。彼女の間の悪さと言うか、タイミングの悪さ
ってのもプチミラクルです。そのタイミングの悪さで、侵入者と鉢合わせ
しなかったっていう良い事もありますが。で、やっとこさマシな物件を
見つけました。窓から見える風景はともかく、内装や部屋の広さは良い感じ。
以前の事をふまえて私も真剣に視察に行き、いろんな眼でいろんなモノを
視ましたが、特に問題は無さそうです。じゃあ、早速引っ越ししようじゃ
ないかと、7月13日の日曜日に引っ越しする事を決めました。ところがです。



ブ「ボス!!た、たた、大変なことになりました!」

ボ「はいはい、何ですか。」

ブ「ば、ばば!ばば!ばば!」

ボ「………」

ブ「爆弾が見つかりましたぁ!!!」

ボ「………ええっ!?どこで!?」

ブ「今度、引っ越す場所の近くですぅ!!!」

ボ「爆弾って言っても、不発弾で爆発しない奴でしょう!!!」

ブ「不発弾ですけど、爆発するかもしんないですぅ!!!」



パニクっているブー太郎の言う事がなんだか解らないんで、彼女が握り
しめている爆弾通知書と思われる紙を奪い取って見た。え~~~~っと…




《不発弾の発見と処理について》

平成20年6月13日(金)、大阪市北区○○のマンション建設工事現場に
おいて、不発弾が発見されました。この概況については下記の通りです。

1 発見日時
平成20年6月13日(金)午前10時45分頃

2 発見場所
大阪市北区○○のマンション建設工事現場

3 発見時に状況
建設工事現場において、不発弾と思われる物体が発見され、陸上自衛隊が
1トン爆弾であることを確認し、保存管理作業を行なった。

4 不発弾の状況
米国製1トン爆弾 1発
弾頭部分に信管が残っている。

5 不発弾の処理日時
平成20年7月13日(日)午前9時から12時頃まで。




はっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっ!!!

弾頭部分に信管が残っている米国製1トン爆弾が1発だってさ………………






って、爆発するでしょうが!!!!!!!






これ、マジです。ひょっとして、ブー太郎はなんだかそういう力があるんじゃ
ないかと思ってしまいます。爆弾が発見されたのはブー太郎事件と同じ日の
6月13日金曜日、爆弾処理の日はブー太郎の引っ越しの日と同じ日の7月13日
日曜日、その日は不発弾から半径300m以内の範囲の住人は近くの小学校に
避難しなければなりません。もちろん、交通規制もかかります。避難対象
世帯は約2,400世帯、事業所は約50箇所、住民は約5,400人が信管除去や
安全処置が完了するまで大避難でございます。私達のキスケオフィスは
ギリギリ範囲外です。それにしても1トンって…。7月13日までに凄い地震が
発生したら…とか考えてはいけません。ととととにかく爆発しませんように!












って事で、引っ越しは別の日になりました。           ボスヒコ


 押しても爆発しませんので、押しまくって下さい。
 

安らぎ 前編

2008年06月28日 | ボスヒコの「ブー太郎のクルクルミラクル」

「ヤスラギ」終わりました。なかなかのサスペンスフルなお話になって
ました。でだ、この不幸な主人公「ワタシ」の正体を今から明かします。



















ブー太郎さんでぇ~~~御座いますっ!!!!





まあ、こんなミラクルを起こす人ってのはこの方しかいないんですがね。
ブー太郎(女性)ってのはうちのスタッフでして、知っている方はよく
御存知の人です。ギャルでもないのに天神祭のギャルみこしに応募して
見事に受かったり、酔っぱらって警官シバいたり、酔っぱらって私を
殴ったり、酔っぱらって屁をこいたりするあの人です。大盛況だった
中崎お好み演芸会でのシュールなヨガショーが記憶に新しい事でしょう。

しかしながら、「ヤスラギ」に書かれた事は小説風に書いたものの全てが
紛れも無い事実です。そこが凄い。実際に放置しすぎてゴミ屋敷だった
ブー太郎の部屋。その部屋に警官2人が入った時の会話はこんな感じでした。


警官「お~、こりゃ酷い。すごい荒らされたもんだね。」

ブー「あ、あの~、これは自分でぇ~、はい。」

警官「え?」

ブー「これはワタシがぁ~、はい。」

警官「……あ~、…………そうですか。」

ブー「あ、はい。」

ここで警官、本部に連絡。

警官「現場は荒れておりましたが~~、当人が荒らした模様です。」



そして、そしてそして、この「ヤスラギ」でのあの不吉な部屋。あの部屋に
キスケ全員で下見に行った時の事が書かれている日記がありました。その
日記の内容は、後で考えれば、ゾォ~っとする事が書かれてありました。

「上」
http://blog.goo.ne.jp/kiske3/e/70ac6825fabcaaec98d9c96ee70d9629


その後に、コレになりました↓

「ブー太郎の素敵インテリア」
http://blog.goo.ne.jp/kiske3/e/9c5ddcc7bb5c63173b3beedb62a7f25f


そして、一回シバいて、片付けさせたものの、またゴミ屋敷となった後、
「ヤスラギ」となりました。なって当然、バチが当ったとしか言いようが
ないほど、見事な結果です。しかも、もっと凄い結果が出ました。これは
「さすが、ブー太郎!!」と言ってしまったくらいのミラクルなのです!!












それはSFに近い。                     ボスヒコ

 し~やせん!押してください!
 


ヤスラギ 最終話

2008年06月27日 | ボスヒコの「恐怖夜話スペシャル」

5分も経たずに警官2名がやって来た。


スニーカーはもちろん無かった。律儀なのか本当に自分の部屋だと思って
いるのか解らないが、奇妙な事に鍵は再び閉められて、部屋のライトは全て
消して出て行っている。家主の存在に気づいた侵入者(マンション住人以外)
が逃げる方法は、色々あるだろうが、何気なくマンション住人のフリをして
出て行くには肝が座ってないと出来ないだろう。発見されたのに、正面玄関
からまともに出て行くにはリスクを伴う。やはりここは、裏の非常階段から
逃げることが無難な選択。非常階段を降りた1階にはドアが2つあった。
1つは裏口へと続くドア。もう1つのドアは大家さんの部屋に続くドア
だった。これなら大家さんが犯人だとしたら、不審に思われず逃げ込める。
侵入者がマンション内の人間なら自分の部屋に入れば良いだけだから不審に
思われない。警官2名もその可能性を話しあっていた。細かい事情調査を
しながら、指紋がつきそうな所を中心に部屋の中を調べてだした。年配の
警官に盗られた物が無いか調べてくれ、と言われてワタシは我に返った。


机に置いてあったキャッシュカードと現金はなぜか盗られていなかった。


盗られた物は、ノートパソコンと合鍵だけだった。個人情報が満載のノート
パソコン。合鍵は高価なネックレスなどのアクセサリーと過去現在含めた
あらゆる鍵を入れている箱に入ってあった。アクセサリーごと、否、箱ごと
盗んでも良いのにそこから合鍵だけを盗っている。おそらく、なんらかの
形で一番最初にこの部屋に侵入した時、侵入した事に気づかれないよう、
現場を荒らさずに合鍵だけ盗んだに違いない。そして、今回見つかって、
ノートパソコンだけ盗って行ったのだ。確かに高価な代物ではあるが……。


完全に盗み目的では無いのが素人でも解る。ワタシはストーカーされて
いたのか?真のストーカーは対象相手と絶対に会わないと言うポリシーが
あるらしいが、犯人像に全く見当がつかない。普通、犯人が大家さんで
あれば、合鍵を盗むと言う可能性は少ない。大家以外でマンション内をうろ
ついても疑わしく無く、気軽にあの部屋に来れて、合鍵が必要な者とは?

元カレやコンビニ店員の可能性も拭えないが、やはり近隣の者が犯人なの
だろうか。警官はまず大家さんと鍵屋を呼び出した。警察から質問を受けた
大家さんは呆れる発言をした。「このマンションはしょっちゅう空き巣に
入られるんや」ワタシは怒りを抑えきれなくなっている。鍵屋は部屋の
鍵穴を見て、唖然としている。「ここのマンションの全ての鍵は旧式過ぎて、
ちょっといじれば誰でも入れるよ。貴女の部屋だった鍵穴には古い傷と
新しい傷がある。完全にいじられた形跡ですね。」警官は大家さんに聞いた。
「以前住んでいた人と同じ鍵じゃ無いでしょうね。以前住んでいた人が
合鍵を作っていたら普通に入れるわけですし…」大家はまた驚く発言を
した。「前から換えてまへんな」鍵屋はそれに対して言った。「あのね、
ここの鍵に良く似た鍵でも開く可能性があるんですよ、この鍵穴は。もう
ちょっと用心した方が良いんじゃないですか?」大家さん以外の全員が
呆れて、大家さんをその場から外した。大家さんは後から別で事情聴取を
受けなければならなくなった。ワタシも後日また相談と言うことになった。


しかし、ワタシが不安なのは、これぐらいの被害ではあまり警察は動け
ないと言う事実だった。警察が当てにならない今、自分で盗聴器や隠し
カメラの可能性を考えなければならない。ワタシはあの部屋に行って
引っ越しの準備をしなければならない。あの限りなく疑わしい陰険な
大家さんと対面しなければならない。侵入者が捕まるまでは安心出来る
はずがない。ワタシのヤスラギは、まだまだ先のようだった。なぜなら、
あの部屋のドアの横に、油性ペンで書かれた暗号が新たに出現していた。










おわり













明日はもっと凄い。                      ボスヒコ
 押して
 

ヤスラギ 8

2008年06月26日 | ボスヒコの「恐怖夜話スペシャル」

息が止まり、血の気が下がり、目が乾き、喉が唸り、手が震え、
思考が固まる。男の靴が玄関に脱いであった。空き巣なら靴を
脱ぐ間抜けな行為などしない。このスニーカーには見覚えが無い。
廊下に向かって靴が脱いである。それは玄関から入った証拠。







このスニーカーの男は、“この部屋”に住んでいるのだ!!!!






男は侵入者では無く、ずっとこの部屋に住んでいたのだ。普通に
トイレをして、落とした注射器を拾い、自分の所有物の写真を見る。
ワタシが夜な夜な見た悪夢や人の気配は、悪霊や地縛霊の霊障では
無く、押し入れかベッドの下にいる、生きている人の気配だった。




自分の部屋で安らげないワタシを見て、ヤスラギを得る闇の者。




出来るだけゆっくりと、出来るだけ素早く、出来るだけ音を立てずに
鍵を閉めた。しかし、鍵を開けた時の音は聞こえているかもしれない。
鍵を開けて閉めるまで2秒も経ってないが、永遠に時間が止まった
ように感じる。急いでエレベーターに乗り込んだ。人差し指が
折れるほど、「1」と「閉」の文字を連打する。亀のように遅いエレ
ベーターに怒鳴る。2階を通過した時、「閉」の文字の上にあるどこか
の会社のステッカーに油性ペンで書かれている暗号のような文字を
見つけた。それはテレビで見たおぼえがある。名前も解らない、いつ
不在なのかも解らないマンションに住んでいる人を訪問する郵便屋や
宅配業者が無断で書く暗号。それを見て空き巣や窃盗団は獲物を狩る。
しだいに彼らはその暗号を逆利用しだす。宅配業者らを真似て自分達で
暗号を記しておくのだ。今、ワタシの目の前に書かれている暗号は、




3E



3、E、アルファベットのE、A、B、C、D、E、アルファベットの5番目、
最上階は5階、1フロアに3世帯、ワタシが住んでいたあの部屋は3号室、




5 0 3




1階に着いたワタシは、侵入者の顔を見たい欲求と戦いながら振り返る
暇もなく走った。走りながら携帯電話を取り出して、警察に電話をした。
偶然にも13日の金曜日にこんなに忌々しい事に会うなんて……ワタシは
自分の情けなさと恐怖で泣いていた。パトカーのサイレンが聞こえて来た。












明日、最終回。                        ボスヒコ


 Xちょっと押してくれませんかね。
 

ヤスラギ 7

2008年06月25日 | ボスヒコの「恐怖夜話スペシャル」

ワタシの妄想なのだろうか。


周りの人全てが犯人に思える。



元カレ………向かいの大学生………大家さん……コンビニのおばさん……
不動産屋………マンションの横で工事している作業員……両親………



そして、妹。







一番疑わしいのはワタシ本人だったが、ワタシは狂っては無い。それは
自覚している。「ワタシは狂っては無い。それは自覚している。」と
言う人ほど病気だったりするのも知っている。見えないモノが見える
と言う脳にはなってはいないと思う。この部屋を嫌悪する恐怖心が
見えている物を妄想して、違う事実にすり変えているのかもしれない。


注射器、便座、写真、それらはなんとでも説明がつく。自分に自信が
無い。自分の記憶に自信が持てない。慢性の寝不足から来る記憶障害
かもしれない。しかし、ここで自信と勇気を持たなければ、本当に
頭がおかしくなる。ワタシは可能性を色々と考えてみた。ワタシの
住所を知っている者は挙げた全員に可能性がある。ワタシの部屋の鍵を
開けれる者は大家さん。しかし、ここのマンションの鍵は旧型なので
代用品で開けれる可能性がある。ベランダと非常階段が限りなく近い
ので、そこから侵入も出来る。窓に鍵を閉めてない日もあったかも
しれない。注射器を落とした者も全員に可能性がある。便座を上げる
者は男性。妹やコンビニのおばさんがこっそり侵入して掃除をする
理由がない。ベッドに写真を置く者は……もう何がなんだか解らなく
なってきた。直感も頼りにならない。侵入者は全く見知らぬ奴かも
しれない。とにかく、ワタシは引っ越す事に決めた。人によれば、
遅すぎる決断かもしれないが、認識したくはない事実から遠ざける
心がやっと前を向いたのだ。こんな馬鹿な考えは、後々、自分を
嘲ることになるだろう。あの部屋が怖い。それだけで充分だった。





昨夜は叫びさえしなかったが気が狂いそうだった。下で侵入者が
待ち伏せしている可能性すら考えれずに一目散にエレベーターに
入り込んだ。降りて行く間にその可能性に気づいたが、どうとでも
なれと言う怒りが湧いてきた。おぼろげにしか覚えていないが、
何かを盗られた形跡は無かったと思う。むしろ、物の移動や物が
増えていたのだから。ワタシは、1階に着くなり、漆黒の土砂降り
の中へつっこんで行った。車が行き交う道路まで全力で走った。










仕事を午前中までに片付けて、いつも良くしてくれている不動産屋に
行き、事情を説明して、新しい部屋の相談をした。心が晴れやかに
なると、天候までこうなるかと思うくらいの雲ひとつない晴天だった。





今のワタシには前に進む力が漲っている。まるで子供のような発想だが、
これを利用しない手はない。このまま、あの部屋と決着をつけよう。
あの部屋で安らぎを得ることは一度も無かった事に少し寂しく思えた。
安らぎは得るものではなく、作っていくものだとワタシは実感した。










不動産屋からあの部屋に直行する。薄暗い印象のマンションも強烈な
陽の光を浴びて、綺麗なコントラストをつけている。エレベーターに
乗り、最上階のボタンを押す。鍵はもう持っている。カバンを肩に
かけて、両手を空ける。最上階に着き、過去の部屋となるドアを開けた。



















かろうじて白色と解る、汚れた大きいスニーカーが玄関にあった。

















もうすぐ終わります。                      ボスヒコ
 ちょっと押して
 

ヤスラギ 6

2008年06月24日 | ボスヒコの「恐怖夜話スペシャル」

キッチンに入る。



リビングに入る。



机の上を見る。



携帯電話とキーがある。



それを取りながら、ベランダを見る。



暗闇しか見えないベランダからの
風景から、視点を洗濯物を畳んだ
衣服に移す。



わざとあくびをして、適当な服を
2、3枚カバンに入れながら、
寝室を見る。



ベッドの周りにはリビングの灯りで、
ベッドからはねのけて落ちた
掛け布団、雑誌やペットボトル
などが浮かんでいる。




ベッドの奥は薄暗くて見えない。






ベッドの上には













ベッドの上には















ベッドの上には、ワタシと妹が
写っている写真が一枚、乗ってあった。




寝起きする所の真ん中に写真なんて置かない!


その写真を押し入れの写真箱からわざわざ
取り出してベッドに置かない!!


写真箱は引っ越した時から開けていない!!


きつく貼ったガムテープを取らないと上箱は取れない!!!!!



ワタシはそんなことをやってない!!!!!!













人なのか!?霊なのか!?そしてその意図は!?          ボスヒコ
 押して
 

ヤスラギ 5

2008年06月23日 | ボスヒコの「恐怖夜話スペシャル」

やっと鍵を探し出して、急いで部屋に入った。内鍵を閉めて、チェーンを
かけて、暗がりの中、覗き穴に目を当てた。いつも忌み嫌っている部屋に
この時ほど入りたいと思ったことはない。着替える事を忘れるくらいに。



大家さんは本当にゴミの分別をしているのか? 各家庭から出るゴミは
個人情報のかたまり。明細書から出る生活感、何を食べているか、何を
飲んでいるか、友達はいるのか、恋人はいるのか、1週間のうち部屋に
何日いるのか……。疑れば疑るほど、怪しく思えて来た。マンションの
全部屋の鍵を持っている大家さんは、当然の如く、どの部屋にも入れる。



エレベーターのドア横にある光る数字は「1」まで辿り着いた。



しばらく緊張しながら覗いていたのだが、それからエレベーターが動く
事はなかった。ワタシは脳裏の隅にあった事実を思い出した。注射器が
落ちていたはず。玄関内に放置していた注射器を探し出す為に灯りを
付けた。あの時は寝ぼけていたのと、恐ろしい結末を否定したいが為に
脳が“なんにもなかった”事にしていた。ワタシは靴で溢れかえった
玄関で注射器を探しながら、妹に電話をかけた。奥歯洗浄用の注射器を
落として行ってないか? その問いに妹は呆れて「いつの話をして
いるの。そんな1年前の事」と言う。適当に話を流して、電話を切った。




無い。




注射器が見つからない!!!!




今や、玄関に繋がる廊下まで探し漁っている。あの時、確かに注射器を
見たはず。ワタシは寝ぼけたまま、捨てたのだろうか。記憶が定かで
ない。少し落ち着かせる為にもシャワーを浴びる事にした。濡れた身体は
芯から冷えており、熱めのシャワーが痛く心地よかった。しかし、脳は
フル回転していた。適当な部屋着に着替えて、自分で荒らしたリビングへ
行く。冷蔵庫の中から、缶ビールを取り出して、一連の考えをまとめよう
とした。シャワーと疲労の為、目線はうつろだったと思う。いくら考えても
思考はぼやけて答えは出なかった。ただの被害妄想なのかもしれない。
恐怖心や疑心がおぼろげになるほどの睡魔が襲って来た。ワタシは寝る前に
歯を磨こうとして洗面台に向かった。目の隈が酷い。鏡に写る自分の顔の
酷さにため息をつく。歯を磨きながら、荒れに荒れている周囲を視線が
なぞる。あぁ、早くかたづけないと……。トイレのドアも半開きだ……。
このままじゃ人間失格だな、と思い、自分のルーズさに鼻で笑いながら
トイレのドアを閉めに行った。チラッと見えた暗がりのトイレの室内に
違和感を感じた。「違いますように…」と願いながら、ドアを開けた。






便座が上がっている……






1人住まいの女性がトイレの便座を上げる時は、掃除する時くらいだ。

男が入った形跡。血の気が一気に下がった。この部屋に侵入者がいる!?

いや、侵入者があの大家さんであったとしたら違う。しかし、最悪、今
現在に誰だか解らない男がこの部屋にいるかもしれない。この部屋に
入ってもう既に40分が過ぎようとしている。侵入者にとって避けたい
のは発見される事だ。リビングにある携帯電話やキーを取らずに、この
まま部屋着で外に出て行ったら、侵入者に気づいた証拠になり、追い
かけられて捕まるかもしれない。しかし、リビングに引き返した時に
ワタシを捕らえる絶好のタイミングを侵入者に与えるかもしれない。

無音の時間が長ければ長いほど、侵入者は焦るだろう。ワタシは何も無い
様に振る舞うことが最適な選択だと思い、「仕事中、部屋に一旦シャワーを
浴びに戻った人」を演じる事にした。動揺が現れないようにしないと思う
ほどに緊張していく身体を感じる。部屋に侵入者が潜んでいない確率を
考えれば、馬鹿馬鹿しい行為なのだが、それはこの部屋から出て行けた時に
笑えば良い。部屋着はかろうじて外に出れる格好。侵入者がいるとしたら
リビングの奥の部屋の寝室とその部屋のベランダしか無い。その部屋さえ
入らなければどうって事ない。ワタシは普通の足どりでリビングへ向かった。












タイヘンです。                      ボスヒコ

 押してくれ!
 

ヤスラギ 4

2008年06月22日 | ボスヒコの「恐怖夜話スペシャル」

「こんばんわ」




大雨の当る音であまり聞こえない耳が、男の声を拾う。振り返ると
そこには黒い影。すぐに目が慣れたワタシは安堵と苛立が襲って
来た。黒い影の正体はここのマンションの年老いた大家さんだった。
ワタシは驚きながらも微かに返答して、急いで自転車に鍵をかけた。



そして大家さんは、いつもやっている事をしだした。彼はマンション
前のゴミ捨て場に行き、住人達のゴミを開けて分別するのである。



ここ大阪は東京のようにゴミを分別しなくて良い。それなのにわざ
わざ分別する大家さん。感心と感謝の念が出ても良いはずなのだが、
夜中の3時過ぎ、大雨が降る中、薄いレインコートだけでマンション
住人のゴミの分別するのは不気味としか思えない。元々、この大家
さんは生理的に受け付かなかったので、この行為に酷く嫌悪した。

ワタシは逃げるようにエレベーターに乗り、最上階に着くなり降りた。

廊下のあの濡れた跡は既に渇いていた。そんな事よりも今は、早く
シャワーを浴びて、着替えないと風邪をひいてしまう。カバンから
鍵を取り出そうとしたが、奥底にあるのか、なかなか見つけられない。




その時、身体から滴り落ちる雨水を見て、愕然とした。今、正に、
ドアの前にあの水たまりが出来ようとしている。ワタシは思わず
ドアから離れて、試しに向かいの部屋のドアまで歩いた。身体から
流れる雨水はあの痕跡とそっくりなラインを残した。身体から雨水が
滴り落ちる程濡れている人間が歩くと出来る水のラインだったのだ。




しかしドアの前に立つ理由は!? 雨が降った日だけ痕跡を残す事
などありえない!!雨以外の日は“痕跡が残らないだけ”なのだ!!


そして、このマンション内で、雨の日だけずぶ濡れになる人間は!!





その時、エレベーターが何かを乗せに、音を立てて下へ降りて行った。












何を乗せて来るんでしょうか!!??              ボスヒコ
 絶対に押して下さいね。
 

ヤスラギ 3

2008年06月21日 | ボスヒコの「恐怖夜話スペシャル」

ある朝、些細な状況に目を止めてしまったがばかりに、出勤中にも
関わらず、子供が出題した単純ななぞなぞが解けないお父さんのように
唸っていた。まだ、昨夜からの雨が降り続いている。雨量の少ない霧の
ような雨が街を灰色に染めている。寝ぼけた頭に疑問を投げかけられた
些細な状況とは、部屋の外のマンションの廊下に水が奇妙なラインを
作っていたのだ。風のせいで雨が入って来て濡れた感じではなく、
ある動きを見せている。まるで、雨自体に意思があるかのようにフロアの
各部屋のドア前まで移動していたのだ。大して多くは無い水量だが、
エレベーターから始まり、一番エレベーターに近いワタシのドアまで
「雨」は移動し、次は男性が住んでいる向かいのドア、そして最後には
女性が住んでいる奥のドア。てかりさえしないものの、巨大ナメクジが
通った跡のようだ。エレベーター内の床も濡れている。こういう事があると
タクシーの運転手が話す定番の幽霊話を想い出す。女性のお客さんを
乗せたのに、しばらくして消えている。その座っていた後には水たまり…。



仕事をしていてもあの濡れた跡の事が気になってマンションに戻る気が
せず、仕事場で寝る事にした。仕事場にはシャワーもあるし、替えの
下着やシャツなどを常に完備しているので、ズルズルと3日が過ぎた。



そんな感じの生活を繰り返しているものだから、部屋も荒れてくる。
出入りしない所は普通、何もしないのだから綺麗なはずだけど、愛着が
湧かないせいか、知らず知らずにぞんざいに扱ってしまっているかも
しれない。部屋を掃除しなきゃ… でもあの部屋に長く居ても落ち
着かない… 無意味な葛藤を繰り返しながらも決断できずに、義務感
のみの気力であの部屋に帰る用意をした。社内にあるアナログの壁掛け
時計の針は夜中の3時を回ろうとしている。外は大雨だった。思った
よりも風がきつく、傘をさして歩くのが困難だった。自転車通勤して
いるワタシは傘をあきらめて、濡れて帰る事にした。ほぼヤケクソに
近く、そのままマンション近くのコンビニに入り、また栄養が偏って
いる弁当を買ってしまった。いつもの陰気臭いコンビニ店員のおばさん
が差別的に凝視している事が気にならないくらいに、部屋の事で頭が
一杯だった。電灯がろくに付いていないマンション前。ワタシの被害
妄想なのか、ワット数が違うのだろうか、いつも薄暗く感じてしまう。
このマンションには駐輪場がなく、マンション前に自転車を止めている。
住人の物か来客の物か解らない複数の自転車は人の邪魔をするように
置かれている。雨ざらしの為、ほとんどの自転車にはサビが出来ていて、
このマンションをより一層、不気味に盛り上げていた。いらぬ妄想を
かき消しながら、自転車に鍵を付けている時、背後で何かの気配がした。












そろそろ連続アップします。                  ボスヒコ
 押して下さい!!!!!!!!!!!!!!!!!