kiske3の絵日記

一コマ漫画、トホホな人の習性、

映画批評、恐怖夜話、あらゆる

告知をユルく描いて書いてます。

阪神淡路大震災、尼崎にて。

2011年02月05日 | ボスヒコの「恐怖夜話スペシャル」
16年前のその日、友人が開いてくれた私の誕生日パーティだった。誕生日は違う日なのだが、私は当時から何かしら幹事や主催をしていたので、労いとして友人達が企画してくれたのである。いつものようにバカで盛大な一次会が終わり、普段ならそれで解散している所、菩須彦の実家の離れで二次会をしようと言うことになり、わざわざ大阪の梅田から兵庫の尼崎まで移動した。二次会とは名だけで、私の部屋でうだうだとスノボのビデオを観たり、もうすぐライブがあるドリームシアターの話などしていた。何人か帰った後の残党がうたた寝しだした明け方、当時、神戸に住んでいた友人たっふるが思い立ったように帰ると言って出て行った。テレビの前にカノリンヌとタイキチが酒を呑みながら寝転んで雪山の映像を観ていた。私もベッドの上で寝転んで、彼らの背後からテレビを観ていた。










そして、5時46分。









・・……ドーーーーーーーーーーーーーーーン!!!!!!!!!!!!!!!!!!!









今まで聞いた事が無いくらいの音が地の底から聞こえた。ベッドの上で自分が縦方向に大きく跳ねたのには気づいたが、その時点ではこれが何を意味しているのかは理解出来なかった。衝撃的事件はスローモーションに見え、感じる。一発だけの大きな縦揺れの後、ズガガガガガと激しい横揺れが続いた。私が跳んでいる最中に見えたもの。まずは「パンッ!!」と言う乾いた音と共に土壁があちこちで割れていき、部屋中に砂煙をまき散らし、本棚からは本や置物が一斉に飛び出し、当時ではブラウン管テレビでは大きいサイズのバズーカというテレビがカノリンヌらの方向へ倒れて来た。そして、全ての灯りが消え、漆黒の闇につつまれた。その時はまだ驚きの方が強く、恐怖心は無かった。しかし、











恐怖の感覚はやっと次の瞬間にやってきた。










・・……ザアアァァアアァァアアァァアアァァアアァァアアァァアアァァアアァァアアァァアアァァアアァァアアァァアアァァアアァァアアァァアアァァアアァァ!!!!!!!!……・・・・










「ガラガラ!!」「ガッシャ-ン!!」なども含まれている恐怖の音。擬音が当てはまらないほどの音は、屋根と言う屋根から全ての瓦が雪崩の如く滑り落ちて割れる音だった。全く光りが無い中、街全体の瓦やブロック塀が落ち、しばらく恐怖のこだまとなって人間や動物を恐れさせた。

携帯電話が現在よりも普及していなかった阪神大震災では、携帯電話は固定電話より若干繋がりやすかったが、それも期待出来ないくらいの状況だった、揺れが落ち着き、静まり返った空気の中、私はすぐに犬小屋を庭の真ん中に移し、懐中電灯を持って、母屋に向かった。当時の私の実家は、元々農家だったので古くて大きな建物だった。大黒柱が太くて頑丈であった。しかし、その黒くて大きな影はゆがんでいた。全壊レベルだった。犬も吠えれずにいる暗闇の空、周囲から泣き声や叫び声がかすかに聞こえてきた。家がゆがんだ為、母屋のドアはなかなか開かなかったが、なんとかこじ開けて両親の寝室に土足でかけこむと、母が大きなタンスの下敷きになっていた。母は腰を骨折していて失神していた。父と共に彼女を助けて、比較的安全な離れの私の部屋に担ぎ込んだ。こんな日に私を祝ったが為に被災者となったカノリンヌらも早速、片付けをしてくれていた。片付けをしながら、私は庭の真ん中で恐怖で震えている愛犬と冬の朝を迎えた。








これが、私のリアルな震災体験です。これでもだいぶ端折っています。ドリームシアターの大阪公演は当然中止。彼らも大阪のホテルで震災にあっています。怖いのは、明け方に神戸に帰ったたっふるの車が高速道路から降りた後、その高速道路が横倒れした大惨事となりました。虫の知らせだったようですが、危ない知らせです。私の誕生日パーティもなぜ、その日になったのか、そして、普段ならやらない二次会をする為に大阪から尼崎に移動した事。偶然とはいえ、不思議でなりません。しかし、あの時になぜか皆、もやもやした興奮状態であったのを憶えています。地震前に出す電磁波が身体の中の水分を刺激したのかもしれません。

次の日から1週間くらい全ての交通が麻痺、尼崎周辺でも死傷者が続出。私の実家の近所の二階立てアパートは地割れの中に落ちて、丸ごと無くなっていました。仕事仲間や友人の友人や家族が犠牲になっていました。当時の私はテレビの報道機関のCGの仕事もやっていたので、勤務地の大阪の梅田までチャリで往復していました。被災者だからこそ、秒単位の情報が必要なのが分かるので、気持ちとして休む事など出来ませんでした。雨が降る前に実家や離れの修復。近所の手伝い、日勤、泊まり勤務。御陰でPTSDになる暇もありませんでした。ある程度、家の事や弟や妹の事が落ち着いた震災一ヶ月後、私は当時住んでいた部屋で、突如、金縛りと過呼吸に襲われました。気づかないふりをしていた溜まりに溜まった疲労が気を緩めた瞬間に決壊したのでしょう。その夜、初めて救急車に乗りました。


今後の地震は阪神淡路大震災と同等か上のもの。私が生きている間に一つや二つ、ドでかいのが起こるかもしれません。皆で助け合って生き残るのみです。今週辺り、尼崎に帰って黙祷して来ます。













「菩須彦ライブペインティング日記」
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鬼ごっこ

2010年01月23日 | ボスヒコの「恐怖夜話スペシャル」
今は忙しくてベッドに乗った瞬間に寝てしまうので無理ですが、私はホラー小説をホラー映画のBGMをかけながらベッドで読むのが好きでした。しかも夜中です。どこかで鳴るちょっとの物音でも臨場感を作り出します。




ある夜中、眠気が来たのでいつものホラーセッティングしようとベッドルームに移動していた。


ベッドルームの方向から何かの物音がする。


不思議に思ったその直後、いつもCDデッキに入れていたホラー映画のサントラが鳴りだした。


私は小さな声を上げ、ベッドルームの灯りを付けた。


明るくなった部屋には誰もいない。


CDデッキにはタイマー機能など付いていない。


いつも夜中に音楽を鳴らすので、常識的な小さな音量に設定している。


「なぜ、鳴っているんだろう…」とほんの少しだけたたずんでいた時に、少しづつ、音量が大きくなってくるのが分かった。


怖いというよりも、夜中に大きな音を鳴らしてしまうという非常識さを恐れて、慌ててCDデッキの停止ボタンを押した。




しかし、音は鳴り止まない。




私を煽るように大きくっていく音。




そこで、背後に何かの気配を感じた。


鳥肌が立ち、恐怖を抱いた私はCDデッキの電源を一気に抜く。










急に音が鳴り止んだ静かな部屋で、私が振り返って見たモノは、壁に向かって走り出した子供の後ろ姿だった。


どこかの幼稚園の服装をした子供が黄色いバッグを弾ませながら壁に消えて行った。







恐怖心が作り出した映像なのか。CDデッキはどこも壊れてはなかった。













わああああああああ!!!                 ボスヒコ
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夕日に見る

2009年10月18日 | ボスヒコの「恐怖夜話スペシャル」
夕日。


夕日につきものは長い影。


小学3年生のタカノリ君(仮名)は、公園で友人達と遊んでいた。その日の
遊びはドッジボール。7人対7人で人数も程よく、接戦となっていた。気づくと
もう陽が落ちかけている。1点差で買ったタカノリ君がいるチームは明日への
試合も意気揚々と挑んでいた。帰り道が途中まで一緒のヨコタ君(仮名)と
今日のドッジボールを振り返ってはしゃぎながら帰っていた。ヨコタ君は
タカノリ君の背よりも頭一つ分くらい小さかった。しかし、タカノリ君は背が
高い方なので、ヨコタ君の印象は背が低いわけではない。夕日に照らされ、
目を細めて帰る2人。すぐそこの曲がり角でヨコタ君と別れる道がある。
前方から車がやってきたので、2人は道の片側に避けた。2人の影が重なる。
その影が異様に長かった。タカノリ君は不思議に思い、目を凝らした時、
「んじゃーねー!!また明日!!バイバイ!!」と、ヨコタ君が帰る方向に
走って去っていった。タカノリ君は影から目を離して、ヨコタ君に向けて
返事をした。一瞬だったが、ヨコタ君の影だけがおかしいのが解った。2人の
影が重なっていたから解らなかったのだが、異様に長い影の正体はヨコタ君の
影だったのだ。身長が自分よりも低いヨコタ君。ほぼ同じ位置に立っていた
のに彼の影だけが長い。タカノリ君はその影の異様さに硬直してしまった。
なぜならば、ヨコタ君の頭の影だけが長かったのだ。ヨコタ君が離れていく
ほど、その頭の影は普通の大きさに戻って行った。陽が落ちかけている。
タカノリ君はあまりの怖さに走って帰った。その夜、両親にその話をした所、
笑わられて相手にされなかった。

あれからあの異様な影を見る事もなく、ヨコタ君にも何も起こらなかったので、
自然に忘れていった。4年生になる前の日、タカノリ君ら10名は廃墟となっている
比較的小さいビルでかくれんぼをしていた。そこの廃墟は良く言われるお化け
屋敷と言う感じではなく、割と人通がある道路に面しているため、昼は
子供達の遊び場となっていた。オニの役のタカノリ君はまずはめぼしい場所を
捜しに行った。もちろん、隠れている側からすれば、新しい隠れ場所を開拓
しなければならない。タカノリ君は音を立てずに捜し、皆も息を殺して隠れる。
その時、上の階で大きな音が鳴った。タカノリ君の思考はみっつ。「誰かが
隠れる時に音を出してしまった」「誰かが上へ誘導する為にに音を鳴らした」
「自分達以外の人がいる」だった。どちらにせよ、タカノリ君は音を立てずに
急いで階段を登って行った。音が鳴ったであろう部屋の入り口に来た。ビルの
中のドアや窓ガラスは全部割れたり外れたりしているので、日光がある場合、
全室は意外に明るい。タカノリ君は相手に気づかれないように、ゆっくりと
その部屋の中を覗いた。そこには迎えるような人影がこちらを向いていた。
窓から入る夕日に照らされた人影は逆光で誰か解らなかったが、一目で
それがヨコタ君だと解った。いや、解ったと言うよりか思い出し、そう感じた
のである。そこにあったのは頭が異様に長い人影だった。今、目の前に立って
いる人の頭の部分は、天井から折れ曲がり、垂直になったダクト(空調、換気、
排煙の目的で設備される通風管)が人の頭を覆った形になっていた。ヨコタ君
らしき身体は微動だにせず、そのダクトからぶら下がっていた。まるで、
ジャングルの木の上にいる大蛇が人を頭から呑み込んでいるようだった。


警察の調べでは、子供一人の身体がようやく入れる四角柱のダクトの中に
入った時に、風化していたダクトが重さに耐えきれず折れたと言う事らしい。
ダクトと首の接点には一枚の板がアゴを抑えていた。ダクトの中にあった
木の板がダクトの出口を首一つ分を残して塞ぎ、首つり状態になったと言う。
身体がダクトから滑り出た瞬間になぜかダクト内にあった木の板がダクトの
両端に引っ掛かったのだろうと言う内容のもので、事故として処理された。

そのビルはそれから立ち入り禁止となる。廃墟になる前のビルの過去は
いろんな噂が飛び交っていたので本当の所は誰も分からなかった。そして、
首つり原因となった木の板は、ヨコタ君の指紋が出て来たものの、彼が
ダクト内に持って入っていったものか、首を吊った時の触ったものかは
わからない。だから、あの木の板はダクトの中に元々あったものなのか、
ヨコタ君が廃墟内で拾って持って入ったのかは分からなかった。ただ一つ
分かったことがあった。タカノリ君が警察での事情聴取で聞かされた話の
中に、その木の板に書かれていた言葉の話を聞いた。事件性を考えての
確認だったのだろう。木の板には、達筆な墨文字でこう書かれていた。















「まだ終らさん」













きゃああああああああああああ!!!              ボスヒコ
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2009年05月07日 | ボスヒコの「恐怖夜話スペシャル」
昨夜、あるバーで仕事の打ち合わせをしていた。そこのバーには壁全体が
ガラスになっており、常連のお客さんがハコの入り状況をそこの窓から見て
確認してから店に入ってくる。たまに、窓を覗くだけの変わった人もいる。
バーのスタッフ、お客さんの中に好きな人でもいるのだろう。その「窓を
覗く者」はそのバーでは有名な人だった。打ち合わせも終わり、先方も
終電で帰った。私は酒を呑みながら、奥のソファで1人ゆったりとケータイで
仕事のメールのチェックをしていた。カウンターでは明日に母国へ帰る黒人
男性を囲んで名残惜しくも楽しい宴をしていたが、しばらくすると黒人男性
だけになっていた。友達同士の女性のマスターと黒人男性が会話をしだした。

黒人男性は引き締まった身体に白いタンクトップを着ていた。それが反射
して、バーテン後ろにある窓ガラスに写る。光りの加減で、白い顔が浮かび
上がっているように見えた。私はたびたび、それに軽く驚きながら、メール
のチェックをしていた。黒人男性がトイレに立った。私も程よい睡魔が
やってきたので、帰ろうとしたその時、窓ガラスに白い顔が浮かんでいた。
目の辺りや頬は黒い影で見えない。まるで編集でカットしたかのように、
その白い顔は一瞬にして消えていた。私の脳内が「あの窓に顔が見える」
と言う幻想を作り出したのだろう。しかし、黒人男性の白いタンクトップが
映りこんでいると言う思いは違っていた。それにしてもこの奥にあるソファ
であれがハッキリ見えたのだから、真正面にしいる黒人男性は気づいても
良いはず。黒人男性がトイレから帰って来たと同時に私は店を出た。あの
白い顔は「窓を覗く者」であってほしいと言う願いもあって、私はケータイ
を耳にあて、誰かと話していると言う風にして、さりげなく「窓を覗く者」
が店のガラス窓の周囲にいるかどうかを探した。窓の周囲にはいなかった。
しかし、この窓が見える5mくらい先のコンクリートの壁の角に影が入った。
私は急いでそれを追いかけた。角を曲がって見えたものは、走って逃げて
行くあの「窓を覗く者」の背中だった。いつもなら、窓を覗くはずが、遠目の
窓から映る風景は凛々しく男前の黒人男性だけ。私は奥のソファにほぼ、
寝そべっていたので見えなかったのだろう。絶対に勝てる相手ではないと
判断した「窓を覗く者」は特権だった窓を覗くと言う行為じたいをも封印
せざるを得ない腹立ちもあったのかもしれない。女性のマスターの事を想い、
彼の嫉妬が生霊となって、遠くから睨んでいたものの、黒人男性の前の窓
までの情念となって映り込んだのだろうか。それとも、黒人男性にしがみ
ついている女の死霊か生霊なのかもしれない。霊だ、幻想だと断定出来ない
私は、窓からサヨナラを言うマスターに、黙って挨拶するしかなかった。













コワイです。                         ボスヒコ

 押し手ぇ~~~~~~~~~
 

恋愛の果てに見たもの

2009年02月25日 | ボスヒコの「恐怖夜話スペシャル」

飛ぶ分身 前
http://blog.goo.ne.jp/kiske3/e/8d71de31ab0c55dcb9f5212b3f9a0935
飛ぶ分身 後
http://blog.goo.ne.jp/kiske3/e/83bce49db75516850d3e9ce2292ab9a7
オーラの力 前
http://blog.goo.ne.jp/kiske3/e/d0077b8b611607002418fc5b4e33af36
オーラの力 後
http://blog.goo.ne.jp/kiske3/e/01337dd1ae616898f4cc8801cb8ab7fb
ミステリーナイト 5「並ぶモノ」
http://blog.goo.ne.jp/kiske3/e/ada816f8281032e3324a8d1730afe865
ミステリーナイト 6「並ぶモノ」
http://blog.goo.ne.jp/kiske3/e/ca98942941a08f284c4e2b6afeb4a58e


上記の過去の恐怖夜話と同じ関連の話です。ボスヒコの生霊なのか、思念なのか、
ドッペルゲンガーなのか、私を見たと言うその人の妄想なのか、私にもよく
解らない奇妙な話。意味が解らないし、オチも何も無い話でもありますが。


ヤマシタさん(仮名、28歳の女性)は、ある人に告白しましたが、彼が既婚者
だったが為に、丁重に断られました。しかし、ヤマシタさんと彼はそれなりの
関係まで発展していました。結婚している事を知らされていなかった様です。
その相談を私は何度も聞いて、心の傷を私が出来る範囲の言葉で癒したつもり
です。理屈や事実は頭で解っているのだが、恋愛と言うモノは厄介なモノです。


1ヶ月後、ヤマシタさんは失恋を引きずりながらも、数人の友人達と沖縄旅行に
出かけました。夜、綺麗な海辺を皆で散歩して、各自、目が届く範囲に自然と
散らばりました。適当な場所に腰掛けて、静かに波打つ浜辺を見ていたヤマシタ
さんは当然の如く、センチメンタルな気分になり、彼の事を思い出しました。

いくら抑えても溢れ出る涙。せっかくの旅行を台無しにしたくないのに……

その時、深い青色に輝く夜の海から、メロンサイズくらいの大きさの黒い影が
ヒョイと出ました。なんだろう…と彼女が思ってそれを見ていると、その黒い
影の数メートル横に、同じ大きさの黒い影が姿を表しました。あれよあれよと
10個の黒い影が水面に出ています。それがゆっくりと彼女の方向へ流されて
来ます。流されると言うより、意思を持ってこちらに向かって来ているように
思えた時、海から現れたのはなんと子供達だったのです。男の子、女の子が
5人づつ、微笑みながらヤマシタさんを囲みました。ヤマシタさんはよく、霊と
言うものを見てしまう体質らしいのですが、この海から上がって来た彼らは
それと違う感じがしたらしいです。彼らはヤマシタさんに言葉にならない声を
出しています。((ダイジョウブダヨ)) ((ゲンキヲダシテ)) ((ワラッテ))と
自分を励ます声が聞こえた時、ヤマシタさんは彼らの正体が解ったのです。


「ボスヒコさん?」


彼らは特に頷く事もせずに、微笑みながら沖縄の空気にまぎれて行きました。






この話を彼女が旅行した数ヶ月後に彼女から聞かされました。真っ先に思った
のは当然「ありえない」です。なぜ、私が沖縄くんだりまで飛んで、しかも
複数に別れて、海から出て来て、慰める? と、ヤマシタさんに言っても、
彼女はこの説を譲ろうとしません。それくらいの直感だったらしいのです。
彼女が言うには、沖縄に存在する木霊(こだま)が彼女の意思を読み取り、
最も信頼している男性(ボスヒコ)の意思を摘み取ったのかもしれない、と
言う事でした。「かもしれない」と言う憶測に納得する事は無いが、水子なども
無い彼女がこれらを信じて、失恋のショックから立ち上がったのだから、私
としては何の反論もありません。良い話として、「良かったね」と納めました。


数日後、彼女と一緒に旅行に行った女性と話す機会があり、彼女の浜辺での
様子を聞きました。もちろん、上記の不思議な話、相談内容は言いません。
すると、その女性から、更に不思議な話を聞く事となったのです。


「ヤマシタが浜辺で座っているのを見た時、あの子の前に白いモヤが立って
 いてビックリしたんですよ。ひょっとして、地縛霊!?海に引きづり込まれる
 かも!!!ヤバい!!っと思って、あの子を助けようと思って、怖々近づいて
 行ったら、その白いモヤは白い着物を着て、全白髪のロンゲでヒゲモジャの
 男性だったんです。あ、ボスヒコさんそっくりだ!あははははははは!あ、
 ごめんなさい。で、5、6歩くらい歩いて、瞬きした瞬間に消えてたんです」


見る人にイメージによって、霊体と言うものの姿が変わるのかどうか、私には
解りませんが、ヤマシタさんが言っていた話は本当かもしれないと思いました。










子供か!とキスケ勢にいつもツッコまれますが。        ボスヒコ

 押して
 

山が蠢き、血が流れる 最終話

2008年11月23日 | ボスヒコの「恐怖夜話スペシャル」
タ「あ~~~~!!!アレ!!ひょっとして!!アレかも!!!」

ボ「ちっ!!急にデカい声出すな!!!」

タ「あ!いや!ゴメン!!いや~~~~~、アレかもしれんな~~」

ボ「ってか、早くアレを言え」

タ「オマエがよく学校内やゼミで宴会してたやろ?あれのな~、え~と
  な~、いつか忘れたけど、副手のカタヤマが泥酔して皆で顔に落書き
  してオモロかった宴会あったやん?で、その後や。その後、オマエが
  ゴミ捨てに行った時になんか変なん見たって言った時あるやろ。。。
  オマエがゴミ捨てに行った後にな、生ゴミ捨てに行った人がおってん。
  ゴミ捨て場周辺に悪霊が出るとか言う噂をあんまり知らん感じやってん。
  つーか、その人自体、あんまり知らん。で、その生ゴミ捨てに行った
  人な、たしかユッコやったわ。逆に知らんコやったから、憶えてるわ」

ボ「………ってことは、あの黒いモヤがあのコに………」

タ「キミョリに取り憑いたら怖いしな!つーか!怖いな!この話!!」

ボ「………そういや、蜃気楼というか、あの空気がモヤモヤしてた感じ、
  大量の炎のせいで空気がメラメラと曲がる感じに似てた………」

タ「おいおいおい!!ちょっと、オレ今夜、夜勤やで!!!」

ボ「………あ、あの、急に話変わるけど、この話知ってる?ソノダの
  クソパーティでソノダと誰かが殴り合いになった話。殴り合いってか、
  一方的にソノダが殴られた話。その殴った奴、誰か知ってるか?」



あの時に疑問に思った謎が次のタツヤの一言で解明されて、新たな謎に
突入して行く事を悟った。そして、タツヤは躊躇無くある名前を言った。




















「え? アレ?  アレは、  ダースやで」















……。                            ボスヒコ
 押してください!!!!!
 

山が蠢き、血が流れる 11

2008年11月22日 | ボスヒコの「恐怖夜話スペシャル」

私とダースは始発前でグラスを置き、またの再会を約束して、各自の
寝場所に帰った。大学時代、ダースとは普通のクラスメイトの関係
だったので、そんなに仲良くは無く、4回生になるまであまり話した
事も無かった。しかし、今回みたいなふとしたきっかけがあって、軽く
呑みに行ける関係をこのまま続けていければ良いと思った。




数日後、大阪在住の大学時代の友人から仕事の依頼の電話がかかって来た。




ネットでイラスレーターを探していたら、私の会社のkiske3サイトを
見つけたのだった。イラストの容姿とプロフィールで「キミョリ」と断定
出来る情報。彼とも久しぶりに話すことになった。しばらく、「元気?」
という感じの挨拶と近況を話し、それから具体的な仕事内容の話に入った。
ある程度の話が行き着くと、今度は想い出話になる。やはり「あの人は
今!?」みたいな大学時代の共通の友人は今何をしているのだろうと言う
情報交換や推測話と過去のバカ話が中心となり、必然的にあのダースに
聞いた話「ソノダ、ユッコ」の話になった。この電話の主のタツヤは、
1回生からの付き合いなのでほとんどの記憶を私と共有している。怖い
話を嫌がる後輩の部屋での恐怖夜話の宴会や、大学内でやった多数やった
宴会(不可解な黒いモヤを見た時の宴会にも)にもほぼレギュラーだった。
偶然にもタツヤはあの話一連の謎の部分を知っていた。デマの確率は薄い
内容だった。ユッコの自殺原因は失恋が原因だったらしい。相手はもちろん
ソノダでは無い。むしろ、ソノダの執拗なストーカー行為に悩んでいたとも
聞かされていた。私はその話を聞いて「あ、つきあっていなかったんだ」と
「さすが、ソノダ、セコい」と思った。それにしても、どんな大恋愛した
失恋であってもガソリンを身体にかけて火をつける狂気じみた自殺が出来る
のだろうか?別れたカレシへの当てつけにしては豪快だ。やはり、古墳や
古戦場跡の人間には目に見えぬ邪悪な力が働いていたのかもしれない。と、
私が曖昧な推測をした時、タツヤは何かを思い出して、大声で叫んでいた。












明日、最終回なんです。                    ボスヒコ

 押してなんです
 

山が蠢き、血が流れる 10

2008年11月21日 | ボスヒコの「恐怖夜話スペシャル」

「おいおい!音楽学科の女、またガソリン被って焼身自殺したらしいな!」
「マジで!?」「マジ!?」「ええええ!!またか!!」「本当に毎年、
 音楽学科のオンナは焼身自殺するってのはマジだったのか!!」「誰!?
 誰!?」「なんとかヒサコとかミサコとかって聞いたわ!」「マジで!?」
 「知ってんの!?」「知らん!」「なんやそれ!」「ヒサコやてヒサコ!
 名字分からへんけど、久しぶりの久に子供の子やったと思うわ!」「確か、
 確かね、カワムラかカワサキか、なんかそんな名字だったような……」







ボ「で、そのバカなソノダの狂った理由は?」

ダ「……ユッコの自殺。カノジョの自殺が原因らしい。ユッコの死体の
  第一発見者はソノダ。まあ、カノジョの自殺死体を見つけたら、
  誰でもおかしくなるかもな。でも、容疑者もソノダだったので、
  ソノダはダブルショック状態で何も考えられないようになったって
  噂で聞いたんだよ。まあ、自殺ってすぐに分かったから容疑は晴れた
  とか。それでも自殺の状態が最悪だからな。普通じゃ無いもんな。」

ボ「普通じゃない? え?何?どう普通じゃ無いの?」

ダ「は?知らんのか? ええ!?俺らの世代では有名な話なのに!?」

ボ「いいいいいいいいから、はやく!」

ダ「ああ、あのな、自分の部屋でガソリン被って焼身自殺したんだよな」

ボ「ガソリン!? おお!!スゲェ!!ガソリンなんかに火ぃつけたら
  ボン!!って爆発する…………。え、ちょっと待って………それって、
  いつの話? ユッコって確か………音楽学科……音楽学科!スゲェ!
  やっぱり、音楽学科ってのは毎年焼身自殺する女が出るんだな!!」

ダ「まあ、今で言う都市伝説的なものもあるだろうけど、このユッコの
  話はマジ。ちょうど俺らも在学中だったから良く憶えてい……おい、
  いつの話って俺らが3回生くらいの時の話だろうが!憶えてないのか?」

ボ「いや、なんかそんな感じの話を聞いたような……え~~、どこでいつ
  ……あ、…………あぁ!!はいはい!!憶えて……あれ!?それって
  名前が、え~~~、なんとかヒサコとかじゃ無かったっけ?」

ダ「それそれ! なんとかヒサコだっただろ!?フルネームはムラヤマ
  ヒサコって言うらしいぞ。」

ボ「いや、だから!!」

ダ「まあまま、あのな、ユッコって実はムラヤマヒサコって名前なんだよ。
  俺らと同じ、本名とニックネームが全然違いすぎるバージョン!!
  おそらく、久子を久をキュウって読んで、キュウコって呼ばれてたのが、
  ユウコになって、ユッコみたいな……。なんじゃソレって思うけど、
  俺らもそんな感じだもんな~。まあ、この話もそんな感じ」





比較的騒がしいバーなので、多少の驚きの声は空間に吸収されていく。
私は数少ないソノダとユッコの記憶を辿った。ソノダに関してはウザい
記憶しか出て来ない。ユッコとなると、ほとんど無い。いくつかやった
私の企画の宴会で1、2回見かけて、少しだけ話した記憶だけだった。
名前とニックネームが全然違うのは、mixiの中でも同じ。だから、この
ネタばらし的な内容には少し驚いたが、それよりも驚いたことがあった。



ユッコでは無く、ヒサコだと思っていた女性が自殺したと思われる時期より
も後に、私の友人の数人が、大学構内でソノダと一緒に歩いているユッコを
目撃しているからである。物の怪を見る側も物の怪として出る側もいにしえ
の古墳が作り出す術。魔が差す空間に閉じ込められていると何が本当なのか
自分だけでは確認出来ずにいる。そして、更に不可解な謎を知る事になる。











こまりました。                        ボスヒコ
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