kiske3の絵日記

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泊まり込み 10

2006年08月04日 | ボスヒコの「恐怖夜話スペシャル」

ドアノブのカミソリはなかなか取れず、その辺に落ちているナイロン袋や
紙袋などでドアノブを巻き、ドアを開けようとするが、鍵がかかっていた。
中から鍵をかけているのか、鍵をかけて出て行ったのかわからないが、
今の私にとって逃げる所はここしかない。いつも財布の中に入れてある
雑誌社から渡されている鍵を探し出してドアを開けた、高田さんがいる
はずの室内は、ライトが消されていて真っ暗だった。入って左側の壁に
室内全体のライトのスイッチがある。手探りで探し出して電気をつけた。

高田さんがいないだけで何も変わった様子はない。どこかで仮眠している
のだろうか?起こして申し訳ないと思ったがそんな事を言っている場合
ではないので、近くにあったタオルを負傷した手に巻きながら大声で
高田さんの名前を呼んだ。「高田さあーん!!!いませんかあー!!!」
返事がない。私がこのビルを出た後、高田さんがいる時にあれだけ入り口を
荒らされているのだから、彼の身に何かあっておかしくはない。この室内の
どこかで倒れている可能性もある。その時にエレベーターが動いている音を
耳にした。来た!ブタが追ってきたんだ!すぐさま私は血だらけになって
いる手で鍵をしめて電気を消した。外の明かりだけですばやく室内の奥の
方に行き、机の下に潜り込んだ。どうやら、エレベーターが4階に着いた
らしい。ドアの辺りに人の気配がする。そして、ガチャガチャとドアノブが
鳴り出した。開けようとしているんだ! その前に警察に電話しなければ!


机の上には社員の内線用に置いてある電話機が置いてあった。彼女はそれを
思い出して、暗闇の中を机の下から手を伸ばして、ありそうな所をまさぐった。
しかし、探している手がペン立てを引っ掛けてしまい倒してしまう。倒した
音は微かな音だったが、この静寂な空間には大きく聞こえる。心臓が高鳴り
出す彼女。その時、入り口のドアが開いた音がする。負傷してタオルを巻いた
右手はまだ机に残したままだった。それも最悪にタオルを巻かれた手の上には
ペン立てや鉛筆などが乗っていた。ペン立ては円形の筒で少しの動きでも反応
して転がる危険性があった。それに、上手くペン立てを転がさずに手を引けた
としても、巻いたタオルの端に乗っている鉛筆などがどうなるかわからない。

八方塞がりの彼女は今、絶対に音を立てれない状態にあった…。

室内に明かりが灯る。ドアの距離からは机の上の彼女の手は死角で見えない。

ドアの辺りの気配が様子をうかがうように動いている。

ケガの為、机に置いてある手に震えがきだした。ペン立ての中に残っている
鉛筆などがクスクス笑い出す。手が動いてしまうのは時間の問題だったが、
なんとか気を振り絞って、左手をゆっくり右手に添えて耐える。彼女は
ふと座っている足下を見た。わずかだが自分が落とした血痕を見つける。


(しまった!!!)

(ドアからここまで、血の道を作っている!!ブタに気づかれているのか?!)



そう思った瞬間に、机の上の物を一斉に落としながら何かが突進して来た。















今から、酒を呑みます。                    ボスヒコ

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