Bankの秘密基地

個人日記兼つれづれなるままに

第一生命(8750) 決算

2010年05月20日 | 銘柄研究



 第一生命の決算が発表され、それと同時に速報ベースのEEVも発表された。3月末のEEVは2兆
8363億円。前年同期比で1兆778億円の増加となっている。増加の内訳は表の通りである
が、修正純資産で5668億円、保有契約下地で5109億円となっており、資産、契約でほぼ
半々であった。上場後に試算した段階では1株当たりのEEVを28万円弱と予想したが、実際に
でてきた数字は28万3630円と当たったように見えるが、中身を見てみると少しおかしい。
私の場合は9月中間からの有価証券の時価増分から計算して28万円弱とあたりをつけたのだが、
修正純資産の9月末と3月末での比較では583億円しか増加しておらず、増加分のほとんどが
保険契約価値の増分からきている。形としては当たったが、偶然当たったのに等しかったようだ。




 一方、業績自体見てみると数字的には割とよかった印象があるが、これだけ大きい会社だと
中身の分析が困難な部分がある。経常利益を取り出せば3倍近くの増益であるが、実はさらに細
かく見てみると経常費用項目である資産運用費用(有価証券売却損、有価証券評価損)が1兆円
以上減少している。一方で、責任準備金繰入額が1兆円以上増加している。昨年度は準備金繰入
額はたったの277億円だ。こうしてみると要するに表面上の数字は結構いじれる感じがある。
そう考えると生保の決算は当てにならないという話しにもなりかねないが、その為に投資家は
EEVなどの投資家持分の計算をするわけである。




 ではフローベースでの分析ができないのかというとそうでもない。まずは新規契約額、契約残高
の増減をみるのが重要だ。前回の分析でも書いたが、保険契約というのは基本的には売れば儲かる
商品なので、その残高が増加するというのは将来儲かってくるという指標でもある。もう一つの指標
は基礎利益である。基礎利益とはいわゆる3利源ともよばれるもので、逆ザヤ、危険差益、費差益を
合計したものだ。危険差益というのはいわゆる「死差益」とよばれるもので保険数理上で推測された
死亡・事故・損害と実際との差で得られる利益を言う。死差益がであるということは要するに保険
数理での推定が保険者に甘く、被保険者に辛いということを指しており、従来はこの3利源に関する
情報については保険会社は開示を極度に嫌がっていたものだ。

 実際の基礎利益はどうだったかといえば、第一フロンティア生命との合算ベースでは18%の増加と
なっている。表面上の数字は悪くはないのだが、基礎利益の多くを占める第一生命単体で見ると状況は
異なってくる。逆ザヤが増加し危険差益が減少したことで減益傾向にあり、今期の予想でも減益になる
としている。本体の第一生命が苦戦しており、子会社の第一フロンティア生命がある程度まで成長しない
とこの状況は変わらないだろう。そのフロンティア生命だが、まだ小粒だが、今期の純利益は160億円
と5割程度の増益を予想している。



 結論はどうなんだという話になるが、まず予想の範囲内。株価についてはがギリシャ問題によって
株式市場がグローバルに不安定になっているので急上昇とはいかなかったようだがまだ割安の
部類に入るだろう。リスクとしては株式市場の大幅な下落だが、こればかりは予測はできない。
とりあえず保有継続をしているが、株式市場が上向かないことには上昇は難しいかも。



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