goo

ツユクサの受粉戦略




少し油断していると、畑や庭にツユクサがはびこる。時々取り除けばいいのだが、放っておくととんでもないことになる。茎を伸ばし、節々からも根を出してはびこってしまうのだ。それはそれとして、ツユクサの受粉戦略はとても興味深い。植物は昆虫や風の手助けで受粉するが、ツユクサは昆虫をおびき寄せ、それができなかった時は自分で受粉する。
昆虫をおびき寄せる手段は、花びらと雄しべの色。花びらは3枚だが、2枚はミッキーマウスの耳のように大きくそばだっていて色は青。残り1枚は、2枚を支えるように目立つことなく小さく、色も白だ。雄しべは5本だが、これがくせ者。小さな黄色い花のように見える3本は、花びらの青と補色の関係の真黄色で際立ち、虫たちを呼び寄せる。だがこの3本に花粉はなく、花粉があるのは舌を伸ばしたような山吹色の真ん中の1本。昆虫はこの花粉を食べるのだそうだが、少ししかないため食べ終えるとすぐに他の花へ飛んでいく。これでは受粉が成功せずと思いきや、さにあらず。花粉がいっぱい付いた雄しべの本体は、グーッと釣り針のように伸び、黄土色の花粉がいっぱい付いている2本だ。虫たちが山吹色の雄しべの花粉を食べている時に、虫たちには本体の花粉がいっぱい付き、他の花へ飛んで行ってめでたく受粉となるのだ。
なんとも複雑な仕組みだが、ツユクサは「露草」と言われるごとく、花が咲いているのは早朝からほぼ午前中までだ。この間に虫たちが来なければ受粉できないところだが、それでも次の仕掛けで受粉する。花が閉じる時に、黄土色の雄しべと真ん中の雌しべはクルクルと丸まって閉じていき、自分で受粉するのだ。「露草」という文字や柔らかそうな花びらからは、はかないイメージを受けるがなかなかの強者だ。植物の受粉戦略は、なんとも奥が深い。
コメント ( 0 ) | Trackback ( 0 )
« ゴーヤ大好き... 宮崎県央の巨... »