■【成功企業・元気な会社・頑張っている社長】029 板金加工の2代目女性社長が「かんざし」を世界に広める 8228-A819
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■ 板金加工の2代目女性社長が「かんざし」を世界に広める 8228-A819
四季の花、猫に金魚、あるいは花札がモチーフの、切り絵のような文様が銀色の輝きを放つ-板金加工の山崎製作所(静岡市、山崎かおり社長)が世界に向け拡販に乗り出したのが、かんざしならぬ「KANZASHI」だ。
しんちゅうや木、プラスチックが一般的な材質となるかんざしに対し、KANZASHIはステンレス製。
リーマンショックで「瀕死の状態の時、経営を引き継いだ」という2代目女性社長が『3代目板金屋』のブランドのもと、KANZASHIを世界に普及させ、上昇気流に乗る同社を更なる高みへ導こうとしている。
同社は1970年、山崎社長の父親が設立した。バブル崩壊時の大口顧客倒産など幾多の試練を乗り越えたが、2008年のリーマンショックのダメージは甚大で、廃業も考えた末、2代目に全てを託す。
2009年にバトンを受けるまで「経理担当の母親をパートで手伝っていた」という山崎社長は「社員に下を向かせているのは経営者の責任。会社を絶対再生させ、景気に左右されない企業にする」と決意。
全社会議を開きコミュニケーションを良くする、社員の良いところだけ見つめ続ける等々を積み重ね、経営を徐々に軌道に乗せていく。
下請け、受託の板金加工はどうしても好不況の影響を強く受けてしまう。
景気に左右されない手立てはないものか…。
浮上したのが加工技術を横展開し、テ-ブル、ランプといったインテリア製品=消費財を自社ブランドで製造販売する事業。
3年前、3代目板金屋として立ち上げて、その一環としてKANZASHIを開発した。デザイン、プログラム製作、レーザー切断、磨き、曲げ加工と何段階も経て、ステンレスの板材がシックなKANZASHIに変貌する。各工程は自動化されているが「磨きだけは手作業」(山崎社長)とのこと。
猫好きで知られた浮世絵師、歌川国芳が描いた「踊る猫」、優雅に泳ぐ金魚をすくい上げ髪に放つ「金魚すくい」、梅にうぐいす、紅葉に鹿など花札の絵柄をあしらった「花鳥風月」…。
同社では、これら“和のテイスト”がタップリのKANZASHIを、国内外で販売し手ごたえをつかんでいる。とくに海外ではクールジャパンのアイテムとして好評のようで、同社では、海外で広め逆輸入の形で日本市場を掘り起こす戦略も練っている。
3代目板金屋のデザイナー兼営業部長として活躍する山崎瑠璃さんは社長の長女。
今月初旬、東京ビッグサイトでギフトショーに出展した際には、百貨店、呉服屋やECサイトからコラボのオファーがあったといい「デザインの力と確かな技術で、板金職人を、よりカッコいいイメージに変えていきたい」と目を輝かす。一方、山崎社長は「板金技術の確実な継承のための事業を推進する。
静岡のモノづくり発信拠点も設立したい」とビジョンを明かす。母娘コンビが板金の世界に吹き込む新風は、更に強まり、高く舞い上がりそうだ。
出典: e-中小企業ネットマガジン掲載承認規定に基づき作成