■【成功企業・元気な会社・頑張っている社長】028 徳島をゲノム編集産業発祥地に、と意気込む徳島大発VB 8221-A808
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■ 徳島をゲノム編集産業発祥地に、と意気込む徳島大発VB 8221-A808
「ゲノム編集は革新的な技術だが、その割にはプレーヤーが多くない。
国内で専業会社は4、5社程度なのでは…」。
こう話すのはセツロテック(徳島市)の竹澤慎一郎社長。
そのうちの1社である同社は専業としては唯一、受託サービスを手掛け実績を上げている。
「創薬で走って、畜産を伸ばす」(竹澤社長)と二つのターゲットを定め、経営理念に掲げる『ゲノム編集産業革命で人々の暮らしを豊かに』の実現に向け突き進んでいる。
同社は、現在、会長職に就く研究者の竹本龍也徳島大学教授と竹澤社長らが2017年2月に設立した。
竹本教授は遺伝子改変(ゲノム編集)マウスを簡便に効率的に作製できる手法を開発し、その実用化のため徳島大発ベンチャーとして同社を立ち上げた。
一方、竹澤社長はポスドク(博士研究員)として遺伝子制御機構の解析などに取り組んだのち、投資会社に勤め、さらに医療関連のメディア会社を東京で起業し、経営者としての腕を磨く。
ある時、「友人から徳島にすごい技術があると聞かされた」のがきっかけとなり転身し、今日に至る。
創業から1年。製薬会社や大学に研究開発用として、それぞれのニーズに沿った改変マウスを提供するなど、すでに、実績を積んでいる。
GEEP法やVIKING法という、いずれも徳島大の知財となるゲノム編集手法の為せる業で、『徳島をゲノム編集産業の発祥地に』と、地域産業への貢献をビジョンの一つとする同社の有言実行の第一歩ともなっている。
同社ではマウスのほか、改変ラットの注文に応じ、改変ブタは開発準備中としている。
ゲノム編集は2012年に「クリスパー・キャス9」と呼ばれる画期的技術が発表されたのを機に研究開発に弾みがつくが、事業化となるとまだまだのよう。
竹澤社長によると、国内の専業他社は積極的な営業活動をしていない研究開発型であり、事業のワン・オブ・ゼムとして受託サービスを手掛けるバイオ企業が何社かある程度だという。そこで「ゲノム編集に特化している我々は、難しいゲノム編集への対応や競争的な価格対応が可能で、アドバンテージが出せるはず」(竹澤社長)と、専業の強みを発揮し、未開の市場を切り開いていく。
創薬を支援するための改変マウスの提供から、畜産や農業へ。
同社では、豊かな暮らしに欠かせない食の充実のためのゲノム編集にも照準を合わせている。
ただ、「先立つものは…」で、少なからず資金が必要なため、竹澤社長自らが資金調達や支援者獲得に奔走している。
その一環として、あまたのベンチャーコンテストに参加し、最優秀賞を相次ぎ受賞してきた。
「多くの投資家と出会え、出会いのすべてが有効だった」と語る竹澤社長は「この1年はあっという間。
とにかく動き回れば何かが生まれると行動した」と述懐する。創業2年目のこれからも、パワーアップした改変マウスのように高速で走り回りそうだ。
出典: e-中小企業ネットマガジン掲載承認規定に基づき作成