夢色

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火月 神の気まぐれ よろずメモ。

<祈りと怪物~ウィルヴィルの三姉妹~蜷川Ver. @シアターBRAVA!>

2013-02-11 | 舞台

昨日の剛ちゃんの舞台、本当に圧巻でした!
蜷川さんの、合唱団にト書きをさせたり、字幕を出したり、性描写が多い演出は、じつはちょっと苦手なのだけど、今回は そんな気になるほどでもなかった。
合唱の人たちのラップも聞き取りやすかったし、違和感がない程度だったので。
何より、4時間集中力が持つかなぁって心配していたのが、あっという間でした。

まず、席が前から10列以内で、しかも花道席だったので、役者さんが登場したり はけたりするときにすぐ横を通り抜けるのです。。。
しょっぱなの、トビーアスが盗んだ荷物を抱えて登場してくるシーン。
すぐ隣をトビーアス剛ちゃんが通り過ぎて行って
もしかして・・・って座席に入った時に期待した通りだったので、もうそれだけで大満足でした
もう顔がにやけて 怪しい人に。。。笑。

気弱でとても優しい青年トビーアス。
ちょっとおどおどしている性格は、金閣寺と似てるかも。
剛ちゃんの かわいらしい声とつぶらな瞳が役にマッチしてて、クリボーな髪型も年末よりは少し落ち着いたみたいで(笑)オーバーオールがめっちゃ似合ってました!
おおきく「うんっ!」って頭を振って頷くところとか
パブロ大好きすぎるトビーアス。
お前らカップルかぃ!!ってくらい
顔が近い近い
「ほら!笑え!」って言われて、ちょっと気持ち悪い笑顔な剛ちゃん(笑)
くしゃくしゃーって笑ったところとか、小さな子供みたいに純粋すぎる笑顔に 胸がぎゅーって切なくなりました

勝村さんのドンは、なかなかの迫力!
ていうか、この話はドンが主人公だと思うんだけど、蜷川さんの意向か、どうもトビーアスがクローズアップされてると思・・・・・・え?私目線だから?笑。

随所に笑いの小ネタが入っているのだけど、クドくなくて めっちゃ笑えた
途中で勝村さんが喋りながら振りかえった時に 足を踏み外して舞台から落ちて、舞台上の他の役者さんもちょっと笑いを堪えてる感じだったので、今のってアクシデント?!ネタ?!って分からなくて心配したんだけど、実はネタだったらしくて、ちょっとほっとした~。
怪我したら大変だもんね。

パブロは若くて欲望に忠実で、結構ウザキャラだった
なのに、最後はやっぱりトビーアスを捨てきれない 大人と子供が同居してる感じの人。
パキオテ役の三宅さんが、かなり良い雰囲気で、白痴で純粋な道化師の役を上手に演じてはって、すごく盛り上げてたと思います。
神父さんとの「なんだね?!」な遣り取りとか、間の取り方が上手~。
三姉妹は、それぞれが本当に自分勝手で自由奔放でいかにもなお嬢様なんだけど、たくましいって言うか。。。
一番まともなのは長女なのかなぁ。
ストーリーは結構良く分からんのだけど全く意味不明ってなっちゃう事もなくて、分からないなりにそんなものか~って、変な不完全燃焼感は なかった。
それぞれの役者さんがすごかったからかな。


トビーアスが、パブロと一緒に大虐殺をする夢のくだりの長台詞。
どんどんと狂気に追い込まれて、そうしないとお前が殺されるって 子供も大人も赤ん坊も殺しまくって・・・
そんな事を追い込まれるようにまくし立てるトビーアスの一人舞台のシーンは。
言っていることは恐ろしい情景ばかりで、なのに 剛ちゃんが喋れば喋るほど どんどん辛くなって切なくなって可哀そうで。
涙が止まらなかった。
そして、ペラーヨ先生を「ボクが殺します」って言って、でも墓地で逃がしてしまった。
その後、まるでその足元に先生が横たわっていて その頭を撃ちぬくように引き金を引くトビーアスは、この舞台通して 誰よりも一番の“強さ”を感じた。
それはまるで、自分の心を壊すように。
自分自身を撃ち抜くように。
そんな音で。
気付いたら私 泣いてた。

なんであんなにおばあちゃんっ子なのかは 理解できなかったけど。
三女をキスで籠絡するところとか、出てきた当初の内気で気弱な青年じゃなくて ドンの手下として悪いことをするのに慣れてきた人のような 黒い迫力があって。
でも最後に雨に打たれながら、ドンに撃たれるシーンとかは、もとの優しくておばあちゃんを大事に思う青年に戻ったかのように「おばあちゃんに これをっ!お願いしますっ!」って懇願して。
ドンに「なんでそんなに悲しい顔をしているのですか!」って。
ドンと向かい合う 最期のシーンはまるで戦い。
でも結局は、おばあちゃんに流され パブロに流され ドンに流され。
自分というものが無い人だったのかしら。

うーん・・・
今回の登場人物の皆は、それぞれ どこかしら性格に解離があるように思えた。
もともと人間ってそういう“善”と“悪”の二面性があるとは思うけれど、それがあまりにもあっけらかんと両立して表されていて、ある意味 すべての登場人物それぞれに 言葉の通じない怖さとか狂気を感じると言うか。
一番普通だったのは錬金術師だったのかも。。。

トビーアスの絶大な存在感は、蜷川Ver.としての 期待を裏切らない出来だったと思います。
もちろん、剛ちゃんだけじゃなくて、古谷一行さんや、染谷将太くんとか、すべての方が 最高の演技だったと思うし、劇としてすごい出来だなって思った。
ストーリーが理解できるかどうかとかじゃなくて、やっぱり良いものは良いね。

思ったことをツラツラと並べただけなので、観てない方には何言ってるのか さっぱりやと思いますが。笑。


2回目の休憩の前、たくさんの蝶が孵化して飛び立つシーンで暗転なんだけど、舞台に舞ってた紙のちょうちょ、ゲットしてきました
最後、カーテンコール3回くらい出てきてくれて、そのたびに剛ちゃんがぴょこぴょこって小走りで走ってきてくれて、皆ニコニコして 古谷さんや勝村さんと顔を見合わせて照れたように笑ってて。
かぁわいい~!!
長時間の舞台を1日2回。
毎回びしょ濡れになっちゃうので、風邪などひかず 体を大事に千秋楽まで頑張ってほしいです!
いやぁでも、皆すごい!ホントにすごい!
観ただけで充実感を感じることのできる舞台でした



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2 コメント

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Unknown (プチトマト)
2013-02-17 00:32:07
私も、祈りと怪物観てきました。

「凄いもの観ちゃったなあ……」というのが、正直な感想でした。

トビーアスが先生を殺す場面は、印象的でしたね~。
トビーアスは、先生を殺したことで、自分の中で壊れることなく形を保てていた最後の心の欠片を、自分で砕いちゃったわけですよね。

その欠片は、絶対に壊すべきものではなかったよなーって感じました。破壊してしまえば、もう怪物になっちゃうようなものじゃないって。

でも、雨の場面を観て、トビーアスは心の全ての欠片を失ったあとも、どうにかして自分を保とうとし続けていたのだろうなと感じました。

難解な舞台でしたし、全てを感じ取ることはできなかったけれど、観られてよかったです。個人的には、蝶の舞う場面がもしかしたら一番好きかもしれません。

長々と失礼しました。
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こんにちは (火月 神)
2013-02-17 10:28:31
プチトマトさん
いつもありがとうございます!
プチトマトさんの曲や番組への考察、深いなぁって思いながら拝見してます。

舞台、凄いの一言でしたよね。
何を伝えたかったのかは少し理解が難しいし、皆なにかしら悪い面を抱えてる人達ばかりで、ある意味救いがない話だったと思うけど。
でも私は、ドンが歩きながら消えて行くのを見送りながら、どこか優しい気持ちになりました。
不思議な舞台でしたね。
蝶のシーン、確かに一番清らかというか、純粋なシーンだったと思います。唯一救われたのは、あの夫婦だったんですかね。

トビーアスの悪と純が混在してる性格、難しいですが、哀しい人だったのじゃないかと。
その揺らぎながら壊れゆく心が、切ないながらも、迫力や凄みがあったと思います。

またアルバム発売など、これからも色々 プチトマトさんの感想、楽しみにしていますね
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