森かずとしのワイワイ談話室

平和・人権・地球・子育て・教育・くらし・そしてまちを語る

ホームレス問題の現況~公的扶助研究会全国セミナー、夜回り定例会議

2012-09-08 23:37:10 | ホームレス支援
 昨日は、一日ホームレス問題を改めて考える日となった。全国公的扶助研究会の全国セミナーが金沢大学で開かれた。金沢夜回りの会で一緒に活動する金沢大学の杉田真衣準教授が、特別講座で「今、ホームレス支援に何が求められているか」と題した報告を行った。夜は、金沢夜回りの会の定例会議で、金沢の現状と課題について意見交換した。

 セミナーの要項では次のように述べられている。
ー厚生労働省が2003 年以降毎年1月に実施している全国調査(概数調査)によればホームレス(路上生活者)の数は減少傾向が続いています。しかし、ホームレスをめぐる問題は、決して順調に解決に向かっているわけではなく、派遣切り、ネットカフェ難民、刑余者、貧困ビジネスなどに見られるように、わが国では、この10 年の間に安定した住居を持つことのできない人々は多様な形で広がっており、潜在的なホームレスは、むしろ増加しているといえます。「ホームレス自立支援法」の期限を延長する同法の一部改正案は本年6月、衆参両院において全会一致で可決・成立しましたが、この法律を空洞化させないための努力が求められています。この講座では、研究者からの問題提起、地元・金沢の支援グループからの活動報告などをふまえ、ホームレス支援の今日的な課題と展望を探ります。ー

 この状況については、私たちは肌で感じてきたし、協力した「広義ホームレスの可視化と支援策に関する調査」でも明らかにされている。新自由主義の蔓延によって、広範な年齢層で進行する見えざる貧困を前に、私たちの活動はあまりに小さく、試行錯誤が続いている。杉田さんは、夜回り活動の中で出会ってきた野宿者や生活保護に移行した当事者へのアフターフォローを通じ、当事者にしか分からない生き難さを学んできたと報告した。傍目に怠惰にうつる野宿者は、実は話を聴いていくと、社会の中での挫折と無理解の悪循環にあがいてきたことが分かってくる。望んでも得られない就労、アルコールやギャンブルなどへの依存的傾向、焦りからあきらめへ心理的な変遷・・。杉田さんは若者研究の立場からも、雇用環境の不安定化が背景として深刻であることを指摘している。
 名古屋で自立支援事業に携わる報告者は、広義のホームレスは、社会的なつながりを喪失したことから起こってくると定義した。その回復のために、就労、生活の相談事業を名古屋市から委託されている。私たちの活動に重なる部分が公的な事業として行われているのだ。

 生活の自立への困難さ、孤独感、孤立に対する支援のあり方を巡り、夜回り会員間でしばしば議論が起こる。そのために、私たちは二ヶ月に一回、情報の共有と共通認識をえるために定例会議を行っている。夜は、その定例会議で、野宿者の現況とサポートのすす方について意見を交わした。これには、松ヶ枝福祉館に事務所を持つ金沢市社会福祉協議会に協力を頂いている。安否確認の接触から信頼関係の構築、本人の意思確認、具体的な支援の実行とプロセスがあるが、その段階を判断すべき野宿者との関わりについて協議した。また、刑期を終えて出所後の更正支援についても、保護観察にNPO等を担い手とする新たな制度があることと、金沢市内の民間事業者に委託されていることが情報共有できた。これは私のテーマでもあるので、早速視察したいと思っている。

最新の画像もっと見る

コメントを投稿

ブログ作成者から承認されるまでコメントは反映されません。