あまでうす日記

あなたのために毎日お届けする映画、本、音楽、短歌、俳句、狂歌、美術、ふぁっちょん、詩とエッセイの花束です。

ジョン・チーヴァー著・川本三郎訳「橋の上の天使」を読んで 

2019-03-13 12:59:11 | Weblog


照る日曇る日第1214回

村上春樹の翻訳によるジョン・チーヴァーの短編が良かったので、今度は川本三郎訳にて読んでみることにする。全部で15編だが、村上版とのダブリは少ない。

1912年にマサチューセッツ州クインジイに生まれた著者は、1982年に70歳で死んだが、ニューヨークとその近郊の住宅地を舞台にした中流階級のWASPを主人公にした心理小説を、雑誌「ニューヨーカー」などに発表して後年の輝かしい文名を築き上げた。

「サバービア」(郊外人種)を見つめるチーヴァーの視線は、あくまでもクールで、文明社会の矛盾の本質を衝いていると感じられるが、表題作の「橋の上の天使」に象徴されるように、絶望とペシミズムの彼方に、一瞬垣間見られる虹の光彩をみると、読者である我々もほっと救われるのである。

いかに絶望的にみえようとも、人世に希望は、ある。と信じたい。


   今もなお五七五七七が大王の治世を言祝ぎ下支えする 蝶人

コメント    この記事についてブログを書く
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする
« 2018年版共同訳で「旧約... | トップ | 2018年版共同訳で「旧約... »
最新の画像もっと見る

コメントを投稿

ブログ作成者から承認されるまでコメントは反映されません。

Weblog」カテゴリの最新記事