永田和宏編「寄り添う言葉」を読んで
照る日曇る日 第2057回
歌人&科学者の永田和宏が、作家の小池真理子、医師の垣添忠生、歌人の小池光、そして鳥取で多くの患者を看取ってきた内科医の徳永進と対談した書物だが、愛する同伴者に先立たれた悲痛を交々語り合う。(徳永医師は例外です)
掃除機のコードひっぱり出す途中にてむなしくなりぬああ生きて何せむ 小池光
それがどれくらいのダメッジかはうすうす想像していたが、これほど肺腑を抉られることになるものとは読むまで分からず、もしも自分がそうなったらどんなに悲惨なことになるだろうと、深い溜息をついたりところどころで、涙がチョチョ切れたりしました。
笑ふより外はえ知らぬをさな子のあな笑ふぞよ死なんとしつつ 窪田空穂
もう十分に生きてきたわけだし、妻も私もいつ死ぬかわからないが、できたら先に旅立ちたいものだ、と虫のいいことをひそかに考えました。
うはごとに「パパかはいそう」と言ひたると看護婦さんに後に聞きたり 小池光
「お父さんを頼みましたよ」わが髪を撫でつつ子らへ遺せし言葉 永田和宏
神奈川の中井やまゆり園の職員が利用者の肛門にナットを突っ込む 蝶人