「鋭きも 鈍きもともに 捨てがたし 錐と槌とに 使い分けなば」
幕末期の日本で最も大きい私塾「咸宜園」(かんぎえん)の
塾主であった儒学者・広瀬淡窓(ひろせたんそう)が詠んだ和歌です。
「人間には人それぞれに個性があり、違った能力があるものである。
その能力を生かすことこそ大切」
といった教育法に感化され「咸宜園」の門を叩いた塾生は4000人を超えたと言われ、
その塾生の中には、靖国神社の銅像として知られる天才参謀・大村益次郎や
蘭学者の高野長英、日本初の写真家・上野彦馬など、数多くの有為な人材が輩出されました。
厳しさと優しさを備え、儒教の教えの根幹は「敬天」と捉え、
「天が求める生き方をすれば、必ず良い報いが得られ、
悪い行いをすれば必ず悪報がある」
という人生観に基づいて、淡窓が考え、実践したのが「万善簿」でした。
「万善簿」とは、
ひとつ善いことをしたら白丸をひとつ。
悪いことをしたときには黒丸をひとつ。
白丸から黒丸を引いて白丸の合計が1万になるのを目指して、
ひたすら善行に励み、悪行を戒めることを「帳簿」につけ、
自らの日々の生活態度を厳しく戒めたといわれています。
54歳から始めた善行を晩年までつけ続け、67歳で見事1万善を達成します。
「人生は習慣の織物」と言われるように淡窓の「万善簿」は、
人物の偉大さと良習慣の密接な関係を示してくれます。
「手帳」のご活用方法として、「万善簿」をつけてみるのは如何でしょうか。
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