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Blood Diamond Dicaprio (キンバリー・プロセス/少年兵問題)

2013-01-09 16:56:41 | 映画 音楽

 キンバリー・プロセスとは非合法なダイアモンド取引を世界から一掃することを目的としており、ダイアモンド原石が国境を越える際には、当該原石が紛争とは関わりのない地域から採掘された石である事を政府が認定するキンバリー・プロセス証明書を添え、不正に開封できない容器を使用する事が定められている。

 このような努力の結果、当初ダイアモンド原石の全流通量中4%程と推定されたコンフリクト・ダイアモンドは、現在では1%以下であるとされる。

 

 

本作の主題は「少年兵問題」と「紛争ダイヤモンド(=ブラッドダイヤモンド)」。

 

少年兵問題

 映画では、RUFが村人の手足を切り落とす信じられない残虐行為を行う場面があります。

これはどうも有名な事実のようです。

後藤健二さんの「ダイヤモンドより平和がほしい~子ども兵士、ムリアの告白」(汐文社)。

この書物の中で後藤さんは手足を切断された被害者が収容されている「アンプティ・キャンプ」を実際に取材し、被害者のこんな声を紹介しています。

「(RUFに切断された)右手を見るたびに、おれたちにはもう手がないんだと思うと悲しくなる。これが、おれたち一家が背負った現実なんだ。たとえ戦争が終わっても、おれたちは一生このことを忘れることができない」(同書23頁)

 こんな恐ろしいことを実際に手を下したのは、皮肉なことに、なんと10歳から16歳程度という少年兵でした。

映画に描かれているとおり、少年たちは、RUFに拉致され、親を殺され、薬物漬けにされ、恐ろしい殺人マシーンに変身させられてしまったのです。少年兵は、アフリカだけで20万人もいる、と映画は訴えます。

 何故、少年兵がこれほど増えてしまったのでしょう。土井弁護士は、「安い。早い。うまい。」からだと説明しました。村を襲って誘拐してくるわけだから簡単に集められるし、子どもは洗脳が容易。しかも、武器の発達によって子どもでも結構な働きができる。
 P.W.シンガー氏は、著書「子ども兵の戦争」(NHK出版)において、少年兵が生まれた背景に武器の発達を挙げています。少年兵が用いるAK47(カラシニコフ自動小銃)は重さわずか4.7キロ、メンテナンスもほとんど必要がない。子どもは30分ほどで使い方を覚える。このため、「一握りの子どもたちが、ナポレオンの歩兵連隊に匹敵する射撃能力を持ちうるわけだ」(「子ども兵の戦争」71頁)という状況なのです。

 映画では、子どもを兵隊に教育する過程も、実に正確に描かれています。ソロモンの息子は、村人を目隠しして殺害する、儀式的な殺害行為をさせられますが、シンガー氏によればこれは事実。同氏によれば、「儀式的殺人は組織の権威に対する抵抗心をなくさせ、殺人にまつわるタブーを破るのが目的であって、子どもたちをおびえさせるばかりか、最悪の暴力行為に荷担させる」(「子ども兵の戦争」109頁)というわけです。同書には、少年兵のこんな言葉が紹介されてします。

「村には帰りたくない。ぼくが村中の家を焼き払ったから。みんながぼくをどんな目に遭わせるかわからない。だけど、きっと痛めつけるはずだ。受け入れてくれるとは思えない。」(「子ども兵の戦争」109頁)

 シンガー氏の書物によれば、少年兵を「ブラッド・ネバー・ドライ(乾くことのない血)」等の恐ろしいあだ名で呼んだり(同書107頁)、少年兵の体に「RUF」と文字を刻んだり(同書108頁)、麻薬漬けにしたり(同書119頁)という映画の描写は全て真実。それどころか、「戦争が終わるころにはRUFの戦闘員の推定80%以上がヘロインかコカインを使用していた」(同書120頁)というのです。RUFでは、「戦闘要員の80パーセントが7歳から14歳」(同書32頁)だったというのですから、実に深刻な話です。

 後藤健二さんは、元少年兵で施設でリハビリを受けている、少年ムリアを取材しています。「キラー・イン・ザ・ブッシュ(藪の中の殺し屋)」というあだ名を持っていたというムリアの顔には、三日月型の傷があります。これがなんと、麻薬を埋め込んだ痕だというのです。ムリアは言います。

「カミソリで切って、そこに麻薬を埋め込むんだ。埋め込んでぬいあわせる。麻薬を入れられると、とても正気じゃいられない。殺したいと思った相手をすべて撃ち殺してしまうんだ」(「平和が欲しい」43頁)

 もう、なんにも言うことはないでしょう。子どもをこんな形で兵隊にするのは、明らかに間違いであり、犯罪です。

 映画のエンドテロップによれば、アフリカだけでも未だ20万人の少年兵がいるといいます。

(「ブラッド・ダイヤモンド」エドワード・ズウィック監督 2006年アメリカ )

http://www.mklo.org/cgi-bin/mklo/mklo.cgi?no=27&continue=on#continue

 



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