┌───今日の注目記事───────────────────────┐
「人生を安定させる三つの柱」
『致知』2013年3月号
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天役(天から命じられた役目)を知るにはどうするか。
『致知』にご登場いただいた人たちの姿に思いを馳せると、
三つの資質が浮かび上がってくる。
一つは、与えられた環境の中で不平不満を言わず、
最善の努力をしている、ということだ。
一道を拓いた人たちに共通した第一の資質である。
住友生命の社長・会長を務められた
新井正明氏はその典型だろう。
兵役にあった氏はノモンハン事変に参戦して被弾、
右脚を付け根から切断した。二十六歳だった。
帰還した氏を会社はあたたかく迎えてくれたが、
若くして隻脚の身となった苦悩は限りなく深かった。
その最中、新井氏は安岡正篤師の
『経世瑣言(けいせいさげん)』で一つの言葉──
「いかに忘れるか、何を忘れるかの修養は
非常に好ましいものだ」
に出合い、翻然とする。
「自分の身体はもう元には戻らない。
ならば過去のどうにもならないことを悩むより、
現在自分が置かれているところから
将来に向かって人生を切り拓いていこう」
この瞬間から新井氏は真の人生を歩み始めた。
二つは、
「他責」の人ではなく
「自責」の人、であることである。
幸田露伴が『努力論』の中でこう指摘している。
大きな成功を遂げた人は失敗を自分のせいにし、
失敗者は失敗を人や運命のせいにする、
その態度の差は人生の大きな差となって現れてくる、と。
古今東西、不変の鉄則である。
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