白磁馬上杯の削り

 

月が変わった途端に　

工房に入ってくる　風が　涼しくなりました　　

夏から　秋へと　季節は　移ろいでいくようです

 

散歩道　ふっと　空を見上げたら

あらっ！　こんなに色づいていたのですね

今年のお味は　どうでしょうか？

 

 

工房は　お休みもなく　ろくろの音が　響いています

白磁の馬上杯の削りが　進んでいます

 

これが　なかなか難儀で　直径が小さいので

削り台も　高くて小さな　不安定な台になります

その上での削りになるので　１個に要する時間が

かなり　掛ります

一日に　頑張っても　数個です

 

 

やっと　今日　仕上がりました

シンプルで　綺麗な形に　生まれ変わりました

 

 

どんどん仕上がるので　私の水ぶきも　大忙し

外に出かける時間もないほど

頑張って働いておりましたが・・・

 

 

先日　風が強く吹く日に　ちょっと　配り物があって

ご近所に出かけました

そしたら　久しぶりに　Ｓさんと　道端でバッタリ

話がはずんで　つい時間を忘れてしまいした

 

そうです！　お昼御飯が　遅くなってしまいました

削りで神経が　ピリピリしている夫は　おカンムリ！

 

完璧に　返す言葉もなく　お小言を　神妙に　きいておりました

ところが・・・

 

窓を背にした　夫の後ろで　風にあおられた　洗濯ものが　

ふわり　ふわり　揺れています

 

「出て行ったら最後・・・」　　ふわり

「時間も忘れて・・・」　ふわ　ふわ

「ごはんも・・・」　大きく　揺れて　ふわ～り

 

「アッ！　飛んだ！」私

「何が？」　夫

「洗濯ものが　落ちた！」　私

 

 

夫は　屋根に落ちた　洗濯ものを

拾ってきてくれました

 

夫に　「ありがとう！」と　言うと

なんだか　可笑しくなって　あはは・・・笑い出してしまいました

 

「まったく・・・」と　いいながら　夫のお小言も

秋風が　どこかに　運んで行ってくれたようです

 

ふふふ・・・秋風さん、　ありがとう！

 

佳秀窯

http://www.nishiyama-tadashi.com/