有田焼で白磁・青磁を作っています。
佳秀窯日記



 

季節は 行きつ戻りつ 三寒四温のこの頃です

ここのところ 雨続きでしたけど 

今日は 久しぶりのお天気になりました 

友人から「河津桜がきれいでしたよ」とのメールをもらって

夫と 「チャイナオンザパーク」の 河津桜を見に出かけました

 

 

今年初めてのお花見です

生の土を扱う夫の仕事は 仕事の区切りがつくまで 

外出が出来なかったりします

きょうは 削りの作業が一段落 

気分転換に 出かけました

と言っても 我が家から 10分くらいの近場ですが・・

 

 

今年は 例年に比べ 開花が早いようです

青空の下 満開の河津桜のトンネルは やさしく迎えてくれました

年が明けてから 色々と 忙しさが続いて

ほんの30分程度のお休みでしたけど

久しぶりに ホッと ひと息できました

 

 

私の実家は 以前 田舎で小さな酒屋さんを営んでいました

昔は コンビニも スーパーもない時代だったので とても忙しくて 

近くに住む T姉ちゃんが 学校から帰ると 私達 兄妹3人の子守をしてくれました

私達をおんぶしすぎて 背中の洋服が裂けるくらいまで 

お世話をしてくれたのだと 母は感謝していました

母も T姉ちゃんのことを とても可愛がっていたのだと思います

 

お婿さんのNさんは T姉ちゃんが我が家の娘だと勘違いして

Tさんをお嫁さんにください」と 父のところに挨拶に来られたと聞いています

 

最初は なんだかんだと お嫁に行くことを渋った T姉ちゃんだったらしいけど

父が「この人は 真面目でしっかりした人だから 間違いない 行きなさい」と勧めたといいます

 

 

私の事も 自分の子供のように 「元気にしてる?」と

折々に 電話をくれて 案じてくれているのです

 

そのT姉ちゃんから 早朝電話が入ったのは 数週間前の事でした

「あのね 今朝がた お父さんが逝ってしまったのよ」と

 

Nさんは すでに90歳を越えて 最近では 高齢者の施設に入って療養されていると

聞いていたのですが 大往生だとは言え 

80代半ばになって ひとりぼっちになったT姉ちゃん 

ポツンとさみしくなります

 

電話口の T姉ちゃんの言葉は 続きます

「お父さんはすごかったよ 家の前の通学道路が土埃で汚くなると 子供たちが危険だからと

掃除してきれいにしていたし 欄もたくさん育てて皆さんに見ていただいていた

子供たちにも 私にも やさしく とても良くしてくれたのよ・・・・

子供たちも お嫁さんも 私にとても良くしてくれて・・・」

永遠に続きそうな 実直で勤勉な Nさんへの賛美と

気遣いをしてくれる 家族への感謝の言葉でした

 

こんなに 自分のご主人の事や家族の事を 褒めちぎる人を 

見たことがないのです

 

「何か 嫌なところはなかったの?」 と 意地悪にもちょっと聞いてみたいとも

秘かに思ったりするのですが これまで 一度も聞いたことがないのです

結婚を勧めた 父に対する気遣いかもしれない・・などと 

勘ぐってみたりするのですが・・・

 

私達兄妹はもちろん 私の両親にも Nさんは とても良くしてくださって

感謝とお礼を伝えたくて お別れの挨拶に出かけました

 

おまいりをして 会場を後にしようとしていると

「姉ちゃん」と 背後から 先頃 校長を辞したばかりの長男のKちゃんの声がして

振り向くと おいでおいで と 手招きしています

「どうした?」とわたし

「あのさ どうも おふくろがおかしいんだ」と Kちゃん

 

「今朝 着替えが済んだかと部屋に行くと おふくろが

それで 今日は 何の日?と 聞くんだよ」 と言う 

 

 

年齢から言うと 無理はない事かもと思いながら

「あのね 昨日電話をもらったとき お母さんは お父さんの事や

あなた達息子の事を延々と ものすごく 褒めていたよ

あなた達のお母さん ほんと すごいよ 真似できない」と 伝えると

 

Kちゃんと 弟のCちゃんは ジッと 私の顔を見て

目に薄っすら 涙を浮かべ

うん うん と 頷いてくれました

 

T姉ちゃんの言葉は 取り繕った言葉ではなかった

今日が何の日なのか 首を傾げる T姉ちゃん

夫や 子供たちを 褒め 讃え 信じている

そのことだけは 揺るぎのない真実なのだと思ったのです 

 

佳秀窯HP ↓

 https://www.nishiyama-tadashi.c

 



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