ポロロ~~ン 携帯の呼び鈴が鳴って ワン切り
あらっ! 友人の T子さんからです
きっと 間違えて あわてて 切ったんだわ~ と 思ってたら
ほどなくして 今度は 自宅の固定電話に 「T子さんケイタイ・・・」と
電話器から 着信の音声がしています
ふふふ・・・ 携帯片手に T子さんの困惑ぶりが 伝わって来て
笑いながら 受話器を取ると
「何笑ってるのよ・・・ 元気にしてる?」 と いつもの明るい T子さんの声です
久しぶりに 会うことにしました
武雄市のレストランの前で 11時半の 約束です
予定通り着いたものの T子さんの姿は見えません
携帯で 「T子さん いまどこ?」と私
「私 ここよ」と T子さん
「ここって どこの建物の前?」
「う~~ん 〇〇というお店の前よ」と T子さん
あたりを見渡してみると なんと 数十メートル離れた別の駐車場なのです
T子さんは ニコニコ顔で 手を振って立っています
「ねえ なんで約束の場所じゃなくて ここの駐車場なわけ?」と
信じられないという私の問いには 応えないで
「ねえ ちょっと わたし ここを見てみたかったのよ~」と 私の手を引いて
何やら 骨董品や 古本など 並んだ そのお店に どんどん入って行きます
こんな場合 たいがい
T子さんの迷走に 引きずり込まれるのが 常です
「あのね カメよ カメ」と T子さん
「カメって 水を入れたり 漬物を入れる あのカメ?」と 私
「いいや」 と T子さんは両腕をヒラヒラさせて 「泳ぐカメよ」
「カメを飼うわけ・・・?」 もう この辺になると 何が何だか 意味不明です
店内を見回して ようやく足が止まったのは
どこかで見かけたことがある あの サケをくわえた熊の置物の前です
「あ~、これで数千円ね。 家にね 大きなカメの置物があるのよ
そろそろ 片づけようかな~と 思ってね・・ そのカメ大きいのよ・・・」と
品定めの様子の T子さん
「ねえ カメ と 熊 大きさだけで比較できるの?」
アハハハ・・・ 二人で大笑い 全く 可笑しなT子さんです
そのお店を出て まさに いま満開の梅園を
ゆっくり 歩いてまわりました
間もなく 孫ちゃんの 医学部への受験が近づいていると
武雄神社でお参りをし
境内では 偶然居合わせた 女性の鷹匠さんにの姿も見られて
ラッキーでした
神社の脇から 細く長い坂道に出ます
その両側には やわらかな 陽射しが
竹林の間から こぼれて 心も身体も
あたたかく つつまれるような気持ちになります
その奥には 樹齢3000年という 大楠が 静かに佇んでいます
樹高 30m 幹回り 20m 樹根は12畳 もあるというのです
さがの名木 100選に なっているらしいです
じっと見上げると その空間だけ 別の世界のように
静寂で 神聖な気が流れているようでした
妹のように可愛がってくれた Tさんは 20年ほど前に亡くなりましたが
こうして その奥さんのT子さんに 何かにつけて 声を掛けてもらって
良くしてもらいます
人の縁とは 不思議で ありがたいものです