「クロス補聴器デー」となっています。
昨日、立て続けに2件の
クロス補聴器貸出を行いましたが
本日は、以前から貸出ししていたお客様の
クロス補聴器ご購入と
すでに使用されているお客様が
修理だしとなりました。
当店では4セットの
クロス補聴器のデモ機を用意していますが
現在、すべて出払ってしまいました。(汗)
このようなことはオープン以来
初めてのことです。
スマホの普及で
インターネットによる検索が容易になったことと
補聴器をはじめとする
「クロス補聴器」や「一側性難聴(片耳難聴)」の情報が
入手しやすくなったことが原因かもしれません。
一側性難聴の方にとって
「クロス補聴器」は、
「希望の補聴器」とも言えますが、
すべての悩みを解消できるものではないことを
お伝えしたいと思います。
クロス補聴器の弱点は2つ。
①方向感はわからない(わかりにくい)
昨日、貸出しした10代の女の子に店頭で次のようなテストを行いました。
クロス補聴器を装着して目を閉じてもらい、
後方から声をかけ続け、
左後方から右後方へ移動しました。
声をかけられる方向と移動したことが
判別できるかお尋ねしたところ
まったくわからないとのことでした。
左耳が失聴の私が車の中でクロス補聴器を使用した際、
助手席に座った嫁の声はききとれるのですが
救急車が近づいてきたとき、
前から来ているのか、後ろから来ているのか?
右から来ているのか、左から来ているのか?
まったくわかりません。
音の死角はなくなっても、
聞こえているのは片耳だけなので
立体的な音のとらえ方は不可能です。
②選択聴取(聞き分け)ができない
周囲に環境音があったり
大人数の会話音声がある場所であったりすると
環境音や複数の会話音声が同時に
きこえる一方の耳に入ってくるため
聴きたい音声に集中する「選択聴取」が難しくなります。
これも昔、実験を行ったのですが
周囲にノイズを付加した状態で
正面から5つほど簡単な質問を被験者に行いました。
両耳聞こえる状態では
多少聞きづらい状況でも被験者は
5つの質問に正解することができましたが
片方に印象剤を注入して片耳聴の状態にしたところ
同じ状況下では
被験者はまったく質問に答えることができませんでした。
複数の音声が混ざり合って
一方の耳に入ってくると聞き分けがかなり困難になります。
私も居酒屋のような騒がしい場所で
クロス補聴器を使用しても
聞き分けすることはとても難しく
神経を使いすぎて非常に疲れます。
方向感や選択聴取というのは
両耳聴があってこそ可能になる能力と言えます。
これらのことを踏まえると
「クロス補聴器」の魅力が
半減してしまうかもしれませんが
きこえない範囲の音声がキャッチできるという点では
かなりの効果が期待できます。
是非、補聴器屋さんで
クロス補聴器の長所と弱点を体験し、
納得した上で
購入を検討してください。