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リモートワークのデメリット

2020-09-25 12:00:01 | 20期生のブログリレー

 稼プロ!20期生の山崎です。今回はコロナ渦で一気に広まったリモートワークについて所感を述べようと思います。

 すっっっっごく便利です。

 通勤時間が無くなる。昨日のように台風が来ても、自宅で仕事をできる。傘をひっくり返され、スラックスはずぶ濡れ、職場に到着した時点でもう体力的にボロボロなんてことが無いのは、本当にありがたいことです。

 ただ、「何かが足りない」ような感覚を持っている方、いらっしゃいませんか? いち労働者としては、余りあるほどのメリットを享受できる一方、組織の要素すべてがフルリモートで完結するかというと、疑問です。仕事は終わります。ただ、その先の発展を想像しづらいのです。

 なぜでしょうか。リモートワークのデメリットを自分なりに考えてみました。

■デメリット
①人的関係性希薄化
 表情・声・態度などの非言語情報、「大丈夫?」などのちょっとした声掛け、雑談などがそぎ落とされ、コミュニケーションの幅と頻度が減退するため、心理的な距離が開き、帰属意識・一体感・組織文化の希薄化、それに伴うモチベーション低下などを招くおそれがあります。特に新入社員など、新規に組織へ加入する人は、そういった実感を得づらくなる気がします。
 
②コミュニケーションコストの肥大化
 周囲の会話や本人の様子から進捗状況やひっ迫感を読み取れないこと、「ちょっとここについて聞きたいんですけど」と立ち話で即興のコミュニケーションをとれないことから、業務に関わる情報を可視化・テキスト化しなければならず、コミュニケーションコストが肥大化します。

③非言語情報減少による情意伝達の困難さ
 テキストのみの情報は、A:微妙なニュアンスを伝えるのが困難で誤解が生じやすい、B:端的な表現が反論と受け取られ対立が先鋭化しやすい、C一度生じた誤解や対立の修正が困難などの特徴があります。それらをカバーするのが情意、つまり表情、声、態度などの非言語情報ですが、リモートワークでは発揮しづらく、互いの利害調整や、異なる主張の妥協点探りなどは行いづらい傾向があります。

④創造的ハプニングの欠如
 他部署や異なる考えの人と会話し、新しいアイデアが生まれる創造的ハプニングが無くなります。特にクリエイティブな仕事を扱う場合に顕著で、かのスティーブ・ジョブズはこれゆえにリモートワーク導入に反対していました。

⑤基礎教育の困難性
 リモートワークは個々人のA:自律性、B:文章力を中心としたコミュニケーション能力、C:情報処理能力、D:(組織内での)常識・作法といった基礎を前提に成り立ちます。いわゆる社会人の基礎と言われる要素群です。それゆえ、新入社員がいきなりリモートワークを行うと、手順としてマニュアル化しづらい常識・作法・仕事の進め方といった部分を教育しづらく、後々本人と組織が苦労するかもしれません。
また、大衆を前にしたプレゼン、互いの主張がぶつかるような議論の場の緊張感は、熱気や圧、視線などの非言語情報から形成される部分が大きく、リモートで同水準の体験を得ることは難しいと思われます。

⑥チェックバック・反映スピード不足
 ドラフト作成など、独力で進められる段階はむしろ高効率ですが、ゴールまで残り1,2割の「詰め」の段階になり、関係者からのフィードバックやチェックバック(感覚的なものを含む)を短時間で反映させなければならない段階では、スピードが見劣りします。「ここをこう直して」「ちょっとここ相談なんだけど」と、リアルタイムで微妙な調整を進めることができないからです。

⑦マネジメント層の負担増大
 以上の内容は全て、マネジメント層の負担増加として跳ね返ります。


なお、メリットは以下のような点と思われます。

■メリット
①通勤がなくなり、プライベートの時間が増える
②育児や障害など、さまざまの事情を抱える人が無理なく働ける
③地理的制約が無くなり、どこでも働ける
④接触リスクがない
⑤オフィス賃料、旅費交通費等の経費を削減しうる


こう考えると、端的に言えば、リモートワークのデメリットは「組織が育たない」点にあり、メリットは労働者個人寄りの要素群であると言えそうです。

もちろん、テクノロジーの利用で解決できる点も多々ありますが、現状、それらのツールは「不足を補う」面が強く、それが冒頭に書いた「何かが足りない」という感覚に繋がるのだと思います。オン飲み(オンライン飲み)などはその好例です。楽しいのですが、ちょっと物足りない感じは残ります。

いち労働者としてメリット①~④を享受しまくっている私ですが、組織のことを考えると、やはりバランスを考える必要があるなと思った次第でした。

コメント (3)    この記事についてブログを書く
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3 コメント

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Unknown (ながいち!)
2020-09-26 22:53:07
「リモートワークは組織が育たない」というのは、端的な指摘ですね。
デメリットが7項目によくまとまっていて、すばらしいなと思いました。職場のリモートワーク談義で使ってしまいそうです。
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Unknown (岡田 英二)
2020-09-27 07:52:09
私もリモートワークのメリットを活用している一人です。
通勤などの時間と労力を診断士の活動(学び)に割り振っています。
このようにメリット、デメリットを整理するとぼんやりとした考えが共有できていいですね。
リモートワークだと独りよがりになりやすい点も注意が必要と感じています。
返信する
Unknown (大井 秀人)
2020-09-27 21:43:10
先週溜まりに溜まった大量の期末押印処理のため、グループメンバーが久々に会社に集まりました。やはりリアルだとたわいもない情報交換は早いです。新入社員は出社でリアルのコミュニケーションが良い効果が出ています。アフターコロナでは、在宅と出社のバランスをうまく設計しないといけないと痛感しました。
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