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20年ぶりに読み返した本からの気付き

2020-08-17 12:00:00 | 20期生のブログリレー

こんにちは。20期生の安納です。

コロナ禍の短い夏休みとなりました。都内在住の親類家族がおりますが、今年は北関東の実家への帰郷を自粛したため、オンラインで盆の棚経を中継することとなりました。墓参りも今年は代行が盛んと聞きます。年中行事も諸々姿を変えていきそうな気配ですが、消えることなく継承できる知恵を培いたいものです。

さて、この度は、先日逝去された報を目にし、再読した外山滋比古氏のベストセラー「思考の整理学」からの気付きと、再読の効果について、触れたいと思います。

この本をはじめて購入したのは、学生時代の末期、まさに卒業論文に着手せんとしていた時期だったと思います。○十年前になるので、手元に置こうとした詳しい動機の記憶は乏しいのですが、恐らく、「考える」ことにそれなりに悩み、対策を求めていたのだろうと思います。

当時本書から得て大切にしていた考え方は2つありました。1つ目に、「寝させる」という、考えを熟成させるために時を置くことを是とすること、2つ目に「セレンディピティ」という、中心テーマから少しそれて周辺知識の結びつきや活性化から新たな発見を期待すること、でした。すぐに答えが出せなくてもいい、テーマからずれていると感じても探求の価値がある、そんな風にスランプ状態を肯定的にとらえるための素地として吸収していたのだと思います。特に、「セレンディピティ」の考え方は、当時傾倒していた萩原朔太郎の世界観とも融合し、自分の生活の中に「積極的迷子行動」として結実していました(名称は仰々しいですが、具体的には、普段通らない通学路を通ったり、バスの終点まで向かったりして、見慣れぬ風景に身をおいてみるという、時間にモノを言わせる趣味の時間です)。

再読いたしますと、総じてこの書籍の魅力が増したことは間違いないのですが、当時の印象も姿が変えるとともに、浮かび上がってくる部分も変化してまいります。印象の変化については、そもそも、「寝させる」ことは集めた情報をまとめ、一定の命題にしたものを対象にしており、ましてや、卒論当時に成果物に悩み「今日のところはこれで勘弁してやるか」とばかりに自分が寝る口実としていい概念ではありませんでしたし、「セレンディピティ」についても、当時と感覚が異なり、自分の課題を明確化させるための過程であるように感じられました。ある瞬間に自分がテーマとしていることが、実は本質とはそれていて、これを是正するために周辺に遊ぶ必要があるのかもしれません。

新たに印象に残った点を2つに絞れば、「触媒」という、さまざまな知識経験を融合し新たな知識感情を生み出す個性・人間のあり方、「手帖とノート」による知識のまとめ方、になります。

「触媒」の考え方は、診断士試験過程で経験したような、専門知識を外部・内部の現象に割り当て、診断と助言を導き出す診断士の姿を彷彿とさせます。企業の過去から未来を紡ぎ出す、よき触媒としての働きをこれからの心がけとして印象を刻みました。「手帖とノート」については、今まであまり考えることがありませんでした。学生時代は講義ノートをよくとったものでしたが、社会の事象、書籍、人づての耳学問、あらゆる情報は知識の源泉であり、こうしていわゆるブログネタで悩むことをきっかけに、情報を集積する行動体系を作り上げるのも重要です。大切なことは忘れないようわざとメモしない、という荒療治も紹介されていましたが、まさに本書はこうした情報整理の工夫を通して上梓された賜物である点は見逃せません。整理と融合、はこれからの活動において大きなヒントになると感じました。

また、こうして過去に読んだ本を再読することも、とても大切なことだと気づきました。新たな知識の吸収に迫られる情報社会の昨今、既読の書籍に立ち戻る機会が少なかったように思えます。しかし今回、再読する時間を設けてみて、過去の自分に出会ったような気がするとともに、時間を経た変化や立ち位置の相違による新たな気付きなど、自身を経過した時間を捉え自省するのに大いに役立つものだと認識しました。

本書の最終章は「コンピューター」で締めくくられており、記憶偏重の学習から思考力重視の学習への移行による新たな人間性の確立を促しています。言葉と考えることを大切にして、今後の講義にも取り組んでまいりたいと思います。

なお、今回のブログは「思考の整理学」(外山滋比古著 ちくま文庫)を参考にいたしました。著者のご冥福を心よりお祈り申し上げます。

コメント (5)
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