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うるう秒

2015-05-15 00:15:13 | 事務局からのメッセージ

こんにちは、事務局の佐野です。

先日5/9の15期生募集のオリエンテーションが行なわれ、6名の方に参加いただきました。そのうち1名の方から早速入塾の申し込みを頂きました。入塾の決め手は、決め細やかに作られたカリキュラムと何より雰囲気の良さだとおっしゃっていました。14年間培われてきた当塾の伝統を受け継ぐためにも、この”良さ”はこれからも大事にしていきたいですね。

さて、話題をがらりと変えまして、今回は”うるう秒”について書いてみたいと思います。
うるう年というのは皆さんお分かりですよね。地球が太陽の周りを365日かけて一周するのを1年としていますが、実は365.242199日かかっているので、4年に一回1日(2月29日)を挿入して、暦を地球の公転速度に合わせるのがうるう年です。
うるう秒も考え方はほぼ同じで、地球の自転に標準時間を合わせるために数年に1度調整する時間がうるう秒になります。地球の自転も24時間きっかりではありません。最近は24時間以上かけて1回転しているそうです。正確無比な原子時計(標準時間)と比較したら当然ズレが生じます。
この調整が今年の7月1日午前9時に行なわれるのですが、実はITの世界では、ちょっとした緊張が走っています。

前回のうるう秒補正は2012年に行なわれましたが、この時、mixiやLinkedinなどにインターネットサービスを提供するサーバが次々障害を発生しました。さすがに銀行や交通のオンラインシステムのようなインフラを支えるシステムは影響はありませんでしたが、ネットユーザの間ではSNSが使えないなど大騒ぎになったのです。なぜそんな騒ぎになったのでしょう。理由はコンピュータなど精密機器が持っている時計にあります。

一体どういう問題が生じたいのでしょうか。コンピュータを例に取ります。地球の自転時間と合わせるため標準時計にうるう秒(1秒)が挿入されます。すると、コンピュータの時計が標準時計に比べて1秒早くなります。

<標準時計> <コンピュータの時計>
 8:59:58    8:59:58
 8:59:59    8:59:59
 8:59:60    9:00:00 -->うるう秒が挿入された!
 9:00:00    9:00:01 -->コンピュータが1秒早くなる!
 9:00:01    9:00:02
  :           :  

サーバと呼ばれる中心的な役割を担うコンピュータは、正確な時間を管理している別のコンピュータ(NTPサーバといいます)から常時標準時計の時間を受信し、コンピュータ時間を補正しています。ところが、うるう秒の補正が行なわれると、下記のようにコンピュータの時計が変化します。

<標準時計> <コンピュータの時計>
 9:00:02.00  9:00:03.00
 9:00:02.01  9:00:03.01
  :           :  
 9:00:02.99  9:00:03.99
 9:00:03.00  9:00:03.00 -->NTPサーバから正確な時間がセットされた!
 9:00:03.01  9:00:03.01 -->時間が過去に戻された!(逆進)
  :           :  

コンピュータの時計はNTPサーバからの時間情報を受ける直前は 9:00:03.99だったのが、9:00:03.00に戻されました。これを逆進といいます。上の例で言えば、コンピュータの中で9:00:03.00~9:00:03.99が2回繰り返されたことになります。もしこの間更新されたデータがあるとすれば順序関係が合わなくなってしまいます。こうしたデータの不整合が原因でコンピュータ内部の処理が混乱してしまい、障害を引き起こすことになります。

では、今年も同様の障害が発生するのでしょうか。
対策としては、NTPサーバからの時間受信を一時止めておきシステムに支障がない時間帯に補正するとか、時間を一気に補正するのではなく徐々に補正していくなどの方法があります。前回障害を起こしたシステムはあらかじめこうした準備を施していると思われますので、今年は大丈夫でしょう。前回問題なかったシステムも問題ありません。でも、2012年7月以降稼動したシステムは対策が十分でない可能性があります。これらは人手で調整してあげなければいけません。今年に入ってからコンサルタントやシステムエンジニアはお客様のシステムがうるう秒対策を施しているかをチェックするよう働きかけていますが、専門家がいないところは(特に大規模かつ複雑なシステム構成)は注意が必要です。

いまやIT無しでは生活が成り立たない世の中になってしまいましたが、今回のお話のようにまだまだ万能ではありません。人間が介在することでなんとか成り立っているのが現状です。テクノロジーを過信せず、自らの生活や生命は自ら守るという気持ちは常に持っておく必要はありそうです。

コメント (3)
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