ウィーンで学ぶ

---ウィーン医科大学心臓胸部外科
留学日記とその後...---

クレムス・ドナウ: ワインレストラン Nikolaihof Wachauへ行く

2007年09月23日 | ウィーン
週末の今日は朝から晴天に恵まれた。気温は20度/10度、寒くはない。これからの季節を考えるとかなり貴重な天候だ。家にいる訳にはいかない。

ウィーンから電車で1時間。世界遺産に指定されているヴァッハウ渓谷の中心地クレムスは2度目だ。ワイン好きの家内が以前から注目していたワイナリー「Nikolaihof Wachau」へ向かう。このワイナリーはBIOで知られ、オーストリア屈指のブランドである。

クレムスの駅からはバスで10分程でMauternに到着。レストランは簡単に分かった。


晴天のため皆、屋外に陣取っている。


木陰のテーブルは涼しく気持ちがいい。屋内はガラガラ。子ども達はその場で友達になり砂利で遊んでいる。

まだ小さい息子はどこでも遊んでもらえる。


ワインはメニューリスト以上にあり、オーナー夫人がtastingを勧めてくれた。何種類でも選べるが、我々はまず5種類のワインを頂く。

家内はメモをとりながら楽しんでいる。自分はRieslingもいいがGruner Veltlinerのdryが気に入った。

食事も美味しい。定番のカボチャオイルをドレッシングに使ったサラダ、牛タンのボイルなど。
 


食事後、オーナーに畑を教えてもらい見に行く。徒歩15分の距離。


周囲のブドウ畑とは違い、ここだけがBio(有機農法:バイオダイナミクス農法)の認定がされている。


こちらのブドウの葉は色が濃く厚みもあり、太陽に向けて葉全体を大きく反らせている。


こちらのワインが美味しいのは一目で納得できる。家内は、葉の一枚がこれほど違うのだから、ボトルにしたら・・いや一生飲み続けたらどれほど健康に違いがでるのだろうかと呟く。

帰りはドナウ川まで歩いた。徒歩30分。


歩き疲れ川沿いに並ぶカフェで休憩。通りの並木は大きな栗の木。時折ドッス、パーンと音がし、栗が落ちてくる。30分程の間に20個以上落ちた。彼は栗拾いを楽しむ。栗も新鮮!?だ。


クレムスの駅からウィーン行きの電車は1時間に1本くらいしかない。待ち時間に偶然蒸気機関車に出会う。


彼はこれが一番嬉しかったようだ。家に帰っても機関車の図鑑を広げ、シュポッポを繰り返していた。

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弁形成術

2007年09月23日 | 病院
この日は弁形成術を得意としているS教授の症例の担当助手でした。

僧帽弁後尖P3 prolapseが主病変でそれほど困難な症例ではないと思っていました。通常通り心房間を剥離し右側左房切開でアプローチしましたが、左房径サイズの問題か、どう展開してもなかなか視野が得られませんでした。それでも何とか教授は弁輪にring逢着用の2-0 Ethibond を全周かけ、病変部をcut and sutureで形成しほぼ逆流は消失したかのように見えました。しかし教授は一部残存しているリークに納得せず、追加運針をかけ、さらにリング用のEthibond糸にも納得がいかずかけ直しましたが・・・。

視野不良のため思うような運針が出来ず、結局人工弁置換術を決断されました。手術途中でも経右房切開もあると打開策も脳裏にはあったのですが、結局大動脈遮断時間も長くなり、弁置換と至ったわけです。

S教授は困難な形成症例も手がけていますが、視野が得られないのではお手上げでした。アプローチもかなり剥離して僧帽弁に近い位置で左房を切開したと思っていましたが、実際はもっと剥離が必要だったのでしょうか。若しくは初めから経中隔切開をするべきだったのでしょう。何れにしても弁置換でさえ困難な症例でした。


2日後、その日の担当助手症例はペースメーカーリードが感染源の三尖弁IEというやや珍しい症例でした。執刀医のG教授は体外循環を確立し右房切開。後尖に2cm大のvegeが着いていて、典型的な所見です。さあどうするのか?

ベテラン外科医のG教授ですが、弁形成術を得意としているS教授をORに呼び意見を求めました。議論の末、形成術で治癒可能との結論になり、彼の助言の下、Cut and suture + sliding で病変部は完全に切除されかつ逆流もなく形成されました。さらにリングで弁輪を補強しました。


どちらの形成術にも学ぶべきことが多く含まれており、大変勉強させて頂きました。
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