意外に売れてる？・・・「中国語で自己紹介ができる本」

昨年の9月、漢和塾の役員でもあり責任講師の金枝瑠璃の著書名で、「中国語で自己紹介ができる本」と言うDVD付の中国語の入門書が発刊されました。出版元であるメディアファクトリーのバックアップのおかげで、多忙極まりない本人にとっても初の書籍が世に放たれたわけです。

ただ、これまた初の出版体験ということもあり、伝えたい内容の趣旨はいいとしても、DVDのビジュアル面や、細かい表現のミスなど、後で手に取ってみると後悔することも多いのは事実。裏話になりますが、DVDでは、本人が、中国語で一番肝心と呼ばれる発音、特に声調の説明を自ら出演して講義しているのですが、何気に私服です。表紙の著書紹介では、ビシっとスーツを着ているのに・・・私も仕上がりを見た時、びっくりしましたが、どうやらディレクターが、初のスタジオ撮影を控えて緊張する著者に、「普段着のままのあなたでいいですよ！」とリラックスさせようとして言った言葉がきっかけのようです。日本に20年、日本語はネイティブにしか思えないほど上手な彼女ですが、さすがに真に受けて「普段着」でスタジオに行ってしまったようです。

めでたく創刊に至りましたが、実は私はこの本はあまり部数は出ないと思っていました。それは、巷に出ている中国語の入門書の内容の豊富さに加えて、「自己紹介ができる」だけの本に1,575円も払わないと言うのが一般論だからです。実際に、中身を見ていただけると、本の4割くらいが発音、あとは自己紹介と最後はカラオケがついているだけだからです。「これ一冊でビジネスOK」とばかりに、商談のフレーズまでついた入門書が存在しますが、購入前の期待感から考えると、自己紹介だけなら480円くらいが妥当と思われてしまうでしょう。

が、実は、DVDまでつけて、どうしてもわかっていただきたかったこの本の価値は、中国語の発音、特に声調と、カタカナやローマ字ではイメージできない音のコツを理解していただくことだったのです。たかが自己紹介でも、発音、特に声調が間違っているなら、下手に中国語で話さないほうがましです。あえて、タイトルを付け直せるとすれば、「中国語を始める前に必ず読む本」と言ったところでしょうか？

ただ、ありがたいのは、発刊から半年以上経ちますが、読者からの音声ファイル作成の依頼が数件来ています。実は、この本は買っていただくとわかりますが、自分の名前、社名、部署をメールで送ると、その方のためだけの自己紹介の音声データが届くというサービス付です。もちろん、DVDで発音の基本を学んでいただいてこその話ですが、出張や赴任前にご依頼をいただいて、いくつか感謝のお言葉も頂戴しています。売れることより、一人でも発音、声調の重要性を理解いただき、中国語が好きになっていただければ・・・著者も私も本望です。

※【中国語で自己紹介ができる本】　著者：金枝瑠璃　出版：メディアファクトリー
　　http://www.mediafactory.co.jp/c000051/archives/028/009/28942.html