中国ビジネスブログ「漢和塾の窓」

中国語や中国ビジネスに関連するテーマを、漢和塾の小川がつらつらと書き綴る・・・

中国語学習者の増加に反比例する講師品質!

2012-06-23 09:25:08 | 中国語
近代史における日中ビジネスは、1972年の国交正常化と1978年の改革開放から始まり、1989年の天安門事件などを挟みながら、2001年の中国WTO加盟から本格化したと言えるでしょう。もちろん、その大半は世界の工場としての位置づけですが、ある程度の大手企業であれば、中国とのビジネスの歴史自体はかなり長いものになっているはずです。2008年オリンピックや2010年の上海万博が、それほど中国経済に寄与したとは私は思いませんが、1978年からの改革開放政策が、紆余曲折ありながらも30年の事業計画として遂行され、一つの完成形を世界に示したのが、たまたま2008年からの発展の勢いだと思います。

日本では、昨年の大地震・大津波の震災と原発事故の人災以降、国内の市場の収縮を予測し、海外に目を向ける動きが加速しました。いわゆるグローバル化という合言葉。同時に、これからは中国、13億の市場と言う声もあらためて世間を賑わすようになりました。中国進出は早ければいいかと言うとそうでもないですが、欧米、韓国企業の進出と比べると、一部の企業を除いては、何をいまさら感が拭えません。が、2,3年が一昔前になるような変化の中では、いずれのタイミングでも、それはそれで新しいチャンスも芽生える国でもあります。

そんな中国とのビジネスの盛り上がりに比例して、中国語の学習者は、大学の第2外国語の選択率を見るまでもなく、企業から個人へと右肩上がりに増えています。喜ばしいことですが、最大の問題は、その中国語を指導する教師、講師が致命的に不足していることです。中国語講師の求人募集を出そうものなら、瞬く間に応募はきます。漢和塾でも、この6年で履歴書だけなら数千通、面接にお呼びした方が千人以上、結果的に登録講師として働いていいただいた方が50名程度でしょうか。残念ながらその50名でさえ、初心者の発音・声調の指導、あるいは上級者の文法の疑問への説明が十分のできる方は一握りです。必然的に、教育も施す必要もありますが、結果、受け入れてもらえずに去っていく方も多く見てきました。

ISO29990なる学習サービスの国際規格が立ち上がり、すでに認証が始まっていますが、そもそも学習の提供者である企業の認証をする上で、いったい誰がどのような基準で認証するのか、学校教育、英語教育でさえ明確な基準もない中で、単純に会社の資金力、余剰人員も含めた社員数、絵に描いた餅のような膨大な資料やカリキュラムぐらいしか判断基準にならないのが現状です。漢和塾では、講師の実力テスト「中国語教育能力検定試験」を通じて、講師品質の客観化をはかって6年が経ちますが、前述のように、最低限の教育スキルを持った講師はほんの一握りです。今年は8月19日に公開テストを実施しますが、中国語学習者の増加を喜ぶ前に、それに対応する中国語教師の品質に目を向けるべきです。ま、商売をされるならご自由にですが、教育を掲げるのであれば避けて通れない永遠の課題ではあります。

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