さわやか易

人生も歴史もドラマとして描いております。易の法則とともに考えると現代がかかえる難問題の解決法が見えてきます。(猶興)

「坤為地」(その2)初六、六二

2024-08-25 | さわやか易・講座

「初六、霜を履みて堅氷至る。」

「坤為地」は全部が陰爻で出来ており、一番下にある爻を初六という。初六は未だ微弱なる陰と見る。霜を履むという微弱なる陰から、漸次に進んで、堅氷という強く盛んなる陰に至るというのである。陰の微弱なる時に注意しなくてはならないと戒めている。

孔子の残した文言伝にはこの爻を解説した有名な文章がある。紹介すると。

「積善の家には、必ず余慶(よけい)あり。積不善の家には、必ず余殃(よおう)有り。臣、其の君を弑し、子、其の父を弑するは、一朝一夕の故に非ず、其の由って来る所の者、漸なり。~」とある。もう少し続くのだが、意味は良い行いをする家には良いことがあり、悪い行いをする家には悪いことが起こる。家来が主君を殺したり、子が親を殺したりするような大事件は、一朝一夕に起こるものではなく、少しづつ積もり積もって大事件にいたるものである。というのだ。被害者の君主にも、親にも、日頃からその原因をつくってはいなかったかが問題であるという。流石は孔子である。この解説の方が有名になり過ぎて、これは易の言葉と思っている人も多いが、これは孔子の言葉である。

「六二、直方大。習わずして、利(よろ)しからざる无(な)し。」

六二は「坤為地」の下卦の真ん中にあり、偶数の位置であり、陰爻として中であり正の徳を備えた「坤為地」の主爻である。「乾為天」では九五の飛龍が主爻であるので、それと同等な重要爻と言える。

直方大」とは本来「坤為地」は「乾為天」の徳をそっくり受け継ぐものであるから、直は素直に真っ直ぐであり、方は正しい、大は盛大である。一々習わなくとも既に備わっているというのが、「習わずして、利(よろ)しからざる无(な)し。」である。

「坤為地」の卦辞である「元亨利、牝馬の貞」を最も表しているのが、主爻である六二と言える。孔子の残した文言伝には、「直は其正なり。方は其義なり。君子は敬以て内を直くし、外を方にす。敬義立ちて、徳孤ならず~」とある。「徳孤ならず」という言葉は論語で有名だが、既に易の解説にも使っていた言葉なのだと知った。いずれにしても、「坤為地」の徳は「乾為天」にも負けない偉大な卦であることを証明している。

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