F・ルーズベルト(1882~1945)
ナチスドイツを率いるヒトラーの大暴走によって第二次世界大戦は始まったのだが、イギリスのチャーチルは独ソ戦でドイツとソ連双方が共倒れすることを画策した。それにはアメリカの参戦が必須で、そのためには日本を追い詰めアメリカを攻撃させる必要があった。チャーチルの作戦は現実となり、アメリカ、日本も参戦し世界中が戦争の渦に巻き込まれていった。
しかしアメリカは世界大恐慌の反省から国民は戦争反対のモンロー主義が根強く、ルーズベルト大統領も参戦はしないと公約していた。一方の日本も基本的には親英親米であり、首脳たちは日米の実力差を知っていたのでアメリカとの戦争は考えてもいなかった。ではどうして日本とアメリカは戦争をしたのだろうか。チャーチルの作戦にはめられただけだろうか。
1929年に始まった世界恐慌の後を受けて32年の選挙で大統領になったフランクリン・ルーズベルトはノーベル平和賞を受賞したセオドア・ルーズベルト(1858~1919)とは遠縁にあたり、妻エレノアはセオドアの姪にあたる。エレノアは5男1女の母として家庭を守る傍ら、度々の夫の不倫を受け入れ、夫の病気による車いす生活を支えた女傑だった。(夫の死後は国連代表、婦人運動家、文筆家として活躍した。)ルーズベルトは妻には頭が上がらなかった。
またルーズベルトの母方の祖父が中国とのアヘン貿易で財を為したこともあり、中国には同情と愛着を持つ中国贔屓だった。中国を侵略しようとする日本に対しては脅威とともに敵愾心を抱いていた。日本人に対しては異常な偏見を持っており、「日本人の頭蓋骨は白人より約2000年発達が遅れている。」とまで言って差別意識を抱いていた。
宋美齢(1897~2003)
チャーチルより先にアメリカに助けを求めたのが中国国民党の蒋介石夫人・宋美齢である。1936年に西安事件が起き、国民党の蒋介石は中国共産党から日本と戦うことを強要される。現場に立ち会い、夫に方針転換を同意させたのが宋美齢だった。宋財閥の娘であり、アメリカ留学経験が長く英語は堪能だった。宋美齢はルーズベルトと夫人エレノアとも親密な関係をつくり対日政策に影響を与える。日中戦争が始まるとルーズベルトのバックアップを得て全米を巡回し抗日戦への援助を訴え続けた。
ルーズベルトは日本の侵略を断罪し、「平和と自由が一部の侵略国により脅かされようとしている。疾病が広がろうとする時は健康を守るため病人を隔離する必要がある。」という隔離演説を唱えた。ヨーロッパのナチスドイツとともにアジアの日本を恐るべきファシズムとして抹殺すべき非道国家として糾弾する。一方でスターリンには親しみを感じてソ連によるフィンランド、ポーランド、バルト三国侵略については黙認している。ルーズベルトは参戦のタイミングを見計らい戦後の世界覇権を描いていた。
チャーチル(1874~1965)
1940年は大統領選挙の年だったが三選を目指すルーズベルトは「アメリカは参戦しない。」と公約し選挙に勝利する。そこにドイツを迎え撃ち窮地に立つイギリスのチャーチルからアメリカの参戦を要請してきた。41年8月、戦艦プリンス・オブ・ウェールズでの会談で日本に対する経済封鎖を約束した。我慢の限界を超えると爆発する日本人の国民性を知った上での経済封鎖強化であり、開戦準備は出来ていた。さらに11月には「今すぐ中国から撤兵せよ!」と最後の挑発「ハル・ノート」を突き付ける。
12月8日、ついに日本軍は真珠湾攻撃を決行、戦争が勃発した。ルーズベルトの思惑通りだったが、「日本軍が卑劣なだまし討ちを行った。我が国の屈辱の日である。アメリカ国民は立ち上がる。パールハーバーを忘れるな!」と演説した。ルーズベルトは日本人に対する人種差別的感情をむき出しにする。妻エレノアの反対も押しのけて、アメリカ国内、ブラジル、メキシコ、ペルーなどの日系人を拘束し財産を放棄させ強制収容する。ヒトラーのユダヤ人強制収容所に習ったものである。
ハーバート・フーヴァー(1874~1964)
アメリカが参戦すると、ルーズベルトは個人的特使や軍事顧問と相談するだけで国務省はルーズベルトが描いている戦争の遂行、集結についての構想を全く知らされなかった。チャーチル、蒋介石夫妻とのカイロ会議やチャーチル、スターリンとのテヘラン会議でも戦後体制を米、英、ソ、中の「4人の警察官」とするルーズベルトの提案にはチャーチルは驚かされる。国家の体制も定まらない中国と共産主義を拡大しようとするソ連をどうして警察官にするのか百戦錬磨のチャーチルには理解が出来なかったという。
日本を強引に追い詰め参戦させた「ハル・ノート」については明るみになった後で非難する米国政治家は多かった。ルーズベルトの前の大統領であるハーバート・フーヴァーは自著「裏切られた自由」において、「日本との戦争の全てが、戦争に入りたいという狂人・ルーズベルトの欲望だった。」と厳しい批判を述べている。
~~さわやか易の見方~~
******** 上卦は天
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*** *** 下卦は雷
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「天雷无妄」の卦。无妄(むぼう)とは思いもしないことが起ること。人生には良いことも悪いことも思いがけない流れで起こるものである。何が起こっても不思議ではないのである。計画を立て、目標に向かって努力することは大切ではあるが、例え計画通りに行かなくとも自暴自棄になるのは賢明ではない。天の配剤は不思議なもので、後になってみるとその方が良かったということがある。神のみぞ知るということが常にある。
戦前にアメリカとの戦争を予想していた日本人は殆どいない。軍国主義の日本が戦争に突き進んだという定説は後から作られたものである。満州国建設、二二六事件、確かに陸軍の暴走は目に余る。それでも大半の日本人は良識があった。政府内でも良識派が大半だったと思う。それでも大国の政治勢力の流れに巻き込まれてしまえば良識も役には立たない。
ルーズベルトの人種差別はいかがなものだろうか。どんなに優秀な政治家といえども権力の座につくと人の本性が顔を出すのだろうか。ヒトラー然りスターリン然り、アメリカという巨大国家のトップともなればやはり本性が顔を出すのも無理はないのかも知れない。その本性が日本嫌いとは日本人にとっては不幸なことだった。