マルタ会談
1989年12月、東欧革命、ベルリンの壁崩壊を受けて、アメリカ大統領ジョージ・H・W・ブッシュとソ連書記長ミハイル・ゴルバチョフは地中海マルタ島沖のクルーズ船に於いて首脳会談を開いた。そのマルタ会談で1945年から44年間続いていた東西冷戦を終結することになった。ソ連を中心にした東側共産主義国家はそれぞれの国家として新たな道に進むことになった。
振り返れば、1917年のロシア革命でソビエト連邦が成立して以来、70年間世界に共産主義を拡散し、第二次世界大戦後は世界を東西に二分して激しく対立したきた。東西冷戦とはいったい何だったのだろうか。その間に朝鮮戦争、ベトナム戦争、キューバ危機、ベルリンの壁、ミサイル開発、核開発、宇宙開発競争があった。オリンピックのボイコット問題もあったし、世界中が右と左で対立していたものだ。20世紀の歴史は東西対立の歴史ではなかったか。今回から20世紀を振り返っていったいあの対立は何だったのかを考えてみたい。
ロシア10月革命(1917年)
ロシアではマルクスが提唱した共産主義を実践するためにレーニンが暴力革命集団ボルシェビキによってロマノフ王朝を倒した。スターリンは情け容赦もなく大粛清を断行し、国民から財産と土地を取り上げ、従わない者は容赦なくシベリア流刑にした。共産主義者たちは国民に多大な犠牲を強いて、超大国アメリカと対決してきた。そのソ連が崩壊し、元のロシアになったという。はたしてロシア革命はロシア人の求めたものだったのだろうか。
真実はロシア革命はロシア人によるものではなく、迫害されていたユダヤ人による革命だったのだ。ユダヤ人がヨーロッパ各国で迫害に合っていたことは知られているが、迫害から逃れてユダヤ人たちは西へ西へと移動して19世紀には多くのユダヤ人がロシアに住み着いていた。しかし、ロシアでも迫害にあっていた。迫害は「ポグロム」と言われ、殺戮、略奪、破壊、差別、酷い迫害だったのだ。
エルサレム
ここでユダヤ民族について考えてみたい。ユダヤ人は神に選ばれた選民として信仰心が篤く誇り高い民族である。そのユダヤ民族がローマ帝国によって祖国エルサレムを追放されたのは2000年前だった。つまり2000年間、ユダヤ人は祖国を持たずに行くところ行くところで迫害に合っていたのだ。迫害される理由は土地に同化しないからだと言われる。選民というプライドがあるからでもあり、ユダヤ教の教えを絶対のものとするからでもある。ユダヤ人は徹底的な個人主義で、他人を信用せず協調性がないからとも言われている。
しかし、叩かれれば叩かれる程人間は強くなる。迫害に遭ったユダヤ人はますます人間を磨き強く優れた民族になっていった。現在のノーベル賞受賞者の2割はユダヤ人だと言われている。世界人口70億人に対しユダヤ人の人口は1500万人だからわずか0、2%の小民族なのだ。アメリカでのユダヤ人の活躍は目覚ましい。大富豪、科学者、法律家、銀行家、教授など社会の主要な地位を占めるに至っている。それ程偉大なユダヤ民族が長い間迫害され続けてきたのだ。ユダヤ人自ら迫害されないための世界を求め、考えたのは必然だろう。
マルクス(1818~1883)
土地も持たせて貰えないユダヤ人は先ず働いた。そしてひたすら貯金した。だからユダヤ人は金持ちになった。やがてユダヤ人たちは金貸しを始め、銀行をつくり金融業に乗り出していった。勤勉なユダヤ人はよく学んだ。科学、哲学、経済学でも先端をいく。国を持たないユダヤ人は国家の上に立つ権力が必要だと考えた。そこから生まれた思想が共産主義というものだった。19世紀の中頃マルクスによって発案された。
16、17、18世紀と戦争にはますます金がものをいう時代になっていた。戦争が起こる度に大儲けするのが銀行であった。莫大な力を有するユダヤ人金融業者が出現した。とくに19世紀初めのナポレオン戦争ではヨーロッパ各国は戦費を使い果たし、ユダヤ人金融業のロスチャイルド家はイギリス株式市場で独り占めする程儲けたという。ロスチャイルド家は19世紀の末に財政難のエジプトからスエズ運河を一人で買ったというからその財力は想像もつかない。
ヘルツル(1860~1904)
19世紀の後半に繰り返されるユダヤ人迫害にユダヤ人の中から二つの計画が生まれてきたと考えられる。一つは「ユダヤ人国家」をつくろうという「シオニズム運動」であり、ハンガリー生まれのユダヤ人作家のテオドール・ヘルツルが提唱した。1897年、スイスのバーゼルにおいて最初の「シオニスト会議」を開いた。ヘルツルは1904年に44歳の若さで亡くなったが、その運動はやがてイスラエル建国として実を結ぶことになった。
もう一つの計画が国々の上に世界政府をつくろうという壮大な計画である。マルクスが提唱した共産主義国家の上にコミンテルンという組織を置いて世界を管理しようというのだ。その中心にしようとしたのがロシアだった。地政学的にも最適と思われ、長年の「ポグロム」への報復でもあった。既に政治力、経済力をもったイギリス、アメリカのユダヤ人国際金融グループが密かに計画を進めることになった。
~~さわやか易の見方~~
*** *** 上卦は地
*** *** 陰、暗、夜
*** ***
******** 下卦は火
*** *** 文化、文明、太陽
********
「地火明夷」の卦。太陽が地下に沈む象である。暗黒の世界である。国家にも人生にも時代に見放されたと思える時がある。こんな時はじっと耐えるしかない。無理に局面を打開しようとすればますます深みにはまる。「艱難汝を玉にす。」の言葉を信じて耐えることだ。いつか磨かれた実力を発揮出来るときがくる。
国を追われた民族は数多くあっただろう。多くの民族は他の民族に同化してしまって跡形もなくなるものだろう。国を持たないユダヤ民族が2000年間も存続したというのが脅威である。神に選ばれた民族、「選民」としてプライドを持つのも頷ける。日本民族はいかがだろうか。たった一度の敗戦によって、民族の誇りを失っていないだろうか。島国とか村社会とか言われるが日本民族はその団結が尊いのだ。「和を以て貴しとなす。」の文化を世界に誇ろうではないか。
ユダヤ民族が力を持っている根拠が解った気がする。現在も「国際的」とか「グローバル」とかの基準はユダヤ民族的発想だろう。日本の民族主義、とくに皇室を敬う日本人の心理は理解できないだろう。つぶしたいのかも知れない。国際的基準をつくるのは結構だが日本人の心までは浸食しないでもらいたい。世界にはそれぞれの国がそれぞれの文化を持ったまま共存することこそ「和を以て貴しとなす。」である。