序卦伝・上経と同様に下経の三十四卦もドラマで振り返ってみよう。下経の方が少し長く、複雑でもあるので、3回に分けてドラマにしてみようと思う。今回の主人公は夫婦となる亨(とおる)と利子の男女である。
「沢山咸」は男女恋愛の卦。イギリスに留学中の利子は日本の大学とのラグビーの親善試合に来ていた亨と出会う。亨の一目惚れだった。2年後に、二人は結婚する。「雷風恒」の結婚生活は順調で、2人の子供にも恵まれる。
商社に務める亨は30歳の時、単身でアフリカのザンビアへ長期出張をする。滞在は1年に及んだが、期待以上の成果を納める。亨にとっては異国での生活が、「天山遯」であり、「雷天大壮」新たな気力と自信に満ちて帰国する。
それからの亨は会社からの期待にも応え、スピード出世、「火地晋」一躍注目される社員になった。ところが、ある日搭乗中のジェット機が不時着事故を起こし、亨は大けがで入院する。「地火明夷」亨の人生は一変した。
亨の入院生活は2年に及ぶ。その間、毎日のように顔を見せてくれたのは妻の利子である。「風火家人」亨は家族の有難さを実感する。その頃、和菓子メーカーを経営する利子の実家では、親の世代と若手社員との間で経営方針を巡る対立があった。「火沢睽」である。
考え方の溝は深まるばかりだった。「水山蹇」間に入った利子は度々実家に帰り、時代が変わっていることを話した。なるべくスマホを使った「ライン」で親と孫たちと会話させる。次第に親たちは、時代の変化を知るようになり、「雷水解」若い社員たちの話を聴くようになった。
対立は雪解け、「山沢損」社員たちは損得を抜きにして、懸命に働いた。「風雷益」その結果、かつてない利益が上がり親たちも喜んでいた。
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