ミアシャイマー(1947~)
2022年2月に始まったウクライナへのロシア軍の軍事行動に対しては、ロシアのプーチン大統領は世界中から非難されている。しかし、プーチン大統領の言い分は誰も耳を傾けようとしない。
そうした中でも、反対意見を発言する人はいる。シカゴ大学のミアシャイマー教授はこの戦争の責任はアメリカにあると当初から言っている。
彼はこう言っている。「アメリカやイギリスといった西側諸国で広く受け入れられている一般通念では、このウクライナ危機で責任があるのはプーチンであり、ロシアであるということだ。つまり、悪い輩と良い輩がいて、私たちが良い輩、ロシア人が悪い輩だということだ。しかし、これはまったく間違っている。アメリカとその同盟国、とりわけ、アメリカが責任を負っている。」そして、「アメリカ主導の西側諸国が3つの柱からなる戦略でロシアをウクライナ軍事侵攻にまで追い込んだ。」と非難している。では、その3つの柱とは何なのか。
ゼレンスキー大統領(1978~)
1つは、EUの拡大。2つは、カラー革命。3つは、NATOの東方拡大である。
30年前にゴルバチョフとレーガン大統領との間でNATOの東方拡大はしないという約束があった。しかし、エリツィン時代に旧ソ連の国々が次々とNATOに加盟する。プーチンは「約束違反ではないか。」と言っていた。ウクライナのNATO加盟も、2008年のNATO首脳会議においてジョージアとともに将来の加盟が決定していた。プーチンには許されざることであった。
2014年にウクライナで「オレンジ革命」と言われるクーデターが発生した。親ロシアのヤヌコヴィッチ大統領が親欧米勢力によって追放させられた。その直後にプーチン大統領は行動し、クリミア半島を国民投票でロシアの一部にした。その報復もあって、欧米勢力はウクライナのNATO加盟を実現しようと動きだす。
2019年に誕生したゼレンスキー政権は正式にNATO加盟方針を決定した。しかし、これはプーチンには許すべからざる決定で、決定取り消しを求める声明を表明する。鍵を握るのはアメリカである。しかし、2022年1月、アメリカがこの要求を拒否する書面を公開した。ついにプーチン大統領は行動を起こしたのだ。
メルケル元首相(1954~)
ミアシャイマー教授は「ロシアはこの時、明確にウクライナとジョージアのNATO入りはロシアの国の存亡に関わる脅威であり、受け入れられないと主張した」と指摘し、今回のウクライナ戦争の起源だと言い切っている。そして、同教授は、1962年にアメリカの喉元にあるキューバにソ連の核ミサイルが配備され、ケネディ政権がそれを撤去させた「キューバ危機」を例に挙げた。メルケル元首相も「ウクライナのNATO加盟には反対する。これを認めれば、プーチン大統領は一線を超えるだろう。」と言っていた。
ウクライナの劣勢にアメリカやイギリスが武器の支援をすればするほど戦争は長引くことになる。犠牲になるのはウクライナ国民と食糧不足などで苦しめられるアフリカ諸国、その他影響をこうむる世界中の人たちである。この戦争もまた大国どうしの覇権争いにほかならない。覇権を追及するアメリカ、ロシア、中国がお互いに譲らずにいる。その周辺国はその覇権争いに巻き込まれ、利用され、犠牲を強いられるだけである。
~~さわやか易の見方~~
*** *** 上卦は沢
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******** 下卦は天
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「沢天夬」の卦。夬(かい)は決壊する、決裂する。上爻のみが陰爻であり、残りは全て陽爻であるところから、溜まりに溜まったエネルギーがついに爆発する時を意味している。我慢に我慢をしてきたが、とうとう我慢が出来なくなってきたというところか。決して好ましい卦とは言えないが、長い人生にもそうした時は来るものだ。不純な動機があってはならない。正々堂々と正義を貫かなくてはいけない。
ロシアのプーチン大統領は独裁者だと言われる。しかし、ロシアの歴史を見ると、優れた独裁者がいた時にだけ発展し、安定している。国土は中国の約1.7倍もあるが、人口は約10分の1である。この広大な寒冷の国を治めるには強力なリーダーが必要なのだ。しかもプーチン登場前のロシアは崩壊寸前だった。それをたった一人の強力なリーダーがここまで持ち直して来たのだ。ロシア国民はそれを知っている。だからついて来るのだ。ウクライナの問題は早くケリをつけてもらいたい。早く戦争を終わらせてもらいたい。それが出来るのはプーチン大統領しかいない。