さわやか易

人生も歴史もドラマとして描いております。易の法則とともに考えると現代がかかえる難問題の解決法が見えてきます。(猶興)

「坤為地」(その4)六五、上六、用六

2024-08-28 | さわやか易・講座

「六五、黄裳(こうしょう)、元吉なり。」

六五は下から5番目の陰爻である。天子の位とされるが、「坤為地」の場合は皇后または天子に代わる摂政と考える。奇数の位置ではあるが、上卦の中央にあり、正位置にも優先する中の徳を備えている。

「黄裳(こうしょう)」とは黄色の衣裳ということだが、黄色は天使の位を表す中央の色である。

「元吉なり」はそのまま大いに吉だということ。ここまで来ると、「牝馬の貞」は顔を出さないが、貞であることは、自然に身に付いている。静かにであるが、堂々と振舞い、天使について行動している。最も優美で、威厳のある姿である。

「上六、龍(りょう)、野(や)に戦ふ。其血玄黄(げんおう)なり。」

上六は一番上の位にある陰爻。この位置も要注意の位である。六五の「黄裳元吉」から一転して戦うという言葉が入る。いったい、何が起こったのだろうか。

「龍(りょう)、野(や)に戦ふ」とは何か。龍は「乾為天」の象徴で、「坤為地」の象徴は牝馬の貞ではなかったか。「坤為地」の初六に「霜を履みて堅氷至る」とあった。微小なる陰が次第に大きくなり、ついには堅氷になるだったが、まさに堅氷になったのである。牝馬の貞だったが、陰が極まって、まるで龍のようになったというのである。そして、本当の龍と戦うのである。

「其血玄黄(げんおう)なり。」本当の龍の地は玄、暴れ牝馬の地は黄、入り乱れて戦うというのである。孔子の解説によれば、「龍、野に戦ふとは、其の道極まるなり。」と述べている。陰の道が極まり、ゆきづまり、ここに滅亡するのである。

これは「乾為天」の上九、「亢龍悔有り」と関係がある。「坤為地」はあくまで「乾為天」の「元亨利貞」に従って牝馬の貞でいるのである。乾が亢龍となって道を外れれば、坤も道を外れるのである。それだけ、上の位は上九も上六も難しく、危険な位置にいるということが言える。

「用六、永貞に利し。」

「乾為天」と「坤為地」には上の後に陽と陰の使い方が説いてある。用六は陰(六)を用いる道を説いているもので、永久に貞を守ることが良いと言っている。

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