さわやか易

人生も歴史もドラマとして描いております。易の法則とともに考えると現代がかかえる難問題の解決法が見えてきます。(猶興)

「乾為天」と「坤為地」は特別な卦

2024-08-04 | さわやか易・講座

                  

「八卦の解説」の所で説明しましたが、「乾」と「坤」は特別な卦です。同様に六十四卦の中では「乾為天」と「坤為地」は特別な卦になります。すなわち、乾為天は乾が上下に重なった陽爻だけの陽の代表であり、反対に坤為地は坤が上下に重なった陰爻だけの陰の代表になります。

この二つを除くと六十二卦になりますが、内容の重要さからいうと、この二つと残りの六十二卦は同じくらい重要な卦であるとも言えるのです。全体を陽の卦と陰の卦の二つに分けたとすると、乾為天は陽の卦の代表選手であり、坤為地は陰の卦の代表選手と言えます。

ですから、各々の代表選手を理解すれば、六十四卦の半分は理解したことにもなります。例えば、一番下にある爻が陽爻であれば初九と呼び、陰爻であれば初六(しょりく)と呼びますが、乾為天の初九は全ての初九に共通する性質があると考えて下さい。同様に坤為地の初六は全ての初六に共通する性質が存在するということです。

それほど重要な二卦ですので、次回より「乾為天」そして「坤為地」を解説していきます。ここをしっかり押さえていかないと、後で訳が分からないということになるからです。孔子もこの二卦については「文言伝」という解説書を作っているのです。

私が参考にしている易の書は公田連太郎先生の「易経講話」です。この本は安岡正篤先生も推薦している懇切丁寧な解説で、私も何度も目から鱗が落ちる経験をしました。この「易経講話」でも乾為天と坤為地は詳しく解説されており、乾為天だけで128ページも使っています。

この「易経講話」は明徳出版社から出ており、全六巻で6万円もします。おいそれと手が出ないとおっしゃる方も多いと思われるので、私が出来るだけ解りやすく、解説したいと思っています。始めにもお話しましたが、易を理解するには、あせらず、ゆっくりが肝心です。

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易の決まり事と呼び方

2024-08-04 | さわやか易・講座

易には決まり事やルールがあり、独特の呼び方がありますので最初に押さえて下さい。易の六十四卦には卦全体を表す言葉「卦辞」と六つ爻それぞれに付けられた言葉「爻辞」があります。爻は合計すると、64×6=384爻あることになります。その内の半数192が陽爻で、もう半分の192が陰爻になります。一番下の爻を初爻と呼びます。そして、二、三、四、五と続き、一番上の爻を上爻と呼びます。陽爻を九、陰爻を六で表します。ですから、初九と言えば、一番下にある陽爻になります。

陽爻と陰爻はそれぞれ正しい位置があります。陽爻は奇数の位置、すなわち、初、三、五が正しい位置です。反対に陰爻は偶数の位置、すなわち、二、四、上が正しい位置になります。上の卦「水火既済」は全ての爻が正しい位置にあります。

次に、中心になる爻を覚えて下さい。それは下卦では二爻で、上卦では五爻です。特に、五爻は全体の中心的な爻となります。易では中ということが大切にされます。「主爻」も覚えて下さい。全体の中で最も重要な役割を果たす爻のことです。五爻が主爻になる場合が多いのですが、卦によっては他の爻になることもあります。

「応じる」と「比する」も覚えて下さい。相性が良い、悪いということです。陽爻と陰爻は「応じる」「比する」ですが、陽爻同士、陰爻同士は「応じない」「比してない」となります。「応じる」は下卦の初爻と上卦の四爻、下卦の二爻と上卦の五爻、下卦の三爻と上卦の上爻が応じているかです。又、「比する」は、例えば二と三とか三と四の隣同士の爻が陽と陰なら「比する」、陽同士、陰同士なら「比してない」となります。

六爻にはそれぞれに位があります。初爻は庶民、二爻は士分、三爻は大夫、四爻は貴族、五爻は君主、上爻は引退した君主または聖人を指します。会社で言えば、初爻は平社員、二爻は課長、三爻は部長、四爻は役員、五爻は社長、上爻は会長といったところでしょう。必ずしも位通りにはなりませんが、覚えておいてください。

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