さわやか易

人生も歴史もドラマとして描いております。易の法則とともに考えると現代がかかえる難問題の解決法が見えてきます。(猶興)

序卦伝(28)雷火豊と火山旅

2024-07-24 | さわやか易・講座

「其の帰(き)する所を得る者は必ず大なり。故に之を受くるに豊を以てす。豊とは大なるなり。」

落ち着く所に落ち着くのが、「雷沢帰妹」であった。人は落ち着く所に落ち着くと、運が向いて来る。実力が発揮できる。そうすると、段々と盛んになり、大きく羽ばたくことになる。豊かにして大きい卦が「雷火豊」である。卦の形は、上が活動の雷、下が燃え上がる火である。大変景気よく盛大な様を表している。

確かに「豊」は盛大である。しかし、活動と燃える火では、長くは続かないだろうという心配も起きて来る。物は燃えれば、やがて燃え尽きるものだからである。人生も盛大な時代がいつまでも続くものではない。

「大を窮(きわ)むる物は必ず其の居る所を失ふ、故に之を受くるに旅を以てす。」
盛んなる者は、必ず衰える。豊かさの頂点にいる者は、やがてその場所を追われるものである。権力の座も同じ、追われた者は次の居場所を求めて、旅に出るのである。卦の形は、山の上に太陽があり、太陽はやがて沈もうとしている。自分の引き時が来たのである。
 
易での「旅」とは、温泉旅行や海外旅行という楽しみの旅ではない。家を追われた者、国を追われた者が、ゆくえ定めぬ放浪の旅をすることである。例えば、唐の時代に「開元の治」と称される繫栄を築いた玄宗皇帝だが、晩年に楊貴妃を寵愛し、政務を怠り、挙句に内乱を招き、国外に逃亡するに至った。「雷火豊」にあるものは、「火山旅」にならぬよう気を付けてもらいたい。

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