10月30日(水)
グリルSASAYAさんにて「ねぎ尽くしの会 中新田の地ねぎを食べつくそう!」を行いました。焼津の在来作物「中新田の地ねぎ」の種を新しい農家さんに譲渡するにあたり、グリルSASAYAさんの「中新田の地ねぎ」尽くしの料理を食べながら、農家さん他色々な立場の人に集まってもらいこのねぎについて語り、未来に遺していくための仲間を増やしていこうというイベントです。
「中新田の地ねぎ」は薫り高く風味の強い在来作物。農家さんがお義母様から受け継ぎ、70年近く作り続けてきた在来作物です。
色々と話して頭がパンク寸前になったイベントです。
折角なので、このイベントについてだけでなく、今まで焼津の在来作物に関わってきてどんなことを考えてきたかというところから、久しぶりに振り返りをしたいと思います。
数回シリーズ。
もしよろしければお付き合いください!
私が焼津の在来作物に出会ったのは平成23年。
「焼津の野菜ってどんなものがあるの?」
野菜ソムリエの資格を取ってから、「地元のおいしい野菜を食べよう」をスローガンに料理教室などのイベントを行ってきました。
当時私が興味を持っていたのは、流通によって野菜の鮮度が落ち味も落ちるのにどうしてほとんどの野菜が地元で売られないのかということでした。
「とれたての野菜のおいしさは何にも変えられない。地元の野菜を食べましょう!」
と話をするたびに参加者から聞かれるのは、じゃあ地元にはどんな野菜があるの?という疑問。当時の私は、それにこたえることができませんでした。
そんな折、畑のお師匠から「「在来作物」というものがあり、それを調べている大学教授がいる。つながってみたらどうか」と助言をもらいました。
静大の稲垣先生の在来作物のイベントに出てみると、これがめちゃくちゃ面白い。このイベントで稲垣先生から志太の在来作物を調べてみようと思っているという話を聞き、自分でも調べてみようと思ったのが焼津の在来作物との出会いです。思えば長い付き合いになります。
現在焼津の在来作物は10種類が見つかっていますが、「中新田の地ねぎ」はその内の一種類です。
稲垣先生の調査に同行してみて分かったことは、とにかく何でも疑問に思ったことは聞いてみること。それをまとめて分析してみて在来かどうかを判断するんだということでした。
ここから農家さんのお宅へ何度も話を聞きに行くことに(今でもそれは続いています)なるのですが、これが気が重くて…
何故か
農家さんの、特に女の方は話が長いんですよ。
まず軽く2~3時間は覚悟しないと!私はねぎを一束頂戴って言いにいっただけだったはずだが…と毎度「おかしいなあ…」と頭をひねりながら帰ってくる始末(笑)
ですが、この話がべらぼうに面白い!
何度も聞きに行ったはずなのに、えっそれ初耳ってことが沢山ある。
何度も聞きに行ったはずなのに、えっそれ初耳ってことが沢山ある。
ある方は歴史を。ある方は農法について。ある方は昔話を。
女の方はその作物をどんな風に調理するか、どんな時に食べるのか、それが食卓に上がった時の様子はどうかと言ったことまで事細かに話してくれるんで、面白い。「えーそれでそれで?」となるのでついつい話が長くなります。
この「中新田の地ねぎ」を作る農家さんは、ねぎについて分からないことを何でも教えてくれる。害虫は。今年の出来具合は。ねぎのことについて何にも知らない私に本当によく教えてくれます。
中でも驚いたのが、商品の美しさと相手のニーズに誠実に答えてくれる誠実さ。
始めて料理教室でねぎを使わせてほしいとお願いに行ったところ、「何を作るの?」と聞かれました。これとこれとと返事をして次回商品を取りに行くと、その料理に適した形に2種類の商品ができている。
このねぎの一つの特徴(欠点)が、分決して増えていくためねぎの長さが揃わないというところ。
この状態からゴミを取り除きねぎをきれいにして長さを揃えるのですが、それがまあ美しい。
この農家さんはいつおうちを訪れても真っ黒な顔で畑の中で土をいじっています。どれだけ端正しているかうかがえますし、商品にも手を抜かない。本当に誠実に作物と向き合っていらっしゃるのだなといつも思います。
一般に在来作物はF1種と比べて作るのが面倒くさいと言われています。
このねぎの場合ここまでてをかけて、一束100円。
本当に割に合わないのにどうしてここまでして続けるのかしら…
その理由は…
この農家さんの場合は「お義母様から大切な種を受け継いだ」という責任感だったと感じました。
「この種を私の代で絶やすわけにはいかない。私が辞めた後もできれば嫁に引き継いでもらいたい」
農家さんにとっては種は宝にも等しい。この大事な種をあなたに託すと言われた者の責任感たるや。
こんな強い思いがあるから在来作物は失われずに作られてきたのだなあと私まで熱くなる瞬間でした。
技術はもちろんなんですが、この人の努力や思いが後世につながっていってくれればいいなあ
これが私が動き出した理由です。
続く!
※コメント投稿者のブログIDはブログ作成者のみに通知されます