かめのまちづくり

焼津でまちづくりについて勉強しています。私がまちづくりについて調べたこと、考えたこと、みんな読んでね(^^♪

2022年 中新田の地ねぎを食べつくそう!

2022年11月25日 | 在来作物
2022年11月9日(水)新屋食堂アヤナイさんにて、つる屋在来作物イベント「中新田の地ねぎを食べつくそう」を開催しました。

長い間中新田で一軒の農家さんが大切に守ってきた中新田の地ねぎ。
藤枝の大坂農園さんが種を継いでくれたのが2019年。ねぎも大阪農園さんの畑に馴染むよう頑張っているところです。



せっかくなので、今まで頑張って育ててきたおばあちゃんのおねぎと大坂さんのねぎを食べ比べ、お話もたっぷり聞いちゃおう!そしてアヤナイさんのねぎづくしのおいしい料理もたべちゃおう!という贅沢な企画。

先ずはねぎを見比べて匂いを嗅いで、そして味比べをしてみます。


生のものと


加熱したもの

皆さん、こちらが香りがいい、あちらが辛いと色々感想を述べています。
在来作物は、元が同じ種のものであっても風土や作り手によって形や味などを変える可能性があります。畑によって作物が生き残りをかけて自分を変えていくという場合もありますし、農家自体が、来シーズンのことを見越して状態がいい物を残し種取りするからという場合もあります。
種を継いだら全く同じものができるかと言えばそうではないというのは見落としがちなところ。みなさんにそれを体感していただけたのが嬉しかった。

ねぎの生い立ちを聞いていただいた後、



前回ねぎづくしをやっていただいたグリルSASAYAさんからねぎの印象を伺いました。



そしてお待たせしました!アヤナイさんのねぎづくし。


メニューは


ねぎと海苔のナムル
ねぎぬた 生じらす添え
ふぐ皮ポン酢


ねぎチジミ


あじ丼 ねぎみそ添え


ねぎ入り 玉子焼きのお味噌汁

実は私、生じらすが苦手なのですが、アヤナイさんの、生じらすを添えたねぎぬたが妙に美味しくて!
SASAYAさんが、「このねぎが生き残ってきたのは、焼津が漁師町で生の魚にこのねぎが薬味として必要だったからに違いない」と話していたのを思い出しました。
あじ丼はピンピンの新鮮なあじにねぎ味噌が添えられていてたまらなかった!(実は重要な隠し味があるのですが、こちらは直接アヤナイさんで体験してくださいませ!)

どれも満足なお料理の後は、これからのねぎの話。
大坂農園さんにこれまでの栽培報告を伺いました。


大坂さんは丁寧に観察しながら、効率的においしい作物ができるのかをコツコツ研究するタイプの。ご苦労もあるでしょうけど、在来作物にはピッタリの方だと思っています。来年の出来栄えも楽しみ。

最後にアヤナイさんに料理をした感想を聞いてみました。
「清水さんがねぎを持っていた時から香りがものすごくて。これぞ”ねぎ”って感じ!」とおっしゃってました。

今一般に売られているねぎにはない、昔ながらの味と香り。
これからも生き残ってほしいなあと思います。

来年は大坂農園さんもねぎを大きく増やすつもりだとお話をいただきました。
今まで守ってきてくれたおばあちゃんにも体に気を付けて頑張ってもらいたいなあと思います。

今年の栽培はどちらも終わってしまいましたが、来年はもう少し多くの機会を作って皆さんにねぎを味わってもらいたいなあと思っています。


お楽しみに!

大坂農園さん
アヤナイさん
SASAYAさん
そして参加してくれた皆さん
ありがとうございました!

最後に皆さんのねぎの感想を!
 
  • 初めて知りました。
  • 身近な地域にうけつがれてきた野菜たちのお話がきけてとても面白かったです。
  • 個性を感じるネギだと思いました。こういうねぎを知ることができてよかったです。
  • 全く知らなかったです。「在来」ということの意味を知れてよかったです。
  • 土耕栽培ということで味が濃く香りも強かったです。



イベント「ねぎ尽くしの会 中新田の地ねぎを食べつくそう!」を振り返ります! 9

2019年11月20日 | 在来作物
迷走したままのスタートになりますが、中新田の地ねぎを守っていく活動が始まります。このイベントは私にとってちょっと気持ちの重い部分もありましたが、大きな実りもありました。

SASAYAさんには本当に助けられました。
なんと偶然にも同い歳。重ねてとてもフランクな感じだということもあって、とても大変なことを頼みました。
「ねぎの特徴が分かる料理」
お腹がはち切れんばかりのたくさんの種類のお料理を作ってくれたのは、気前がいいからという部分も多分にあるかもしれませんが、どこかこの人の迷いの表れだったのではという印象を受けました。
まだ何か違うアプローチがあるんじゃないか。もっともっとおいしい料理ができるんじゃないか。

同じく料理を作る末端の人間として、私はこの人のそういう部分を尊敬します。これから何かを産み出すという作業がお互い辛くなってくるお歳頃ですが、あきらめてしまわなければ、もっと高みにたどりつけるかもしれない。私もそうありたいと思いますし、これからも一緒にねぎを守っていく仲間になってほしいと思っています。

今回の大きな借りはお返しできるかどうか疑問ですが(笑)、願わくば、この経験が少しでもSASAYAさんの今後の糧になってくれればと願います。

そして
種は大坂農園さんに譲渡することになりました。
大坂さんは私が在来作物を託したい正に「この人」でした。

大坂さんには既に焼津の在来の瓜を継いでもらっています。
在来作物にしては珍しく、まだ種ではなく苗で売り買いされていた瓜でしたが、突如の販売中止。今年のことです。やむなく種取りをすることになりましたが、うまくいかなかったとのこと。「種採りのコツがつかみ切れていない」という言葉が印象的でした。そこで瓜の種をもともと販売していた種苗屋さんにお連れすると、とても熱心に話を聞いてくれました。

在来作物と接していると、「植物って神秘的だなあ」と感じることがあります。焼津の在来作物の生姜は、家の中で氏神様を奉るような重要な場所に種穴(種を越冬させるための保管場所)があるそうです。おいしい生姜なので作ってみたいとおっしゃる方もいて、種を分けてあげるそうですが、不思議と腐ってしまうことがあるのだとか。

私にとってこれはとても神秘的なエピソードですが、実はこれからこの種を守っていく際の大きなヒントになるのではと思っています。種の保管の温度や湿度、そういった情報がここには詰まっている。今後関わってくれる農家さんに御しがたい在来作物を扱ってもらうためにも、元の農家さんに話を聞いてもらった方が、そういった情報をよりキャッチできるのではないかと思っています。

「育成方法くらい聞かなくても分かるよ」と言って元の農家さんと会うことを面倒くさいとおっしゃる農家さんが多い中、大阪さんは会いに行って話を聞いてくれました。
「種取りのコツを正確につかみたい」
作物に対して誠実であるということは間違いありませんが、この人もまた貪欲なんではないかと思いました。

大坂さんから始まりこれから少しずつねぎが広がっていき、いつか中新田のあちこちでこのねぎを見かけることができる日が来ます様に。
そんなことを願って、この話を終わりにしたいと思います。





イベント「ねぎ尽くしの会 中新田の地ねぎを食べつくそう!」を振り返ります! 8

2019年11月20日 | 在来作物
イベント当日大きな話題になったのは、もちろん種の守り方。

参加者からは地域で守るといった甘い話をしていないで、バンバン種をばらまいてしまったらどうかといった話が出ました。
最近話題の高校生小林君はもっと緻密に考えていますが、狭い地域でではなく国全体という広さで種を保存していこうという考え方ですね。
以前お友達からだったと思いますが、レッドデータに指定されるような境遇の植物をネットで全世界にバンバンと売り出して、結果絶滅を免れたという事例も聞いたことがあります。これも一つの考え方。

中新田の地ねぎを守るために商標登録が必要なのではないかという話も大きな話題となりました。
種苗法が改定になりお米、麦、大豆。日本の農業の根底にある品目が今とても危うい状況にあり、今後どんな風に世の中が変わっていくのか大きなうねりが予想される中、お米農家さんなどは戦々恐々としていることがよく分かりました。今まで精魂込めて作ってきた上質でおいしいお米。海外などから入ってくる安価なものにどう対抗していくのか。そもそもその今までの品種が使えるのか。遺伝子組み換えに加え、ゲノム食材といった新手まで出てきて不安定さは更に増している今、やはり自分の品種を自分で守っていくということは必須なんだと強く感じました。

では中新田の地ねぎについて考えた時にどうか。

今の情勢を考えると、野菜についてもどこでどう転ぶか分からないというのは私も思うところです。またSASAYAさんのようにこれからねぎを保存していくために料理として売り出して協力していくよと言ってくれる方たちにとっても、また真面目にねぎの保存に協力してくれると言ってくれる農家さんにとっても、偽物を出さないという意味で商標登録は必要なのかもしれません。

しかしそれが足かせになる場合もある。
今まだ地ねぎを作るという面で新規の農家さんにとっては、このねぎは海のものとも山のものとも分からない状況です。商標登録といってもピンとこないというのが正直なところではないかと思います。また、そんな大それたものならリスクが大きいのでやりたくないという方も多く出てくるのではとも思う。

そして商標登録するためには、品質管理も大きな課題になってきます。
商標登録でこういう商品と限定すれば、自由も利かなくなる。
アメーラトマトは、品質管理のために相当苦労したと関係者から話を聞いたことがあります。新規に参入してくれる農家さんが増えてくれるのはいいが、やはり経験や能力にはばらつきがあり、アメーラと認めるラインをはっきりと決め、それ以外は絶対にアメーラとして売らないと決めたと仰ってました。またアメーラを作れる農家さんを底上げしていくために教育もしていく。
複数の農家さんとやっていく場合、品質を守っていくということは、一個人が努力するという話ではなくなってくるのだと実感しました。
果たしてそれだけのことを、作るということも、またねぎを使って商品を作るということもしてない私が言いだしていいことなのか。正直ビビります。

このイベントで大きく感じたことは、私がこのねぎに対して将来的なビジョンを持っていないということでした。
最初、私はもともとの農家さんが健康で長生きしてくれてこのねぎを長く作ってくれるようモチベーションが上がるようなことができればいいなあと思っていました。しかし、確実に畑から農家さんが手を引く時期は来るのです。その後どうすればいいのか。色々ためしてはいるけども、展開が速すぎで全て後手後手になっている印象がずっとついて回っています。
責任を持って「このねぎを一緒に守って!」と訴えていくためには、そのビジョンを作っていくこと。大きな課題をもらったイベントでした。

続く



イベント「ねぎ尽くしの会 中新田の地ねぎを食べつくそう!」を振り返ります! 7

2019年11月20日 | 在来作物
さて
長々と書いてきましたが、10月30日のイベント「ねぎ尽くしの会 中新田の地ねぎを食べつくそう!」の話に戻ります。

当日は12名の参加者の皆さんが遊びに来てくれました。
種のことにはお詳しい方たちばかり。私の知識や経験などこの方たちの前では吹いて飛んでしまうようなものですが(笑)折角の機会です。在来作物のこと、中新田の地ねぎのこと、今まで考えていたことを皆さんに聞いていただきました。


そしてお待ちかねのSASAYAさんの料理です!

まずはねぎの食べ比べ。私たちが普段慣れ親しんでいる、スーパーなどで売られているものとどんな風に違うか食べ比べします。



左が中新田の地ねぎ。右がスーパーのねぎ。
みなさん右左と食べ比べながら口々に感想を言いあいます。
私も始めて食べ比べをしました。感想は人それぞれでしたが、私の印象としては…
やはり香りが上品なこと。辛味がありますがキンキンとしたものではなくすっと引いてくれるものであること。切り方によっても違いがあります。小口切りにしたものは淡く、長めに切ったものはパンチがある。
いずれにしても、葉の中のずるっとした粘りは印象的。
きちんとした調べではないですが、これはねぎのペクチンだと思っています。
以前、このねぎを作る農家さんとお話をしたときにこんな話を聞きました。
今主流の万能ネギなどは中にこのぬめりが無くカラカラしている。それは持ちをよくするからだそうです。
ですが、このおねぎ、日持ちもいいような気がします。やはり生命力の違いなんでしょうか。
そこはまた調べていくとして、お待ちかねのお料理。

さあここからはジェットコースターの様。SASAYAさんの渾身の料理が運ばれてきます!

青ねぎと水菜のサラダ

ねぎたま

カツオのカルパッチョ

マグロの韓国風

だし巻き

山芋焼き

チーズ麻婆豆腐

鯖ポン酢

鶏塩だれ

酒盗ピザ

SASAYAさんの王道!和風オムライス

梅かつおオムライス

鯖スープオムライス

アツアツのお料理!出てくるたびに何々?とみなさん興味深げ。
加熱する。少量使って料理を引き立てる。山ほどかける。
SASAYAさんご本人もおっしゃっていらっしゃったけど、細ねぎって薬味のイメージが強く、使い方を考えるってこともあまりない食材。
これだけのお料理ができ、それぞれに印象が違うっていうのはやっぱり驚き!
そしておれだったらこんな風に食べる!という強者も!
うーん私だったらどうするかしら
加熱した甘さを活かす料理も捨てがたいけど、シンプルにアツアツのお蕎麦にスダチを添えて、小口切りのおねぎをドバっと乗せたい!量の割に柔らかな香りのねぎはきっと存在感たっぷりになるはず!

もう勘弁してください!何にもお腹に入りません!
っていうタイミングでデザートが運ばれます。


焼津の在来の生姜を使ったもの。
老舗菓子店 光月堂さんに特別に作ってもらった美しい練り切りです。
上品でかすかだけど存在感のある辛味。
このしょうがについてもまた何か楽しいことをやっていきたいと思うところです。

さて、大いに食べて大いに語ってという本当に楽しいイベントになりました。
参加者から出てきた私も刺激的。それは次回に続きます。




イベント「ねぎ尽くしの会 中新田の地ねぎを食べつくそう!」を振り返ります! 6

2019年11月17日 | 在来作物
さて前に戻って
幻の東海道名物「ほととぎす漬」を復活させようという「チームほととぎす」の活動は、私の課題を解決するものではなかったと書きました。
まず誤解のないように書いておきます。
この活動で私たちがやっていることは、私にとって、とても面白いことです。
ほととぎす漬を現在守っている藤枝市場さんはとても気持ちのいいお店。お料理もおいしいし、お店の方達もいつ行っても元気。
何よりほととぎす漬を作っている、我がチームのリーダー寺川さんは努力家です。この漬物を作り出して4年?あれっもう5年かしら?今でもコツコツと改良を加えながら更にいい商品にしようとしています。
…いや
努力家だと書きましたが、そうではないのかもしれません。料理に対してすごく貪欲なんだと思う。料理に携わる人って本当に面白いと思うきっかけになった人です。
またライターの青陰さんはこれまた面白い人で(というのは私が書かなくてもみなさんご存知ですよね 笑)とにかく情報の宝庫!誰にも知られていない原石のようなものをあちこちから集めてきてコレクションしている感じの方。
こんなお二人に囲まれて、私も好きなことをやらせてもらってます。
ほととぎす漬という既にすたれてしまった漬物の文化的な背景や歴史、まだまだ調べたりない。この面白い商品をいつか地元産100%にできれば素敵だなあと思います。

なぜこの活動が私の課題解決につながらなかったかと言えば、完全に私の力の無さで。これを焼津でも面白いと思ってもらえるような努力やアイデアが足りなかったということです。それはこれからの大きな課題。

そしてもう一つ大きな理由としては、やはり「焼津の在来作物って素敵だな」と思ってくれるであろう人たちへのタッチポイントとして藤枝のお店と言うのは少し遠すぎたということなのかもしれないと思っています。

中新田の地ねぎをこれから広めていくにあたり、地元焼津で味方になってくれるようなお店をと考えた時に思い浮かんだのがSASAYAさんでした。有名なお店なので私も何度か食べに行かせてもらったことがありますが、このお店もとても温か。またSASAYAさんと偶然お話させてもらう機会があって、お店と地域との結びつけについての考え方が面白いと思いました。何しろ地元愛の強い方!このお店ならば力になってくれるのではと思い、今回協力をお願いしました。

これから中新田の地ねぎを作ってくれる農家さんを募るに当たって、農家さんがこのねぎに興味を持ってくれるようなねぎのフルコースを。
特にお願いしたのがこのねぎの特徴が分かるようにということ。

ご主人の前川さん、「本当に無茶ぶりするよね」と連発しながら今回本当に色々ねぎについて調べてくださって。お料理の試作も半端なかった。これだけのアイデアを出してこれるのは、やはりこの方も努力家であり料理に貪欲なんだなあと思いました。料理に携わる方って本当にみなさん面白い!

SASAYAさんの料理があれあば、絶対今回のイベントは面白くなると思いました。

続く