以前にも説明しましたが、平成20年に行われた耐震診断
で、基準値に達していないものが数箇所あり、これを基に、
全ての建物が「耐震不足」として、建替え推進の最大の根拠
の一つに掲げられて来ました。
この度、その診断作業の責任者で、その説明会において
結果を報告された方のお話を聞く事が出来ましたので、ここ
に報告致します。
その方に、「壁式構造の3DKの建物において、2次診断が
基本なのに、誤差が大きい1次診断で止めてしまったのは何
故か?」と問うたところ、「管理組合からの依頼は、見積もり
の段階から、ラーメン構造の3LDKは2次診断で、壁式構造
の3DKの建物については、1次診断で報告する事で取り決
められていたとの事でした。」
つまり、先の管理組合からの回答で、「ラーメン構造でNG
が出たので壁式構造の2次診断は中止したものと考えられ
ます。」の説明は真っ赤な嘘であった事が判明しました。
その方は、当初1次診断でも基準値をクリアすると思って
いたそうで、意外にもクリアしていない箇所がいくつか出てき
たので驚いたそうです。しかし、より正確な2次診断をすべき
かどうかのアドバイスをしたかどうかは記憶に無いとの事で
した。もっとも、顧客からの明確な依頼があれば、敢えてこれ
を覆す事は難しいので、致し方ないかと思われます。
ちなみに、2次診断を行えば、基準値をクリアすると思われ
るが、実際計算して見なければ断定は出来ないと話しておら
れました。
また、診断判定評定者にも問合せたところ、「公的に認め
られた診断基準に準拠し技術的に適正なものかどうか判
断して評定を行っています。」として、これらの疑問には
タッチする事なく、この診断結果に大きな権威が与えら
れる事になりました。
管理組合が約670万円も掛けて、安価で、精度の悪い1
次診断を敢えて依頼する意図は何であるかは明白であり、
何とかして、悪い数値がほしかった為と考えられます。1次
診断で基準をクリアするかも知れないが、2次診断よりは悪
い数値が出るのはほぼ確実とみて、この様な依頼をしたも
のと思われます。
この時には、3人の一級建築士が係わっておりますので、
この辺の諸事情を充分理解して依頼したとしても不思議では
ないと思われます。
さらに、驚くべき事には、その時の対象となった建物の3棟
のうち、2棟が火災に遭った建物であったと云う事実です。
全部で32棟ある内、この2棟の他には火災に遭った建物
は無いのに、これが選ばれたと云う事は、極めて作為的な
サンプリングと言わざるを得ません。
この様にして、『耐震不足』は作られ、その後、この数値が
独り歩きして、建替えの最大の根拠の一つとして使われる様
になったという次第です。
いずれにしても、正確な結果は、先のデータを基に2次診
断の計算をして貰えば明確になる為、これを管理組合に要
求しましたが、先に報告した通り、拒絶されてしまいました。
多少費用は掛かるとしても、この診断が正しく行われてい
れば、ここ数年での建替え問題は再燃せず、数億円のムダ
金を費やす必要が無かったかも知れない事を考えれば、問
題にならない金額であります。又、今後、その数十倍の負担
を覚悟の大きな決断をするには、何を置いても成すべき作
業であると確信します。
ちなみに、この結果は2~3週間あれば出来る事と、必要
であれば、他の業者に依頼する事も可能であり、その際は、
管理組合の承認があればデータの提供は可能との事でし
た。
従って、建替え決議集会の前迄に、結果の報告は可能と
いう事ですが、それでも、これをやろうとしないのは、先の事
情がある為ではないでしょうか?
そうは云いましても、時間的に厳しく、すでに議決権行使書
の提出が始まってしまいましたので、現時点で出来る事をや
っていかねばなりません。そこで、建替えに賛成の方や迷っ
ておられる賢明な住民の方にお願いです。今回は敢えて棄
権をして頂きたいと思います。
今回は決議を保留して、これらの問題を精査して、精度
の高い診断結果を元に改めて、その賛否を問う事が、将来
への遺恨を残さないベストの選択と思われますので、ご協力
をお願い致します。