10/6(月)、台風一過の後に、日鋼団地の「耐震疑惑」に
ついてのダイジェスト版を全戸配布しまた。なかなかの反響
がありましたが、管理組合からは、何の反論もありませんで
した。
「事実は否定出来ず。」では、反論出来ないのでしょう。
何しろ、前回の記述にありました、「一級建築士」の一人は
当時の副理事長で、現在の理事長であります。
この事は、法定説明会の後の立ち話で、本人が認めて
おり、又、先の診断調査の話を伺った方がどなたであるかを
話ところ、理事長が良く知っておられる方である事も認めまし
た。
この状況では、「疑惑」の真相解明など出来る筈もなく、
ここは、沈黙するしか無いとの判断でしょうか?
ところで、その中に出てきました、2次診断の費用について
ですが、以前は「数十万円くらい」として報告しておりました
が、実際にはもう少し高額である事が判りましたので、訂正
して、ここに報告致します。
この2次診断を、先の診断調査の会社に追加依頼すると
100万円~150万円で可能との事でした。又、他の会社で
も、先の資料の提供と管理組合の承認があれば、約100万
円でやってくれる会社もあるそうです。
毎年2億円近い金を使っているのに比べれば、大した出費
ではないのに、管理組合は頑としてやろうとしないのは、や
はり、「耐震疑惑」があるからか、あるいは、結果が見えて
いるからなのでしょうか?
今回の報告は以上ですが、これらの話に出てくる、Is値や
診断方法については、これまで、その都度説明しておりまし
たが、解かり辛い方もあろうかと思いますので、先のダイジェ
スト版の裏面に、参考資料として纏めたものを、以下に掲載
しておきます。
☆ 耐震診断には、1次、2次、3次の3つの診断方法があり
ます。
(1)1次診断
各階の柱と壁の断面積とその階が支えている建物重量
から計算する最も簡便な方法です。
比較的壁の多い建物には適していますが、壁の少ない
建物では耐力が過小評価されます。
設計図面が残っていれば建物の詳細な調査を行わなくて
も短時間で計算できる方法です。
(2)2次診断
設計図面が残っていることが前提の診断方法です。
各階の柱と壁のコンクリートと鉄筋の寸法から終局耐力
を計算して、その階が支えている建物重量と比較する計
算方法です。
コンクリートの圧縮強度・中性化等の試験、建物の劣化
状態(ひび割れ・漏水・鉄筋錆・コンクリート爆裂)などの
調査が必要です。
1次診断より結果の信頼性が高く、公共建築物(学校・庁
舎等)で最も多用されている方法です。
この方法で補強を行った建物は、近年の新潟県中部地
震などでも被害がほとんどありません。
【参考文献】 既存鉄筋コンクリート造建築物の耐震診
断基準・同解説(2001年改訂版)
発行:日本建築防災協会 平成13年
☆ 国土交通省発行の「マンションの耐震診断」によれば
第2次診断法:梁よりも、柱、壁などの鉛直部材の破壊
が先行する建築物の耐震性能を簡略的に評価すること
を目的とした診断法である。対象建物の柱・壁の断面積
に加え、鉄筋の影響も考慮し、構造耐震指標を評価する
ものである。
第1次診断法よりも計算精度の改善を図っており、一般的
な建物の構造特性に適した、最も適用性の高い診断法
である。
☆「耐震診断.JP」 に耐震診断とIs値との関係が判り易く
解説されています。
(1)Is値(構造耐震指標)とは、建物の耐震性能を表わす
指標です。
1、震力に対する建物の強度。 2、地震力に対する建
物の靭性(変形能力、粘り強さ)が大きいほど、このIs
値も大きくなります。つまりIs値が高いほど耐震性能が
高くなってきます。
(2) Is値の求め方
Is値は耐震診断を行うことで求めることができます。耐震
診断は1次診断から2次、3次診断までの3種の診断レ
ベルがあり、次数が上がるほど耐震診断は正確になり
ます。
(3) Is値の目安 (平成18 年1 月25 日 国土交通省告示
第百八十四号による)
Is<0.3 : 地震に対して倒壊または崩壊する
危険性が高い
0.3≦Is<0.6 : 地震に対して倒壊または崩壊する
危険性がある
0.6≦Is : 地震に対して倒壊または崩壊する
危険性が低い
(4)耐震補強とIs値
耐震診断により既存建物のIs値が出てくると、Is値0.6を
基準として耐震補強をしていく事になります。
(5)Is値と費用の関係
先述したように、耐震診断は1次診断~3次診断まで
あり、次数が上がるほど耐震診断は正確になります。
それにつれ費用も高くなってきます。
ただ費用面だけを見て1次診断としてしまうと、1次
診断の場合、Is値0.8を基準に耐震補強をする事になり
ます。(2次診断は0.6)
つまり耐震補強する箇所が多くなります。1次診断の
場合、診断の正確さが低いため、大雑把な箇所を補強
する事になってしまうため、高いIs値の目標が定められ
ているのです。
なので、的確な箇所を補強し総合的に費用を抑える
ためには、2次診断以上の正確な診断をする事が重要
になります。