家具の学校

『家具の学校』から始まったモノづくり
現在は、ダニエル元町本店にてワークショップ体験をご案内

上級特派員便り2012年3月3日

2012年03月08日 | Weblog
上級特派員便り

2012年3月3日 @伊勢原校   晴れ時々曇り 桃の節句

前回に続いてキャビネット(ナイトテーブル)の塗装。今日は本坊先生も参画。
前回は木地調整、着色、目止めの工程を終えて、ウレタンのサンディングシーラーのスプレー塗布、自然乾燥ののち、サンドペーパー(#360)で研磨そしてタッチアップペイントでタッチアップ。
今回はここからの続き。タッチアップは、ここもあそこもと、だんだん手が広がっていくが、頃合いを見て終了してカラークリアの塗布。ここでも両面を塗装する扉を先に塗布。木目の濃いところは薄めに、薄いところはやや多めに塗り、左右の扉全体のバランスを見ながら塗るようにスプレーを駆使する。扉を塗装して、それに合わせて引き出しや本体の塗装をして、全体のバランスを取る。天板は特に丁寧に。
家具塗装の基本だそうだが、柱などの角や台輪などの下側は濃いめに塗ると落ち着いた感じになる。
カラークリアはまるで魔法のよう。魔法のように、旨く塗ると家具らしくなってくるから不思議。
カラークリアの乾燥は早い。すぐにもクリアラッカーを塗る。天板は2回塗りする。キャビネの内部も、もうもうと吹き返す塗装霧が舞う中で、マスクして目をつむって。
クリアラッカーの塗装は、スプレーガンの塗り幅を狭めて丁寧に塗ること。クリアラッカーの乾燥後、サンド掛け(#800)
ここまで塗装するとすっかり家具になる。
最後にフラットラッカーで艶消し仕上げ。
すっかり家具になりました。
サンド掛けのあとは、都度エアガンでサンド粉を吹き飛ばすが、特にウレタンの場合は綺麗に吹き飛ばしておくこと。ウレタンの粉が残ったままラッカー系の塗装をすると、その粉の部分はラッカーでは解けずに残ってしまう。そのため表面がごつごつした感じが残って綺麗でない。
ラッカーの、内部膜まで乾くには1週間ほどかかる。スプレーガンに入れるラッカーのシンナーの割合は、ダニエル社では季節によって変えている由。春/秋、夏、冬の3種。
いよいよ次回で伊勢原校最後の実技となりました。
上級クラスの上に専攻科が用意されているが、専攻科の作業場でもスプレー塗装が出来たらありがたいですな~。


写真1: 本坊先生の優しいまなざし

写真2: 有福先生によるカラークリアのお手本

写真3: 箱モノ塗装のもうもうたる吹き返し
  
写真4: 研削形状に合わせたサンドぺーパー台



『お道具拝見コーナー』 その16(三枝氏投稿)

今回も塗装工程の途中ですので、関連の道具紹介を行います。
キャビネットは 裏板が有り 内部の塗装を行おうと、スプレーガンを収納部に突っ込んで吹き付けすると、塗料が裏板に当り、逆流して吹き返して来ます。
その噴霧塗料を吸い込むと、喉の調子が悪くなり 咳が止まらなく呼吸が苦しくなる場合が有ります。 この症状は個人差が大きい様です。 特にウレタン系塗料が良くない様に思います。
そこで、身体に良くないと思われる、塗料気体を吸い込まない様に、ダニエルの塗装工場でも採用している、日本バイリーン株式会社 防塵マスク X-3562の紹介を行います。
マスクは道具なの?と思う人も居るでしょうが、立派に人体を塵埃から守る道具です。一説では、材木の中にはその切り屑を吸い込むと肺癌になると言われる材種も有るそうです。 そう言えば、ランバーコアを切断している時、鼻水が止まらず困った事が有りました。 木屑にしても、有機溶剤にしても、出来れば吸い込まない方が良いでしょう。
このマスクは、10枚セットで3千円強と、少し高いですが、国家検定 DS2 適合マスクです。 特殊帯電フィルタに活性炭層をくわえた脱臭効果のあるマスクとなっています。
仕様を見ると、捕集効率 97.5%で、仕様限度が12Hと有りますので、矢張り1日使ったら捨てるタイプの様です。 マスクは口と鼻からの吸気を粉塵から守るものですから、いくら捕集効率が良いものでも、口や鼻への隙間が空いていてはなりません。ご注意を。
私は丈夫だし、煩わしいからそんな物は要らないと言う人も、塗装の現場や材木の切断等、塵埃の多い環境で作業する時には、少し値段は高いですが、このマスクの着用を検討してみる事をお勧めします。


写真5: 使い捨て防塵マスク


文責・編集  堀江
              

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

木工の講師 内藤 瀬田さんのレポート

2012年03月06日 | Weblog
昨年3月に岩手県技術センターに転職 元町専攻科発表会に来場
元気で頑張ってました。
内藤 廉二さん

・内藤さんは何の専門家ですか?木工も、デザインも製図も絵も、 難なくこなすので、実は、 不思議でした。
「専門・・・と聞かれると、自分でもうーん、という感じですが、ダニエルでは設計を。メインは家具設計(主に特注)、販促物作成、イベント等の現場設計などでした。ですから私は職人ではありませんし、以前工場で働いていたという事もありません」

・では、学校で色々学んだ・・・。
「今は、事業仕分けを受け、かつ名称も変わってしまった職業訓練大学の造形工学科(工業デザイン)出身です。その科は新設間もない科で、木工科と塗装科が合わさって開設されたので、木工や塗装の実習が必須でした。だから、学生時代には木工機械も使ったし、カップガンなども使わせてもらいました。とはいえ、教わったのはそのときだけでダニエルに新卒で入社してからは営業に3年携わった後、設計室に配属になり、徐々に造形工学で学んだ知識も忘れかけていました。そんな時、家具の学校が始まることになり、木工(特に天野氏)担当の講師に選ばれたわけです」

・昔取った杵柄ということですね。
「卒業後、7、8年位経っていたのでほぼ忘れた状態で、様々な文献をあさりながら勉強し直し、実質的なところは天野氏に教わったというのが現実です。ですから初年度は特に大変で、毎週、次週のテキストづくりや授業内容の確認に
必死でした。授業中はあたかも自分ができるように偉そうな事を言いましたが、実質レベル的にはそんなもので、こと木工に関しては、まだまだ頭でっかちの部分もあります」

・器用に何でもこなせちゃうのは、小さい頃から?どんな子どもでしたか。
「今こうして田舎に戻り大きく変貌した景色の中に、まだ変わらぬものを見つけると、ふと子供の頃の情景が思い出されたりします。子供のころは、どちらかというと器用な方でした。勉強は謙遜ではなく本当にまるっきりだったけれど、図画工作、技術家庭は得意。特に絵を描いたり、工作するのは好きでしたが、結構飽きっぽいというか、壁にあたるとやめる性格だったので物を完成させた経験はあまり多くありません。家庭科は出来なかったなあ。この間、引越ついでに部屋を整理していたら小学校の頃の図画の作品が出て来て、あまりのひどさに処分。絵が上手かったというのは、妄想だったのかも(笑)」
・学校開設準備から7年間、様々なご苦労があったと思いますが。
「初めは準備室担当という話で表には出ないはずでしたが、いつの間にやら講師も準備室もということになり、初年度は大変でした。会社が新社屋に移転したばかりで組織的にもいろいろドタバタしている時期に、家具の学校開校というとてつもないことの担当になり私自身戸惑っていましたが、職人さん達の戸惑いはもっと大きく、打ち合わせではかなり難航したことも。講師としての準備の傍ら、道具の調達から整備も行い、でも、数がそろわず不満が出るなかでなんとか初年度を乗り切ったと思ったら、今度は中級も作るよ、上級もやるよと。初めの3年間は、毎年準備の連続という感じでした。でも、おかげでいろんな勉強ができたし、何より、職人さんたちとより親密になれたと感じています。今は、やって良かったと考えるようになりました」

・家具の学校の最初の頃の生徒と最近の生徒に変化を感じますか?
「答えにくいな。毎年それぞれ個性があり、この年は優秀だったとか、あまりできないとかそういう事はないですよ。ただ、初年度は、本当に試行錯誤のバタバタのなかで、クレームも言わずよく来ていただいたなと、特別な思いがありますね」

・7期生は半数以上が中級に進みますが、ご助言を。
「すごいですね。中級は木工機械を使います。くれぐれも怪我には気をつけてください。特に人数が多くなると事故の危険性も高まります。指は10本ありますが、予備が10本用意されているわけではありません。今や家庭でも簡単に木工機械が手に入ります。危険度はプロの機械と変わりません。よーく注意を聞いてください」

・7期生の印象は?
「7期生は、女性陣のパワーの強さ。教室の雰囲気をぐいっと持っていく力強さを持っている。すごい(笑)」

・では、最後に7期生、内藤先生の家具の学校の最後の生徒に言葉をください。
「7年もやっているのに未だにつたない授業でご迷惑をおかけしました。7期生には最後に挨拶もできず退社しましたこと深くお詫び申し上げます。これから進級される方もそうでない方もくれぐれも怪我にご注意いただき、ぜひ楽しく物づくりを続けていただきたいと切に願います。また、もし都会を離れて岩手で工房を開きたいという方がおりましたら、ぜひご連絡ください・・・。
いるわけないか(笑)」
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

3月3日の授業

2012年03月04日 | Weblog
今日は、お雛様でした。
自宅のお雛様の写真

初級は、来週で椅子の完成です。


吉田講師との2ショット

素敵な柄の椅子だれが座るのかな?


中級は、リペアーの技術を習得中



コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

上級特派員便り 2012年2月25日

2012年03月02日 | Weblog
上級特派員便り

2012年2月25日 @伊勢原校   雨のち曇り 

前回に続いてキャビネット(ナイトテーブル)の塗装。前回は木地調整、着色、目止めの工程を終えて、今回はそこからの続きです。
目止めの次はウレタンのサンディングシーラーのスプレー塗布。1~1.5時間の自然乾燥ののち、サンドペーパー(#360)で研磨。ウレタン塗布で光った面が出来ますが、光っている部分がなくなるように研磨します。研磨は、次工程のカラークリアの塗面が密着するための工程。結構しっかり研磨します。
スプレーは、両面塗装する物(ナイトテーブルでは扉2枚と棚板)を先に塗装します。これ原則。これらを乾燥させている間にキャビネット本体や引き出し前板を塗装します。キャビネット本体は内部も軽くウレタンを塗布しますが、裏板を張って箱状の閉塞した本体にスプレーをすると、霧状のウレタンがもうもうと立ち上がり、まったく周りは見えなくなるほど。噴霧でむせ返る・・・ちょっと大変。
天板は少々厚めに塗布。
サンディングシーラー(ウレタン)を乾燥させて研磨のあと、タッチアップペイントでタッチアップ。木地処理で、隙間を埋めたパテや木工ボンドが残っている部分は着色できないため、タッチアップで着色します。面相筆で、タッチアップの周りの色に近い色を調合して描いていきますが、これが何とも難しい。色合わせが難しい。塗装作業の中で一番難しいかも知れません。我々は(筆者だけかもしれませんが)タッチアップは色を重ねるほどに周りの色と離れていきます。美術的センスが問われるような気がします。
ウレタン塗装のあとにタッチアップするのはわけがある。色合わせが旨く行かないときに、ウレタン塗装の上ではいくらでも消して修正できるから。
本日の作業工程はカラークリアまで終える予定でしたが、時間切れで次回になりました。カラークリアの掛け方の見本を習って時間となりました。


写真1: 着色直後のキャビネット

写真2: サンディングシーラー(ウレタン)塗布後、自然乾燥

写真3: ウレタン塗料を固めたもの。完成品の打痕などの修理に、これで埋めるときれいに仕上がる
  
写真4: タッチアップのお道具セット



『お道具拝見コーナー』 その15(三枝氏投稿)
今回は 塗装作業に必須のアイテム、生地調整から塗面研磨まで広く使われるKOVAX、ファインカットペーパー(サンド ペーパー)の紹介です。

サンドペーパーなんて何処のメーカでも変わらない様に思っている読者も多いのではないかと思いますが、研磨力、耐摩耗性、折り曲げ強さ、紙のしなやかさ、スクラッチ傷の付き難さ等々、評価の結果、メーカによる差が案外と大きく、色々試した結果ダニエル社では、KOVAXの物が一番使い易いと言う結論になったのだそうです。  
塗装の現場では、#120、#180、#360の三つの番手が多く使われる様です。
サイズは228×280で100枚セットとなっており、ネットで購入した場合概算で4300円程度と言う所でしょうか。 
このペーパ1枚を4分割または16分割して小割りで使えば、それ程無駄にもならず、更に一度使った物でも、捨てずに塗装後の塗面研磨に使うと有効に経済的に使えると思います。使い方にも依りますが それくらい耐久性が有ると思います。
ダニエル家具の滑らかで深い艶の有る塗装の仕上がりには、こう言う道具達が支えているのかも知れませんね(Shining Apple!)。

写真5: KOVAXサンドペーパー


文責・編集  堀江
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする