鏡海亭 Kagami-Tei  ネット小説黎明期から続く、生きた化石?

孤独と絆、感傷と熱き血の幻想小説 A L P H E L I O N(アルフェリオン)

・画像生成AIのHolara、DALL-E3と合作しています。

・第58話「千古の商都とレマリアの道」(その5・完)更新! 2024/06/24

 

拓きたい未来を夢見ているのなら、ここで想いの力を見せてみよ、

ルキアン、いまだ咲かぬ銀のいばら!

小説目次 最新(第58)話 あらすじ 登場人物 15分で分かるアルフェリオン

一瞬から永遠に転化するような輝きと、その裏側に口を開ける底無しの闇

連載小説『アルフェリオン』の名場面をAIのオボロさん(*)に生成してもらう企画、いよいよ山場に入って参りました。上記のタイトル画像は、第51話「時の止まった村」および第52話「師と真実」からの素材を使ったものです。主人公である闇の御子ルキアンの秘密と「聖体降喚(ロード)」の核心に迫る部分なのですが……世界と人類を救うためには、つまりは「あれ」によって世界が「リセット」されることを止めるためには、「結果を出せる」方法はあっても「正しい」方法などないのです。こんな形でしか世界を救えないなんて。それでも「救った」といえるのか? 何を、誰を? 詳しくは小説本編でご覧ください。

(*)オボロさんとは「Editorial Oboro」(GPTsの機能を通じて小説広報支援用にカスタマイズされたChatGPT)のことです。多彩な機能のひとつとして、小説を読んでその内容を画像化することができます。

 

それでは、第51話からの画像です。時に失われたワールトーアの廃村に辿り着いた、いや、引き寄せられた(?)ルキアン。

ワールトーア村の各所のイメージ。いずれも、絵の全体的なタッチが、不吉な今後を暗示しているような感じがします。ここで何が起こるのでしょうか。

そんなルキアンが、まさかの人間とも遭遇します。一見して微妙にチャラくて胡散臭い自称作家(苦笑)のパウリ・ブレンネルですね。

しかし、このブレンネルが、本人自身も知らず・意図もしなかったにもかかわらず、ルキアンが自身の秘密と向き合い、さらにはヒロインのエレオノーアと出会うことを、そしてシェフィーアさんと会うためのコネクションをルキアンたちが得ることを、すべてお膳立てするという大金星な結果をもたらすのでした。

ちなみにこちらは、ルキアンとブレンネルが出会った場面のボツ画像で、ブレンネルがちょっと格好良すぎました。

 

そしてブレンネルが語る、ワールトーア村の「狼狩りの男」の伝説。まず、下の絵は色々と細部がおかしいのですが、それでも雰囲気はあります。伝説のことをオボロさんが見事に画像化してくれました。


かつてのワールトーア村を襲う恐狼(ダイアウルフ)の群れ。


病の体に鞭打ってでも狼たちを仕留める必要があった、伝説の主人公である「音魂使い」。彼は村人からの依頼を受け、呪歌の力により、凍った湖に狼の群れを誘い出し、一網打尽に仕留めます。しかし、彼は村人たちに騙され、うまく利用されていたのでした……。そんな彼の怒りの呪歌の力が、今度はワールトーア村を襲います。そして誰も居なくなり、歴史の影に埋もれてゆくワールトーア。

この伝説を作中で綴った以下の散文詩のような部分は、「感傷系ダークファンタジー」こと『アルフェリオン』の味わいを十分に堪能できる箇所かと思います:

 

 灰の世界に降り続く雪。
 緩慢な調子で宙に漂う綿雪は、天で死した無数の鳥たちの羽根が舞い落ちてくるかのようで、じっと見つめ続けていると、理由もなく沈鬱な気分にさせられる。
 鉛色の空のもと、それらは音も無く積もり、家々は静まりかえり、立ち並ぶ木々は色を失い、広がる世界は、一面、墨絵のようだ。
 夜の闇はすべてを黒く塗りつぶす。そして対極にあるはずの白き色も、こうしてすべてから彩りを奪う。

 単色と単調さの中で同じ時間が繰り返され続けるような、凍りついた冬。
 その静寂を破り、雪原に刻まれる沢山の足音が響いてくる。
 冷え切った風に運ばれ、遠くの方から獣の唸り声も耳に届く。

 黒い毛に覆われた四つ足の獣たち。盛んに聞こえる荒い息は、犬のそれにも似ている。狼、いや、狼の姿を持ちながらもそれより一回り、二回り近く大きな野獣が群れをなして続く。
 彼らの前方を、おぼつかない足取りで体をふらつかせながら、一人の人間が駆けてゆく。茶色のローブをまとい、フードを被った男だ。ときおり息を切らせつつ、彼は呪文のような歌を詠唱し続けている。男の行く手には凍った湖が見える。彼は脇目も振らず、湖をめざして一心に進んでいた。
 それに続く、熊のように大柄な恐狼たち。あるいはその姿は地獄の番犬か。不思議なことに、狼たちは男の《歌》に引き寄せられ、魅入られているように思われた。

ワールトーアの村をさまよい歩くルキアンとブレンネルは、村の礼拝堂にて二人の子供の墓と、そこに手向けられた花を目にします。そして背後から現れた謎の修行僧。

この男は、いきなり支配結界を展開し、自身が「闇の御子」と同様の力を持っていることをルキアンに見せつけます。いや、ルキアンが御子であることも知っているようですが。

エメレーア・ロッタとアリーオ・ロッタという幼い姉弟。彼らの墓を大切に守る謎の修行僧スウェール、その正体は、幼い頃のルキアンの師であった「マスター・ネリウス」こと、ネリウス・スヴァンでした。スヴァンは「月闇の僧院」のリーダー格の一人で、この後、ルキアンは僧院がらみの重大な一件に巻き込まれることになります。

 

ちなみに、ロッタ姉弟の生前の姿を小説本文の中で描いた、これまた散文詩のような箇所も、美しくはかなげです。その美しさ、一瞬が永遠に通ずるような輝きは、その裏側に暗示され、口を開けて待ち構える闇の深さに直結しています……。


(小説の当該部分からオボロさんが生成した画像付きで、ご覧ください)

 

 細長い花弁をもつ、薄紫色の可憐な花が、
 一輪、あちらにも一輪、そしてまた一輪、心地よさげに揺れている。
 時の向こう、短くも輝かしい季節の中、その日も花は咲いていた。

 丘の上から吹き降りてくる風に、
 花々は首をかしげ、身体を揺すり、さざめきを作り、
 いつしか紫の波となって草原を駆け抜ける。
 風と波の向かう先、野と空の先には、
 淡い緑に覆われた山並みがなだらかに続いている。



 声が聞こえた。
 うたを歌い、無邪気にはしゃぐ男の子の声が。
 彼の名を呼びながら、近づいてくる女の子の声が。

 流れゆく白い雲に、青の色濃さをいっそう引き立てられ、
 天を突き抜けて清々たる晴空の下、
 笑い声は風に巻かれ、次第に高く舞い上がって消えていく。



 小さな手にしっかりとにぎられた花。
 振り返った男の子。
 汚れ無き瞳。陽光にきらめく銀色の髪。
 つまづきそうになりながらも、駆け寄ってくる少女。
 銀の髪を風になびかせ、一瞬かつ永遠の光の中で。

この後、アリーオとエメレーアは。彼らとルキアン、マスター・ネリウスとの関係は……。

と言いつつ、ここで次回に続きます(!)。

本日も鏡海亭にお越しくださり、ありがとうございました。
今後とも、鏡海亭および連載小説『アルフェリオン』(連載小説『カイス・ブリッツ』も!)にご声援をいただけましたら、とても嬉しく、光栄に存じます。

ではまた。

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