鏡海亭 Kagami-Tei  ウェブ小説黎明期から続く、生きた化石?

孤独と絆、感傷と熱き血の幻想小説 A L P H E L I O N(アルフェリオン)

生成AIのHolara、ChatGPTと画像を合作しています。

第59話「北方の王者」(その1)更新! 2024/08/29

 

拓きたい未来を夢見ているのなら、ここで想いの力を見せてみよ、

ルキアン、いまだ咲かぬ銀のいばら!

小説目次 最新(第59)話 あらすじ 登場人物 15分で分かるアルフェリオン

光と闇の少年―主人公応援企画?

連載小説『アルフェリオン』の主人公、ルキアン。第22話に入っても相変わらずダメっ子ぶりが目立ちます…。いや、ダメっ子ぶりにますます磨きがかかってきたという印象さえ受けてしまいます。

第21話の「ルキアンの決意」というタイトルは、一見して主人公の超覚醒(笑)あたりを連想させたかもしれません。が、『アルフェリオン』はそんなに甘くない物語です。決意しておきながら、いざ行動に出たルキアンは、情けなさ爆発…。でも彼のそういうダメさ加減に少し萌えるかもと思ったあなたは、もうルキアンの魔力、いや魅力にとらわれています(^^;)。

そんな前途多難な主人公ルキアンですが……。
今回は「ルキアン」というネーミングの背景について、少しお話ししたいと思います。ルキアン応援企画?

 ◇

さて、ルキアンは Lucian と書きます。実は英語で Lucian と書けば、ギリシアの作家ルキアノス(笑)のことになってしまいます。ルキアノス…ルキアンの雅号?(違います) その場合、読み方はルーシアンあたりになるそうです。が、これを敢えてルキアンと読みます。冗談はともかく、Lucian の Luci- の部分は、ヨーロッパ系の言語の人名や一般名詞によくみられる綴りです。元々はラテン語の lux(光)に由来します。後述のように、この「光」との関連が重要なのでした。

フランス語の Lucien(カタカナ読みではルシアンとかリュシアン)も、同じく語源的には「光」に由来する男性の名前です。こっちの方が、キャラの名前としてはルキアンよりもむしろ自然ですし、実際にもよく見かけます。しかしリュシアンとかルシアンではなく、あえてル「キ」アンという名前にしたのは、主として言葉の響きの問題によります。ルシアンやリュシアンというのは、いかにもフランス系という感じがしてしまうので(有名なリュシアンさんも沢山いますし)、もう少し「欧風無国籍」な名前にしたかったのでした。そこで ciを「シ」ではなく「キ」と読ませて、ややラテン語風味の響きに変えてみました。

で、そもそも、なぜ「ルキ~」のつく「ルキアン」という名前を選んだのか、その必然性が問われるところです。別にデミアンでも、ダルタニアンでも、ダルメシアンでも(違)いいのではないかと…。いや、しかし「光(Luci-)」という意味合いが大事だったのです。なおかつ、この物語においては、ただの光ではなく闇と対になった意味での光というニュアンスが含まれています。

光と闇――これを書いてしまうと何だかネタバレっぽい雰囲気も漂ってくるのですが(あくまで雰囲気だけですが)、おなじみの堕天使ルシファー(Lucifer)の名前も Lucian と語源的には似たような構造をもっています。Lucifer= (ラテン語で)lux(光) を ferre (もたらす、帯びている)する者、というわけです。かつては光に満ちた天使の長であったにもかかわらず、神に背き闇に落ちて魔王となったルシファー、というところです。なおルシファーは、ラテン語だと「ルキ」フェルになります。

今後、物語が進むにつれて、なぜルキアンが「闇」と密接に関係するのかが明らかになってきます。いや、今までにもすでに暗示的な部分は出てきているかも。あるいは、アルフェリオンの強大な力が光と闇のいずれの側にも転びうるのだという話や、なおかつアルフェリオンが姿の上でも天使を思わせるアルマ・ヴィオであるという点も気になります(正確には、天使のように見える以外に、猛禽や竜を想起させる部分もあるというバケモノじみた存在ですが)。

ルキアンは光に関わる名前を持つ少年であるにもかかわらず、実は闇の……。いや、これ以上書くと本当にネタバレになってしまうので自重します(^^;)。いずれにせよ、光の天上世界から地の闇へと堕ちたルシファーとルキアンとの間には、イメージ的に一定のつながりがあるのでした。ただ、それは、あくまで「イメージ」や「雰囲気」の次元の話にすぎませんが。設定的には、この物語はルシファーと何の具体的な関係も持っていません。

とりあえず、このへんで。
今後もルキアンの一挙一動を、生暖かい視線で(?)見守っていきたいところです。
次のお話では(第22話の3)さらにすさまじい事態になります。ご期待ください。「それでいいのか、主人公!」という想定外の展開を見せてくれるでしょう…。

以上
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