Joe's Labo

城繁幸公式。
というか避難所。移行か?
なんか使いづらいな・・・

日本型雇用の生の味

2009-09-24 18:56:43 | 人事
天下りという闇に、いよいよメスが入ることになりそうだ。

厚生労働省所管の独立行政法人「高齢・障害者雇用支援機構」が
同省天下りOBらの年収を委託費で保証していた問題で、政府の
行政改革推進本部事務局が18日までに、同機構の調査を始めた
ことがわかった。


年収保証までしていたというから、闇はずいぶんと深いだろう。
それにしても、雇用改革にまったく手をつけず格差や貧困を放置したまま、
「高齢・障害者雇用支援機構」の名の下、税金を垂れ流してこういうことを
やっていた厚労省というのは、救いようが無い組織だ。

もっとも、同様のことは各省庁にも存在する。
組織の成長拡大しない官庁にとって、天下りは年功序列制度を維持する大動脈だ。
それがストップすれば、数年で回転していたポストに、下手をすれば定年まで
居座ってしまうハメになり、以前から指摘してきたように、若手~中堅にとっては
絶望的な状況になる。
彼らもようやく、そのリスクを危惧しはじめたようだ。

もっとも、それ自体は別に珍しいことでもない。
飼い殺しも空手形も、民間では10年以上前から起きている話である。
そういう日本型雇用の矛盾を、天下りというトリックでごまかし続けてきたわけだ。

ただ、官庁では以下の二点で、民間より悲惨な地獄絵図になると思われる。

・大手のように天下り先が無い

民間大手には“グループ企業”という名の天下り先がある。
商社のように特にグループ企業の多い業種であれば、組織がゼロ成長でも結果的に
年功序列は維持出来るケースもある。
これが完全になくなるわけだから、「課長以上昇格者は26%」という大手の数値
を下回る可能性が高い。

・組織体制や業務プロセスが昭和的で、長時間残業が恒常的

中央省庁は平均的に忙しい。特に質問主意書などでつるし上げられている部署など
月100時間超の残業はザラである。
僕の経験上、人というのは“希望”を失った途端、業務量やプレッシャーに対する
免疫が激減する。つまり、報酬システムが崩壊し、ただの3K職場に成り下がる
ことで、回っていた業務も回らなくなるはずだ。
具体的に言うと、メンタルトラブル等でバタバタ倒れる官僚が続出するんじゃないかな。
大変ですね、霞が関も。

まあ、そういう警告を何年も前から色々な論者にされているのに、
「日本は従来どおりの長期雇用で行くべきだ」と言い続けてきたわけだから、
少なくとも厚労省については自業自得だろう。どうにでもなるがいい。

長妻&仙石コンビに、わけのわからない独立行政法人を全部潰されて、
人事がガタガタになって、職員がバタバタ倒れても、仕方ないよね。
だって、自分たちがそれを良しとしてきたんだから。

そういえば「城さんの主張は財界よりだ」と言っていた木っ端役人もいたけど、
今回は財界も新自由主義も関係ない。
“天下り”というインチキを取り上げられただけだ。

「日本型雇用は素晴らしい!これからもこれで行きましょう!」
と天下に向けて公言してきたお役人には、
がっぷり四つで、日本型雇用の生の味を味わっていただきたい。
きっと悲鳴を上げるくらい気に入ると思うよ。