Joe's Labo

城繁幸公式。
というか避難所。移行か?
なんか使いづらいな・・・

付加価値の低い仕事を残す努力も必要

2009-09-01 10:00:21 | 経済一般
シャープが液晶パネル生産ラインを中国に移管するらしい。
旧式の第6世代は売却し、第8世代については合弁という形をとるとのこと。
メーカーが古い設備を新興国に売り払うのはよくある話だが、液晶パネルの
国内生産にこだわってきたシャープでは初のことだ。

4月頃からあちこちのインタビューで社長が表明していたことではあるが、
あらためて目にすると、うーん…という印象。

経営的にみれば、付加価値の高い第10世代を堺に残しつつ、コモディティ化した
技術は海外に移すというのは、オーソドックスな方法だ。
(人件費の低い海外なら、利益率の低い技術でも利益が出せるため)
ただ、それを突き詰めると、任天堂のように、マーケティングや設計などのコア以外は
すべて海外発注という「製造しないメーカー」となってしまう。
グローバル企業として優等生ではあっても、日本国内で維持できる雇用は多くない。
付加価値の高い業務に就ける人間はグローバル化の恩恵を
受けられるが、そうでない人間の職は減る一方だろう。

グローバリゼーションで格差が拡大するというのはこういうことだ。

そういう意味では、なんだかんだ言っても、トヨタは国内生産比率の高い
“日本思い”な企業だった。

シャープが方針転換した理由はわからない。
が、その理由の一つに“日本国内の高コスト”があることはトップも認めている。
雇用政策の舵取りによっては、同じように方針転換する企業を増やしかねないと
いうリスクを、新政権は認識すべきだ。
将来景気が回復した際に、日本中のメーカーの製造ラインに再び雇用が戻ってきて
くれることを祈りたい。