城台山日記

 城台山の麓で生まれ、毎日この山に登り、野菜・花づくり、読書、山登りをこよなく愛する年寄りの感動と失敗の生活日記です。

将来なくなる仕事は? 21.3.10

2021-03-10 17:53:42 | 面白い本はないか
 まずは身近な話から始める。マイナンバーカードを作っていなかったので、最後かもしれない特典に目がくらんで、申請することにした。申請にあたって写真が必要なので、めんどくさいなと思っていた。そしたら、スマホで申請できることがわかり、必要な写真は自撮りで撮り(自撮りになれないせいか変な写真となってしまったが)、そのまま申請した。その後役場から通知が来たので、かみさんともども役場に出かけ、免許証を提示して別室(パスポート申請室)にて2種類の暗証番号を入力して、カードを受け取った。かみさんはバローの現金カードに特典の5000ポイントが入るよう、係員に教えてもらいながら手続きをした(とても感じの良い事務員だった)。おじさんは、楽天カードでその特典を使う手続きをスマホで時間はかかったが、なんとか行った。この申請さらに受け取りがスマホ上で全て行うことができればもっと便利なのにと感じた(何もカード自体を発行することなく、スマホでいつでも取り出せるようにすることもできる。)。また、昨年の8月に購入した新車のサポカー補助金がいまだに交付されないので、変だと思って販売店に尋ねた。調べてもらった結果、ディーラーの辺で書類紛失ということになっていた。そこで再び書類作成となったわけだが、免許証写し、銀行通帳の表紙と2枚目のコピーの他に、印鑑を3箇所に押印した。昔ならいざしらずこの21世紀しかもAIの時代に昭和の時代と同様のことを行っているのである。

 日本経済の行方で日本の労働生産性が先進国中最低であることを述べた。日本の労働人口は減り続け、GDPも伸びないばかりか長期的に低落することも述べた。本来であれば国は労働生産性が低い産業から高い産業へと産業構造を変えるような政策を行う必要がある一方で、生産性を上げるためのIT化、ロボット化を強力に進める必要があるのだが。さらに現在日本は人出不足であるのだから、こうした省力化は欧州等に比べればその抵抗は少ないはずなのである。ところが、人手不足から財界は移民(日本は移民政策はとらないとばかなことを言っているが)を増やし、省力化の努力を意図的に怠っている。移民は最低賃金付近で働くことから、日本人の賃金も上がらない。これではいつまで経っても、日本の労働生産性そして賃金はあがらずに、日本経済は衰退していくことになる。

 渡邊正裕「10年後に食える仕事食えない仕事」は非常に刺激的な本である。完全リタイアしているおじさんにはまず影響はないであろうが、若い世代そして今学校に行っている人たちには大いに関心があるはずである。AIやロボットの進化によって無くなっていく仕事が多くある。結論から先に言うと、AIやロボットができない仕事は残るけれど、人間でなくてもできる仕事はAIやロボットに置き換わる。この著者がすごいのは、細かい職種にまで分け入って(やたらとそれぞれの業務内容に詳しい!!)、その職種、属する労働者数まで推計していることである。少し、先進的な例について本から紹介する。

 なくなる仕事にも上がっている販売員、その中のレジの仕事は割合が大きい。ユニクロに良く行く人は知っていると思うが、買い物を自動レジボックス(なんと言うか知らないのでご免なさい)に入れて決済することができる。最初どうしてできのか疑問に思っていたのだが、ユニクロの商品にはICタグが付けられており、このタグを機械が自動で何点商品が入っていてもできるということだった。アパレルの販売店ではまだユニクロだけの取り組みのようだ。これでレジの仕事を少なくし、結果として賃金を業界の中で高くしている。ではこれをコンビニでできないかというと、コストがかかる割に人件費をへらすことができないので、引き合わないと述べている。もう一つ紹介しよう。いわゆるパスポートコントロール、出入国管理の仕事だが、昨年1月グアムに行ったときに感じたことだが、中部国際の入国は顔認証のみによる自動審査(日本人のみ)だった。なぜ、こうした自動化がされたかを知るとさらに興味深い。管理の仕事は公務員、本来であればその導入には大反対するはずであった。ところが、インバウンドで日本への観光客が大幅に増えたことにより、手が回らなくなり、日本人の方を自動にしたのである。

 著者によると、以下の5つが人間の強みを生かせる業務である。①創造ワーク(小説家、漫画家、建築家、デザイナー、大学教授、政治家(?)等々)、②感情ワーク(他者を気遣わなくてはいけない介護福祉士、看護師、高級レストランのウェイター等々)、③信用ワーク(信用を気づかないとできない仕事、記者、弁護士、医師等々)、④手先ワーク(機械化が最後までできない指を駆使した手先の作業、新幹線内の清掃、飛行機機内の清掃、農作業の大半等々)、⑤ボディワーク(人間が現場にいくことによってできる仕事、警察、消防、インフラの復旧のための人員等々)。一方でAIが得意なのは、①業務に必要十分な情報を「デジタル形式」で取得できる、②AIが分析できる範囲内であること、③執行環境が整備されていること(ロボット、または人間が支援)。ビジネス現場でAIが強みを発揮するのは、その圧倒的に優れた「推論」力(今や将棋、囲碁の世界で人間がAIに勝つことはできない。ただし、その推論について、なぜその結論が導かれるかはわからないと言われる。いわゆる中間がブラックボックス状態になっている)

 著者が言う下図右上の象限はデジタル・ケンタウロスの世界でAIと人間が相乗しながら、その仕事の質を高めていける可能性のあるところである。右下の象限は人間が強く、機械が弱いので残り、AIの知識もさほど必要がない。左上と左下は両方とも既存業務が消滅、賃金が低下するエリアである。このうち、ざっと三分の一の職業が消えると予想している。

 10年後に食える仕事食えない仕事」から

 新しいテクノロジーが世の中を変えるには4つの壁を乗り越える必要がある。①技術、②コスト、③既得権、④リーダーシップ、この中で特に壁となるのは③の既得権(法律、例えば司法書士、業界団体、労働組合等々)。著者が言うには、日本の労働生産性が低いのは技術力の差ではなく、③と④の違いであると。昭和の時代はおじさんの世代にとって懐かしいものであるが、世界は確実に変わってきているのである。特に日本は課題先進国とも言われており、今こそ政治の力によってこの既得権を打ち破っていかなければと思う。

 著者が心配していることは、デジタル化、AI経済化により多くのサービス業がGAFA等プラットフォーマーによって支配される時代が来るのではないかである。例えばウーバーイーツの配達員は、労働基準監督署の規制を受けない。いわゆる労働者ではなく自己請負業になり、様々な労基法上の規制を受けない。このため「新しい労働者」の再定義が必要となる。そして、再分配の強化策として、負の所得税の導入、最低賃金を1300円超に、キャッシュレス、ペーパーレス断行が必要だと言っている。

 IT化の速度が遅い日本だけれども、スマホの活用はどんどん増えてくる。時間がかかっても慣れていくしかないのである。
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