備前の古社を訪ねる(備前国内神名帳の研究)

備前の由緒ある神社を巡礼する

コラム244.備前国の磐座拾遺(その17・飯盛岩)

2010-03-12 17:47:01 | Weblog
飯盛岩(いいもりいわ)。
場所:岡山市東区正儀。県道233号線(宝伝久々井南水門線)を南水門町から宝伝方面に南下し、「山神山」の峠を越えると久々井の海岸に出る。下り坂を降りきらないところの右側(西側)に海岸に降りていく道路がある。ただし、落石の危険があるとのことで、「進入禁止」の看板が出ている。その付近に自動車を置いて、徒歩約600m。砂浜のすぐ先に、岩が波に洗われている。
この岩をも「磐座」とするのは言い過ぎだろう(特に祭祀跡があるわけでもないし、古代の土器などが出るわけでもない。)が、「飯盛岩」というのは磐座によくある名前である。また、この岩のあるところは正儀の地先だが、東側は久々井の海岸で、式内社「安仁神社」の古文書などにもある「鵠浦」と称された場所である。ここに立つと、児島の小串地区(焚火大権現が鎮座するところ。2009年12月22日記事参照)や犬島諸島、小豆島などが見えて、気持ちの良いところだ。
鵠(くぐい)というのは白鳥の古名で、久々井という地名は備前市や倉敷市玉島柏島にもある。地名の由来には諸説あるが、かつて白鳥が多く飛来した場所というのがイメージ的にも綺麗でよろしい。
白鳥といえば、ヤマトタケルとも関係が深いが、もうひとつ、垂仁天皇の皇子、誉津別(ほむつわけ)王のエピソード(「鳥取」という地名の由来譚)が思い浮かぶ。言葉を発しない皇子のため天皇が白鳥を捕らえるよう命じ、出雲でようやく捕らえて献上したところ、皇子が話せるようになった。捕らえた者に「鳥取造」という姓を与えて「鳥取部」を創設したという。これは日本書紀の話だが、古事記では皇子がしゃべれないのは出雲大神(大国主命)の祟りだった、ということになっている。
こんなことでも、いろいろ妄想が広がって、だから古代はおもしろい。

ところで、久々井の沖にある犬島諸島のうち「犬ノ島」には有名な磐座「犬石明神」がある。しかし、「犬ノ島」は全島が岡山化学工業株式会社という会社の私有地で、部外者立入禁止となっていて、普通は見ることができない(5月3日の「犬石明神」お祭りの日のみ開放されるらしい。)。非常に残念なことである。

岡山市西大寺支所のHPから(犬石明神(犬石様)):http://www.city.okayama.jp/saidaiji/inushima/myojin/myojin.htm

最新の画像もっと見る

コメントを投稿