333ノテッペンカラトビウツレ

 奇跡は 誰にでも 一度おきる だが おきたことには 誰も気がつかない

見せ物小屋の極意

2008-04-06 03:07:48 | SP(Standard Program)
●まず宣言しておきます。内容については一切、記載しません。

●「すぐれたアイデア」には「こんなことは今まで思いもつかなかった!」というものと、「何故に今まで思いつかなかったんだ!」というものがあります。例えば“建設途中の東京タワー”の映像というのは、そりゃ建設していたわけですから、その姿を大勢の人が見ているわけで、誰もが思いつきそうなものなのに、それをCGで再現すると、ある時代のムードが浮かび上がるということは誰も思いつかなかったわけです。映画の出来はともかく、あのアイデアは、誰かが思いついても良かったという点において評価されるべきだと思います。

●で、今日から始まった謎に満ちた映画『クローバーフィールド』ですが、これもまた「何故にこのアイデアを今まで思いつかなかったんだ」という映画でした。特に日本人がこのアイデアを思いつかなかったことが残念でしょうがありませんよ。もしかしたら、誰かが思いついたけど、それをやるだけの勇気がなかっただけかもしれません。でも、その勇気がないヤツは何も言う資格がないわけです。

●本作の製作を務めたJ.J.エイブラムスについていつも思うことは「コイツは自分の身の程を知り過ぎている」ということです。おそらく相当なオタクであろうエイブラムスは、オタクであるがゆえに「自分はスピルバーグやフィンチャーにはなれない」と悟っている気がします。そこで、持てる予算とアイデアと奇策を組み合わせて、自分にしか出来ない、下手を打ってもダメージの少ない最善の手を考えて新作を打ち出してきます。そのバランス感覚とビジネス感覚はうなるしかないのですが、観客の一部にはワガママな人もいて「そんなこと言うなよ!身の程知らずな感じが燃えるんじゃないか!」と言いたくなるのでしょう。

●この映画の「相当にうまくやってるな」という感じと、「わかるが想像以上のものはなかったな」という感じは、エイブラムスの作品すべてに共通する感覚です。アメリカ映画界で成功者として名をあげつつあるこの男が、このまま成功というパイを食べつづけるのか、それとも禁を破って身の程知らずな冒険を始めるのか不明ですが、この男の「自分に出来る範囲を知っている」感じは非常に独特だと思います。大抵はここまで成功すると勘違いしてデカいことやって失敗するはずなんですけどね。

●というわけで映画を観てない人には何が何やらでしょうが・・・とにかく、どこかのアホが中身を喋ってしまう前に映画館で観てみてはどうでしょうか?ま、「実際に観てみたらたいしたことなかった」だったとしても、それって興業の原点じゃないですか。つーか、最近の映画やドラマは事前に中身を見せ過ぎなんですよ。個人的にはすべての映画が『クローバーフィールド』程度の露出でも構わないと思います。