シャンテ サラのたわ言・戯れ言・ウンチクつれづれ記

"独断と偏見" で世相・経済からコミックまで 読んで楽しい 面白い内容を目指します。 

中国が欲しい先端半導体はどこから

2023年06月15日 | テクノロジふ~ん
先端半導体は台湾で製造・輸出され、中国で iPhone に組み込まれて世界に出荷される。
~~~~~~~~~~~~~~~~~~
どんな業界でも横串 (よこぐし) に相当する協議会とか連絡会とかいわれる組織があります。 国単位ですと国連ですね (もっとも あれは第2次大戦の “戦勝国クラブ“ とも)。 半導体業界団体の WSTS が、2023年春季の世界半導体市場予測を発表しました。
★ ★ ★ ★ ★ ★ ★ ★ ★ ★ ★ ★ ★
WSTS (World Semiconductor Trade Statistics 世界半導体市場統計) は、6月6日 2023年春季の世界半導体市場予測を発表した。

23年の世界半導体市場規模は22年比 10.3% 減の 5150億9500万米ドルだが、24年の世界半導体市場規模は23年比 11.8% 増の 5759億9700万米ドルに再拡大するとした。
★ ★ ★ ★ ★ ★ ★ ★ ★ ★ ★ ★ ★
半導体の世界は順調に発展し、今ではその規模が5千億ドルとなり、(140円/ドル換算で) 約 70兆円という巨大な市場となっています。

用途からみると スマホと PC が最も大きい分野です。 ですから 消費する会社単位で、1~3位がアップル (概ね スマホと PC)・サムスン (スマホと家電)・レノヴォ (PC) となるのも納得です。 22年の消費額はそれぞれ $67B・$46B・$21B です (調査会社ガートナーの2月調べ)。 アップルは単独で 10兆円近くも消費してるんですね。

ところが WSTS の地域別市場規模では、最大は日本を除くアジア太平洋で、22年全体の6割近くを占めています。 国別でざっくりいうと 最大の市場は中国で、世界の4割といわれます。
………………………………………………
企業別でのアップル・サムスン・レノヴォの順からすると、所在地の米国・韓国・中国の順になりそうですが、実はアップル・サムスンも自国内では殆ど製造せず、製造するのは中国・ヴェトナムなのです。

アップルの製造形態はもっと複雑で、製造するのはアップルから製造を請け負った台湾企業が多く、その中国工場で製造し、世界市場へ出荷するのです。 サムスンはヴェトナム工場で製造し、世界市場へ出荷します。

なぜそういう形を取るかというと、それが製造コスト全体で安価にできるからです (本国は人件費が高いのです)。 つまり (台湾企業の) 中国工場で部品を集めて iPhone などを製造してアップル・ブランドで世界各地のアップル社へ届けます。 部品を集める過程で中国に部品が集中するので、半導体の中国市場が膨らむというわけです。

表面的に中国という国が半導体を輸入しますから、中国市場が最大市場とカウントされ、最終的に製品を世界に出荷する、つまり輸出の形をとります。 でも その資金元はアップルなので、アップルの半導体購入額としても調査会社でカウントされるのです。
………………………………………………
一時的とはいえ 世界の4割もの半導体=約 28兆円のかなりの部分を (殆どのハイエンド半導体を台湾から) 輸入する中国からしたら、自国内から供給したくなるのも当然で、台湾で製造する半導体の置き換え (或いは台湾の “乗っ取り“?) を中国は目論んでいるのです。

しかし 米国はそうした ハイエンド半導体を製造できるような製造装置を作るオランダ・日本政府と協議し、最先端製造装置を中国に輸出させない枠組みを作り上げました。 これで中国はハイエンド半導体を作れず、従来通り 台湾からの輸入に頼る仕組みを変えられないという形になりました (台湾を “乗っ取れば“ 全て解決?)。

しかしながら 中国の歴史は四千年と長く、その歴史で蓄積した様々な知恵で超大国の野望を打ち砕く構想を密かに練っているはずです (XXを騙して従順な中国を演じ XXを超えるべく XXから経済成長の知恵を取り込んだように?)。

米国は30年前の日本の半導体産業の興隆を粉砕しました。 今は中国の半導体産業の興隆を粉砕しようと躍起になっています。 さて 米中のチップ・ウォーはどのような結末を迎えるのでしょうか。 日本の半導体産業も頑張って、再び世界で輝く存在になって欲しいと願ってやみません。

今日はここまでです。

コメントを投稿

ブログ作成者から承認されるまでコメントは反映されません。