日本ユーラシア協会広島支部のブログ

本支部は、日本ユーラシア地域(旧ソ連邦)諸国民の相互の理解と親善をはかり、世界平和に寄与することを目的とする。

モスクワクァルテット大阪公演(感想)

2013-11-23 08:54:31 | 日記
モスクワクァルテット大阪公演(感想)

11月20日(水)午後7時開演、大阪市ドーンセンターで行われた、モスクワクァルテット大阪公演の感想です。

 筆舌に尽くしがたいほど素晴らしいコンサートでした。ロシア民謡のコンサートも含め、今まで数多のコンサートで生演奏を聴きましたが、これほど美しい音には出会えませんでした。
 生まれて初めてコンサートを聴く目的のために、宿泊を伴う県外旅行をしました。以前から広島音楽教育の会の熱心な会員さんが、優れた音楽を聴くために東京まで出かけることは伺っていました。「よくそこまでするなあ」と半分呆れ、半分感心していたのですが、いい音を求めて遠方旅行をされる方々の気持ちが、今回のコンサートでよくわかりました。
 モスクワカルテットの生演奏を聞くことができたことは一生の宝物になりました。遠方だからと諦めないでよかったとつくづく思いました。既に40年以上もいろいろな生演奏を聴きましたが、こんなに素晴らしい音は初めてでした。ドムラ、バラライカ、グースリ、ピアノ、4人の演奏者の息がピタリと合っていて、とても奇麗なハーモニーになっていたのはもちろんのこと、軽やかで大胆、歯切れのよいリズムがとても心地よく、まるで心が洗われているようでした。今までのすべてのストレスが解消され、明日への元気がわいて来るような気分になりました。最後に勢いよくキリッと締まるところはロシア民謡などの演奏に多いのですが、これが実に心地よいのです。モスクワカルテットも多くの曲は、ワンフレーズ毎に大きく高い音で切れが鮮やかなのです。これが何度も何度も繰り返され聴衆の心を魅了しました。
 とにかく1分1秒でも長く聞いていたいと思ったのは筆者だけではないと思いました。その証拠にアンコールの大拍手はいつまでたっても鳴り止みませんでした。それでも終了の放送があると名残惜しいみなさんは、一斉にCD売り場へ、そして今度は4人の演奏者のサインをもらうための長い列ができていました。
 筆者もその長い列に並びやっとのことで、買ったばかりのモスクワカルテットのCDジャケットに、サイン貰いました。「スパシーバ、ボリショーェ」と言い、ツィガンコフさんと握手して一際強い感動を覚えました。夫婦で「大阪まで来た甲斐があったね」、「一期一会に終わらせたくない、広島か呉でも是非公演して欲しいなぁ」と語り合いながら、素晴らしい1日を終わりました。
 YouTubeの動画を観て期待して出かけたのですが、実際のコンサートはその期待をはるかに上回るものでした。
 
藤井 孝志 <appleilove@icloud.com>
ーーーーーーーーーーーーー 以下は専門家の講評です ーーーーーーーーーーーーーーーー

モスクワ・クァルテットは、ロシア民族楽器の演奏家として、文字通り世界最高の演奏をするアンサンブルです。

それを証明するかのようにツィガンコフ氏とザジーギン氏は、「ロシア人民芸術家」(文化勲章・人間国宝に相当)の称号を持ち、シェフチェンコ氏とゴドリブ氏はロシア功労芸術家の称号を与えられている。
特に、ドムラーのツィガンコフ氏、バラライカのザジーギン氏は、それぞれの楽器において世界の第一人者であることを自他ともに認める、ヴィルトゥオーゾプレイヤーで、ドムラーキング、バラライカキングとロシアでは呼ばれています。
メンバー4名は全員、世界でも有名なモスクワ・グネーシン音楽院(アカデミー)の教授職にあります。
彼らの演奏を聴いて感激した音楽評論家、日下部吉彦氏の強い依頼で出場した第6回(2008年)大阪国際室内楽コンクールにおいて、世界中より出場した200組の中から第一位メニューイン金賞・フォークロア特別賞を受賞しました。
彼らの特徴としては、ロシア民謡を十八番としておりますが、クラシック曲を編曲したものや、自作のオリジナル曲さらにはバラライカアンサンブルとのコンチェルト曲等も取り入れた、非常に高度な演奏もできることです。
しかも、完璧な演奏技術と豊かな表現力をすでに特っているにもかかわらず、絶え間ない修練と向上を忘れない高いプロ意識には、心より尊敬の念を抱かずにはおられません。
平成24年7月
里見 太郎
スラヴ音楽の会代表
日本ユーラシア協会大阪府連常任理事
ロシア音楽研究家
元朝日放送音楽プロデューサー
コメント
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