新渡戸稲造記念 さっぽろがん哲学外来

さっぽろがん哲学外来の活動予定や活動の様子などを
皆さんにお伝えします。皆さんの参加をお待ちしています。

がん哲学校たより・65(0102)

2015年06月08日 | 樋野先生からのメッセージ
樋野先生からのおたよりです(2015.6.7配信)
第114回「がん哲学学校」
「置かれた場所で咲く本物の人間」~人生の不条理に生きる~

先週、ノートルダム清心学園を訪問する機会が与えられた。高木孝子学長と昼食しながら、有意義な対談の時を頂いた。その間、授業をされていた、 88 歳の渡辺和子理事長(1927~)とは、昼食後、面談の機会が与えられた。1936年2月26日、9歳の時、いわゆる、二・二六事件に遭遇され、陸軍教育総監だった父(渡辺錠太郎陸軍教育総監:1874~1936)が、自邸の居間で、青年将校に殺害されるのを目撃された模様を伺った。この悲劇を体験された渡辺和子理事長の『置かれた場所で咲きなさい』(2012年発行)は、今や160万部のベストセラーとのことである。人生の辛い出来事にあっても、境遇に関わらず「置かれた場所で咲く本物の人間」の有り様を深く学んだ。人生の得難い貴重な出会いとなった。

日刊ゲンダイ(2015年6月4日付け)に「がん哲学外来~求められる死の質に応える~」が、大きく取り上げられていた。多数の温かい、激励の反響を頂いた。

日 本家族性腫瘍学会学術集会(石田秀行会長)、日本がん疫学・分子疫学研究会総会(椙村春彦会長)・日本がん予防学会総会(石川秀樹会長)の3学会合同の会 に出席した(「ラフレさいたま」に於いて)。日本がん疫学・分子疫学研究会総会・日本がん予防学会総会では、「人工がん創生100周年~Oncodem: 遺伝と環境~」を講演する機会が与えられた。今年は、山極勝三郎の人工がん創生(1915年)から100年である。筆者は、「遺伝性がんの研究から環境発がんのアスベスト・中皮腫の研究に繋がった経緯」を話した。日本家族性腫瘍学会学術集会では、特別講演1. 「日本家族性腫瘍学会20年の歩み」(野水整先生)、2. 「日 本家族性腫瘍学会の現状と将来展望」(冨田尚裕先生)の司会を仰せつかった。大変感銘を受けた。3学学会合同全員懇親会では、筆者は、終わりの挨拶のご指 名を受け、「純度の高い専門性と社会的包容力」の大切さを述べた。翌朝、モーニングセミナー「リンチ症候群における免疫組織化学的スクリーニングの有用 性」(元井紀子先生、鈴木興秀先生)の司会を務めた。また、家族性腫瘍の患者・家族の交流会「ハーモニー・ライフ」に参加する機会が与えられた。人生の不 条理である「遺伝病も単なる個性である」・「病気であっても病人でない」社会構築が、これからの人類の方向であることを、改めて実感する時であった。

がん哲学外来について

患者さんが抱える悩みは病人としての悩みではない。人間としての悩みです。 がんという大病を得たとき、それを背負って人間としてどう生きるかという深い悩みです。それは「心のケア」というレベルではなく、自分という存在そのものを問う領域なのだと思います。ですから、「がん哲学外来」では、来られた方を「病人」の側面だけではなく、ひとりの人間としての悩みに焦点を合わせます。同じ人間として、対等の目線に立って、人間を学ぶ「人間学の場」でありたいと考えるのです …(提唱者であり当会の顧問である順天堂大教授・樋野興夫先生の著書より)

札幌の「がん哲学外来」(開設趣旨)

私達は樋野興夫先生の志に賛同し、車座になって意見交換をする運営をめざします。講演会スタイルではありません。参加者全員が同じ立場、同じ目線で耳を傾け、縁のあった方々に寄り添うことを願っています。