新渡戸稲造記念 さっぽろがん哲学外来

さっぽろがん哲学外来の活動予定や活動の様子などを
皆さんにお伝えします。皆さんの参加をお待ちしています。

がん哲学校たより・25(0053)

2014年05月03日 | 樋野先生からのメッセージ
樋野先生からのおたよりです。(2014.5.3配信)

第57回「がん哲学学校」
「全国がん哲学外来カルタ大会」開催の夢~『暇げな風貌』の心得~

広島での講演会『「がん哲学外来」~「人間的な責任」で手を差しのべる~』(メルパルク広島)の模様が大きく新聞に報道されたようである(“生きるための言葉 患者へ”中国新聞2014年4月30日付け)。早速コメントが届いた。『改めて「暇げな風貌」の境地に達していない自分を認識しました。どうも役人は、虚勢の「忙しげな風貌」を売りにしているような気がします。暇げな風貌の境地に達することができるよう、努力したいと思います。』、「記事を大変興味深く読ませて頂きました。中でも「患者や家族の悩みに耳をすます。その時に心掛けているのは『暇げな風貌』」とのこと。―――掲載されていたお写真を見ると、半分白い 眉毛が 八の字 (はちのじ) に 開き、見るからに、飄々とした、おおらかそうな感じの先生。マイクの持ち方も、人差し指と中指と親指の三本で、優しくそっと持たれていて、身体全体から、 優しさが溢れている様な方でした。―――「最高の医療を受けてもそれだけでは患者さんの心は晴れない。同じ人間として同じ目線で対話する場が必要」という 事を先生から提案して下さって、こんなに有り難い事はありません。是非 広島でも「がん哲学外来メディカルカフェ」が開かれる事を願っています。」などなど、本当に、涙なくして語れない。

「まちなかメディカルカフェ in 宇都宮」1周年記念講演『がん哲学外来の理念「わたしの目には、あなたは高価で尊い」』の新聞記事(下野新聞 2104年4月28日付け)も送られてきた。2008年1月 順天堂大学で試作的に始めた「がん哲学外来の理念= 広い心をもって、心優しく」が、徐々に浸透してきていることを肌で感ずる。まさに「がん哲学外来」は、「威厳のある怖い番犬」でなく「心優しい可愛いチャウチャウ犬」としてイメージされよう。そのうちに、「チャウチャウ犬をモデル」にした「がん哲学外来」のバッジが出現する予感がする。

先 週の〈昭和の日〉、「がん哲学外来・カフェ」開設記念講演「がん哲学外来~「人間的な責任」で、手をさしのべる~」〈札幌〉に赴いた。札幌では、「新渡戸 稲造カルタ」の作成が、進められているとのことである。いつの日か「がん哲学外来カルタ」も作成され、大々的な「カルタ大会」開催を夢見るものである。今日からゴールデンウィークである。筆者は、父の一周忌で、今から帰郷する。

がん哲学校たより・24(0052)

2014年05月03日 | 樋野先生からのメッセージ
樋野先生からのおたよりです。(2014.4.27配信)

第56回「がん哲学学校」
「わたしの目には、あなたは高価で尊い」~がん哲学外来の理念~

第103回日本病理学会総会 (2014年4月24~26日) で広島に赴いた。筆者は、特別企画「病理学―復興・創生・展開・未来-」(広島国際会議場)で、「病理学~過渡期の指導原理と新時代の形成力~」を講演する機会が与えられた。「遺伝性がん から そして、環境発がん へ」 を語った。日本病理学会理事長、本学会会長の司会、筆者の恩師:菅野晴夫先生〈癌研究会顧問〉、若き日から、大変お世話になった田原榮一先生(広島大学名 誉教授)をはじめ、皆様のお話には、大変感銘を受けた。その日のランチョンセミナー「リンチ症候群(遺伝性非ポリポーシス大腸癌)の診断と対策」では、司 会の役を仰せつかった。翌日のワークショップ「病理医が一般人と会い、患者・家族に説明する意義は何かを考える」(ANAクラインプラザホテル)では、「医師の2つの使命~がん哲学外来~」を話す機会があたえられた。これを機に、「次世代のがんチーム医療を考える会~病理医〈懸け橋〉の役割~」が立ち上げられる予感がする。まさに「日本国の医療の隙間を埋める使命」である。日本病理学会総会の前日に、市民による講演会が企画され、『「がん哲学外来」~「人間的な責任」で手を差しのべる~』(メルパルク広島)を話す機会が与えられた。会場には、一杯の多数の参加者があり、患者さんも涙され、とても人間の尊厳に触れる、心温まる充実した一時であった。

岡山大学病院 腫瘍センター・総合患者支援センターの主催「第3回 がん哲学外来 in“桃太郎”がんメディカルカフェ」に立ち寄った。継続の大切さを痛感した。大阪では、「緒方洪庵記念 がん哲学外来」(スヴェンソン心斎橋サロン)が開催され、会場は溢れる大盛況であった。早速、「がん哲学外来・メディカルカフェは、時代から求められている気がします。福祉は大事ですが、夢や目標までは与えてくれません。このカフェでそれを取り戻す方も多いと思います。」などの、大いなる励ましのメールが届いた。「がんと診断された患者が1年以内に自殺するリスクは、診断されていない人の約20倍とする調査結果を国立がん研究センターの研究班がまとめた。研究班は、診断直後に適切なケアをすることが重要としている」(朝日新聞 4月23日付)とある。心のケアは極めて重要な課題である。今朝は、「まちなかメディカルカフェ in 宇都宮」1周年記念講演『がん哲学外来の理念「わたしの目には、あなたは高価で尊い」』である。

がん哲学校たより・23(0051)

2014年05月03日 | 樋野先生からのメッセージ
樋野先生からのおたよりです。(2014.4.20配信)
第55回「がん哲学学校」
「福祉村」~「一人の人間を癒すのに一つ村が必要である」~

帯広の北斗病院主催で、講演「第2回がん哲学外来 in 帯 広~偉大なるお節介症候群~」(十勝リハビリテーションセンター)をする機会が与えられた。広い会場は多数の市民の参加もあり、大盛況であった。帯広の空 港から、十勝平野の広大な農地を眺め、たまたま、農家に立ち寄り、少しの語らいの時間が与えられた。大自然の中で、「世の流行り廃れに一喜一憂せず、あく せくしない態度」で、「綽々なる余裕」のある農夫の風貌に接した。今の日本国に大切なことは、「自らの強みを基盤」とした「一周遅れの先頭の責務」であることを再認識した。

講演に先立ち、院内で2組の患者さんと、それぞれ1時間づつ「がん哲学外来」を実施する機会が与えられた。今後、「北斗 がん哲学外来・カフェ」として、常設される予感がする。「一人の人間を癒すのに一つ村が必要である」を実践する「福祉村」を肌で実感した。何故か、3月、訪問の機会が与えられたロンドンの、緩和ケアの発祥であるSt. Joseph’s hospiceと,現代ホスピスの祖と言われるCicely Saundersが始めたSt. Christopher’s hospiceを、彷彿した。今夏にも、ロンドン視察ツアーが、企画される気配である。「新時代の医療の壮大なる構想」の具現化を感じた。今後は、「国際医療と国際教養との懸け橋~純度の高い専門性と社会的包容力~」を推進する為の「寄付講座」も開講されよう。まさに「志高く、心の広い、一廉の人物は国運をになう!」の「実例と実行」でもある。

翌朝、帯広駅から札幌駅まで、電車で向かった。筆者にとっては、初めての経路の旅であり、左手に、日高山脈、右手に大雪山を眺めながら,雪の蔽われた山々の壮大な自然に感動した。「俯瞰的な大局観」の学びの貴重な一時であった。

札幌では、講演「がん哲学~内村鑑三・新渡戸稲造の源流~」の機会が与えられた。思えば,筆者が、札幌で、初めて新渡戸稲造の講演をしたのは、2003年の新渡戸稲造没70周年記念講演会ではなかろうか? 『われ21世紀の新渡戸とならん』〈2003年〉を出版した時でもあった。それ以来、市民の方の招きで、機会ある事に、呼んで頂いている。ここにも「札幌農学校のクラーク精神」が、脈々と流れている。「がん哲学外来=対話学の実践」は「人間教育」の場でもある。

がん哲学校たより・22(0050)

2014年05月03日 | 樋野先生からのメッセージ
樋野先生からのおたよりです。(2014.4.13配信)

第54回「がん哲学学校」
「世への贈り物」~希望を具現化する~

先週は、数年前に「がん哲学外来」に来られた、がん患者さんの一周忌で、清里の「萌木の村」にある「メリーゴーランドカフェ」に参上した。「人生の役割・使命感」として、亡くなる前に「メリーゴーランドカフェ」を開設された(朝日新聞 2014年4月7日付け)。今は、ご主人、息子さんと娘さんが、継承されている。まさに、「世への贈り物」である。とても、有意義な心に染みいる一時であった。

2014年4月10日天皇・皇后両陛下が出席された「日本医学教育歴史館披露及び順天堂創立175周年記念式典」に参列した。大変、格調高く、品性のある、式典であった。来賓の中に、久しぶりに見るお顔もあり、大変懐かしく思った。2000年に、原田明夫氏(東京女子大学理事長)と、国連大学で、開催した「新渡戸稲造 『武士道』100周年記念」でお逢いした川島裕氏〈当時 外務事務次官で、宮内庁侍従長〉も拝顔した。思えば、10年前、順天堂大学に赴任して間もなく、佐藤泰然 (1804~1872) 生誕200年記念シンポジウムを企画し、一緒に講演させて頂いた北城格太郎氏(経済同友会代表幹事でもあった、国際基督教大学理事長)とも久しぶりにお逢いした。同じ10年前(2004年)に、当時は、検事総長であった原田明夫氏と「新渡戸稲造 5000円札さよならシンポジウム」を国連大学で、開催したのも、懐かしく想い出された。人生の大きな船出となる時でもあった。

週末、早稲田大学中野国際コミュニティプラザエクステンションセンター中野校のオープンカレッジ春期講座『がんと生きる哲学』で、講師をする機会が与えられた。5年前の『がん哲学と新渡戸稲造~日本肝臓論~』(NHK放送博物館 愛宕山ホール)の version up でもあり、『がん哲学』(2004年) 出版10周年記念でもある。『われ21世紀の新渡戸とならん』(2003年) 10周年記念では、国際連盟のあったジュネーブと終焉の地であるバンクバーを訪れる機会が与えられた。

銀座で、『がん哲学外来~希望を具現化する~』で講演する機会が与えられた。「がんに寄り添う~美容を通じて~」の「メイクウイッグショー」の見学は、筆者には、とても新鮮な時であった。治療の副作用に悩むがん患者にとっての、大きな支えとなり、「病気であっても病人ではない」の具現化の一助ともなろう。

がん哲学外来について

患者さんが抱える悩みは病人としての悩みではない。人間としての悩みです。 がんという大病を得たとき、それを背負って人間としてどう生きるかという深い悩みです。それは「心のケア」というレベルではなく、自分という存在そのものを問う領域なのだと思います。ですから、「がん哲学外来」では、来られた方を「病人」の側面だけではなく、ひとりの人間としての悩みに焦点を合わせます。同じ人間として、対等の目線に立って、人間を学ぶ「人間学の場」でありたいと考えるのです …(提唱者であり当会の顧問である順天堂大教授・樋野興夫先生の著書より)

札幌の「がん哲学外来」(開設趣旨)

私達は樋野興夫先生の志に賛同し、車座になって意見交換をする運営をめざします。講演会スタイルではありません。参加者全員が同じ立場、同じ目線で耳を傾け、縁のあった方々に寄り添うことを願っています。