一郷一会・関東周辺100名湯プロジェクト

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08.伊豆山温泉(走り湯) 「偕楽園」

2007-03-04 14:44:16 | 静岡
伊豆山温泉は、湯河原と熱海のあいだにある地味な温泉地だが、源頼朝も入浴したという古い歴史をもち、実に106ケ所の温泉井(平成15年熱海温泉組合の調査)を擁する実力派だ。泉質はバラエティに富んでいるが、別格として扱われているのが日本三大古泉のひとつとされる”走り湯”だ。ここは全国でも珍しい横穴式源泉で、山腹から湧き出たお湯が海へと走るように流れ落ちるさまから名づけられたといわれ、昭和39年に枯渇したが、昭和45年の増掘により復活している。

その”走り湯”のすぐ上にあるのが「偕楽園」で、伊豆山1号泉(走り湯)、伊豆山78号泉(第2走り湯)の2本の走り湯系のお湯(たぶん混合使用と思われる)に加え、すぐれものの自家源泉「逢初の湯」をつかう贅沢な宿だ。海側からみるとかなり年季の入った建物だが、玄関や浴場まわりは手がいれられていて綺麗。スタッフの対応がとてもよくてきもちがいい。

相模湾を見渡す眺望絶佳の浴室に、扇形黒みかげ石枠伊豆石敷5.6人の浴槽がとなりあってふたつ。手前が「走り湯」(たぶん走り湯、第2走り湯の混合泉)、奥が自家源泉(伊豆山63号泉)使用の「逢初の湯」だ。
浴場奥から「走り湯」のお社が見下ろせる。この位置関係からすると、男湯はほとんど走り湯泉源の直上に当たるのでは?。

「走り湯」の浴槽は、緑茶色透明で白~うす茶の湯の花。走り湯特有の強苦味強鹹味とかすかな磯の香。掲示には”加水・循環”とあったが、味は非加水の共同浴場「浜浴場」の熱湯槽とさほど変わらなかったので、加水はごく少量だろうと思う。迫りくる濃度感と強烈なほてり、塩化土類系のキシキシペトペトととろみが走り湯ならではの個性。からだ中の水分が入れ替わってしまうようなサウナいらずの激しいお湯だ。
冬向きのお湯といえば、まずは”熱の湯”といわれる食塩泉だが、わけても土類食塩泉の温まり感はひとつ抜きんでたものがある。ややペトつきどちらかというと派手派手な浴感なので厭う人もいるが、”走り湯”のお湯は硫酸塩やメタけい酸が効いているためか、激しいながらもどことなく上品で奥行きがある。ちなみに走り湯は明治期には皇室の御料温泉になっていたというほどの由緒正しいお湯だ。

「逢初の湯」は、緑茶色透明(走り湯よりややうすい)で白~うす茶の湯の花。はっきりとした芒硝塩味と弱いながら独特な焦げ臭。はっきりとした硫酸塩泉系のキシキシととろみがある、なかなかにすぐれもののお湯だ。
調子に乗って2槽連チャンしてると、土類食塩&硫酸塩のホテホテ&冷めない攻撃に晒されてヘロヘロカラカラになるので要注意(^^;)

洞窟のなか、もうもうと湯気を上げ湧き出る”走り湯”を見物し、すぐ前にある「中田屋」(元100湯) で”走り湯”で茹でた温泉たまご、”走り湯御玉”を食べ、「偕楽園」でこの名湯に浸かる。入りたりなければ渋~い共同浴場「浜浴場」もある。しかも、入浴すると物事が成就するという”走り湯伝説”までついている。温泉ファンにはたまらない魅力をもった温泉場だと思う。

なお、山側にあって、特異な泉質で定評のあった共同浴場「般若院浴場」が、平成17年春に閉鎖となったのはかえすがえすも残念。

Ca・Na-塩化物温泉 68.8℃、pH=7.6、湧出量不明、総成分=12.31g/kg、Na^+=1389.0mg/kg 、Ca^2+=2946.0、Fe^2+=0.8、Cl^-=6869、SO_4^2-=865.4、メタけい酸=95.5、メタほう酸=11.3 <H16.2.27分析> (源泉名:伊豆山1号泉(走り湯))

Ca・Na-塩化物温泉 71.6℃、pH=7.8、湧出量不明、総成分=10.18g/kg、Na^+=1098mg/kg 、Ca^2+=2525.0、Fe^2+=1.1、Cl^-=5524、SO_4^2-=814.2、メタけい酸=96.6、メタほう酸=11.4 <H16.2.27分析> (源泉名:伊豆山78号泉(第2走り湯))

Na・Ca-硫酸塩・塩化物温泉 70.3℃、pH=8.3、湧出量不明、総成分=1.726g/kg、Na^+=237.5mg/kg 、Ca^2+=242.6、Fe^2+=0.1、Cl^-=238.5、SO_4^2-=820.2、メタけい酸=94.4、メタほう酸=10.8 <H16.2.27分析> (源泉名:伊豆山63号泉)

文・画像 別働隊@うつぼ

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